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5 アレックス=ユカリウス

俺はフェンダーを拠点に構えるギルドの団長でアレックス=ユカリウス


ギルドの名前は俺の赤い髪から赤い羽という名前にした


隣国に向かう護衛として雇われていた、本来であれば団長である俺が直接出向く事はあまりないが今回は特別な事情もあり俺が向かう事になっていた


本来の目的は護衛をして客を送り届けた後に隣国から来る要人の護衛が本命の仕事だった


隣国の魔法学校では物足りないというお嬢様がどうやらヴィクトリアにある魔法学校に行きたいと父親にお願いしたそうだ

俺は魔法使いではないのでよくわからないがヴィクトリアには魔法協会の本部もあり魔法使いにとってはメッカであるらしい

大きく別れると北のホールデンや南のエストニールの魔法学校も有名だがやはり一番はヴィクトリアというのが一般的な共通認識だ

俺には魔法使いの素質はなかったけれど、一応剣の素質はあったみたいで剣一つで此処まで上がってきた。


確かに魔法使いと比べると万能性は無いが1:1であれば一概に魔法使いに劣る事もない

それに魔法使いは希少であるからそうそう前線に立つ事は出来ない、一人あたりのコストが剣士とは違うしな


ヴィクトリアの魔法使いにはこれまで何人か会ったことあるが元々農民だった奴も多いんだがいけ好かない奴が多い

俺としてはエストニール出身の魔法使いの方が気が合う奴がいたな

俺の娘も魔法使いの素質があったからエストニールの魔法学校にいかせようと思っていた


話を戻すが隣国に送り届ける護衛は簡単に片付いた、道中魔物にも遭遇したが対した事はなかった

問題は帰りだった、当初の予定と違う台数の馬車が用意されていたのだった

俺達のギルドは10人対して馬車が8台というのだ。

最初は3台という話だったのにどうしてこうなった

お嬢様の我侭かと思い頭を抱えていると、一人のメイドが教えてくれた

どうやら親が大の親馬鹿だったようだ

娘を隣国に送り出すのを最後まで反対していたらしい、父親が娘を甘やかし過ぎるからという理由で母親がヴィクトリアの魔法学校の素晴らしさを娘に教えて父親を娘離れさせようと画策したらしい

娘さんはすこぶる大人しい性格をしているらしく、父親の溺愛ぷりに多少困っている部分もあったみたいで母親の画策に乗ったみたいであった。

それで土壇場になって娘が学校で困らないようにと色々と物を買い込んだ結果馬車が8台になったとの事だった


「初めまして、俺はギルド赤い羽の団長、アレックス=ユカリウスです

今回はご指名戴きありがとうございました、こちらの国にも護衛のできるギルドはおられたと思うんですが何故今回我々にご依頼されたか伺っても宜しいですか?」


父親は最後のギリギリまで娘と一緒に過ごしたいという事らしく対応は夫人がしてくれていた、屋敷の中から何やら叫び声が聞こえるがきっと父親なんだろう

俺の持っている情報と代わりなく、最初その情報を聞いた時はもちろん冗談かと思ったが

対応してくれた子爵家の夫人としてはまだ30手前で、美人というよりは可愛らしさが目立つ夫人だった

ちなみに父親の方も同い年らしい


「初めまして、私はノルワール子爵家、ドルドナ=ノルワールの妻のユイソナ=ノルワールと申します

この度はわざわざ隣国からご苦労様でした

無理なお願いではありましたが、今回はある知人に信頼できる護衛を訪ねた所丁度ヴィクトリアにいらっしゃる貴方達を推薦してくれた方いらしたので、私共はその方を信頼している為に私達の一番の宝である娘を送り届けるという事で貴方がたに依頼しました」


俺は眉を少し潜めた、俺達赤い羽は規模だけで行ったら中位のギルドだ

中位といっても、ギルドという物は大体発足してすぐ潰れる所が多い

中位くらいになると安定してくるため、そこからは才覚で大きくなるかどうか変わってくる

なのでまず、伯爵以上が俺達クラスのギルドに依頼する事はありえない、あったとしても使い捨て要員などの可能性が高いのでじっくり吟味しなければならない

逆に高位のギルドの依頼料は子爵、男爵には難しいし、最悪爵位が上の依頼があると言って断られるケースがある

小さなギルドが潰れる原因は主に情報量の少なさが原因だと俺は思っている

なので、俺達中位のギルドに子爵家が依頼するのはおかしな話ではない、これが隣国の子爵ではなかったらだ

本来であれば自国のギルドに頼んで繋がりを持ち信頼関係を築いていくのが理想である

その恩恵はお互いに持ちつ持たれつといって、いろいろと融通を聞かせてくれるようになるからだ


俺達も今回の依頼を受けた時に何か知らの罠を想定してそれなりに情報を集めた

結果だけいうならノルワール子爵家に疑いの部分は無かった

ノルワール子爵家はここ数代で大頭してきた家で、当主の才覚によって色々と手を伸ばし成功を収めているらしい、現当主は男爵だったが功績が認められて現在子爵になった

だが、大きなギルドはメンツもあり子爵家の依頼は中々受けにくい物があったんであろう

そこで中位ではまんざらでも無い俺達赤い羽に依頼をしたというのが俺達の見解であった

しかし、一応聞いては見る物だ、これが隣国の子爵家でなければ無礼と取られても仕方なかったが隣国という事もあり相手にも当然の質問として受け取ってもらえたみたいだ。


「その信頼出来る方とは一体?」


「エレメンタルナイトのガディウス様です」


俺はその名前を聞いて目を大きくあけて驚いた

エレメンタルナイトとは、魔法学校を出た後に何処にも在籍せず冒険者になったギルドだ

魔法使いは確かに強いがあくまでそれは個人としての強さだ、先程話した小さいギルドが潰れやすいのと同じで如何に魔法使いであろうとハメられたらそうそう生き延びられない

俺でもこちらのフィールドであればすぐ先の未来が見えない魔法使いであれば容易く葬れるだろう


しかしそういう輩とエレメンタルナイトは違った、エレメンタルナイトは少数精鋭の魔法使い集団だった

当初、魔法学校をでた出来損ない魔法使いが勘違いして活動するよくあるギルドと思われていたが彼らは当初から違った

信頼を得るためにまず冒険者となり直ぐにも高難易度のフリー依頼を達成して冒険者としても瞬く間にプラチナ級まで上り詰めた、またその事から貴族の眼にもとまり、はたまたは王族の依頼までもこなす様になった

正体不明のメンバーが多いエレメンタルナイトの中でその名が知られている大剣のガディウス

俺が有いつ面識のあるエレメンタルナイトだった


「ガディウス殿のご紹介でしたか、嬉しいのと驚きで息がつまりましたよ」


と正直に心のうちを話してしまった


「こういっては失礼ですが、本来であれば大切な一人娘の護衛ということで最初は高位に位置するギルドに声をかけたんですが、数年前まで男爵家であった私共の依頼は中々通らなかった物で、困っていた時に丁度城のパーティーにいらしていたガディウス様に相談したところ、赤い羽を紹介していただきました

規模としてはまだ中位くらいだが、情報ルートをしっかりもっていて何があっても娘を必ず守ってくれるだろうと教えて頂いたので私も安心して今回の依頼を出すことができました」


大剣のガディウス、彼とは魔物の大量発生などが起きた時に総員体制で迎撃にでる依頼で偶然面識をもった

その時はまだ俺達は小さいギルドであったが自分達の実力を把握して虚栄を貼らずに現実的な対応を撮り続けた、時には後一歩の所で依頼を失敗して損害を被ったのも一度や二度ではない

その失敗を次に活かして此処までやってきたのだ

エレメンタルナイトも独自の情報網をもっていて一応俺達の存在を知っていた

最初は挨拶位であったが何度か会う度に多少の会話もするようになって友人とまではいかないが知人といった程度の面識をもっていたが、まさかこういった所で名前を出してくれるとは思っていなかった


「そうでしたか、ガディウス殿の期待を裏切らない様にしっかりとやらせて頂きます」


俺はそう言って、当初の約束との話のズレを夫人に話たところ、一瞬夫人の後ろから黒いオーラでがでて、一度家に戻り叫び声が聞こえてきてから夫人が娘を連れて家から出てきた

父親は罰として外にでての見送りは禁止になったとか


「大変失礼しました、一応当初の予定の3台の馬車に必要な物は全部入っております

一応残りの馬車も連れていってくださいませ、何かあったときは当初の予定通り最初の3台を護衛していただければ結構です、余計な仕事を増やしてしまったので依頼料も上乗せしておきます

残りの5台の従者には最悪荷物は捨てて命を優先する様に伝えて起きますのでアレックス様はどうか娘の身をお守りくださいませ

こちらが私共の娘、セリーナです」


「はじめまして、セリーナ=ノルワールと申します

今回、魔法学校までの一路よろしくお願いいたします」


そう言って母親の横から恥ずかしそうに礼をしてきた


「セリーナ嬢、私はアレックス=ユカリウス、ギルド赤い羽の団長を務めております

今回の旅は初めての遠出となるお嬢様には多少お辛い旅になるとは思いますが私の命にかけてお守りする所存にあります、どうぞよろしくお願いします」


「は、はい、こちらこそ」


そう言ってもう一度セリーナ嬢が頭を下げてきた


俺の娘とは性格が反対だなと思いつつ、セリーナ嬢を馬車に載せ

夫人に一礼して大事な娘さんを預り魔法学校のあるプレイビュアに向けて旅立ったのだった


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