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ルミナ&精霊使い
目を覚ました時に俺の頭に浮かんだ言葉だった。
「あれ、俺ってペイン?なんで?」
俺は頭痛から目を覚ました時前世の記憶をフラッシュバックさせていた
簡単にいえばそれだけなんだけど、今のペインとしての記憶と昔の記憶が混同して混乱している
改めて今の自分の状況を確認した
周りを見渡せば俺がペインとして育った10年間すんでいる家で、ここは俺のベッド
さっきいきなり頭痛に襲われてベッドに倒れ込んだ所までは間違いなく記憶通りだ
状況整理をした俺はもう一度さっきのルミナ&精霊使いの名前を思い出した
これは俺が前世でやっていたスマホRPGとかいう数多く世の中に出ていたゲームの一つで俺がハマっていたゲームだ
世界初のチェインゲームという事で発表当初は多いに話題を呼んだ訳だが、実際はそこまで浸透したゲームにはならなかった
スマホとMMOが連動するという、ありそうで無かったゲームだ
一時期MMORPGが浸透し始めた時に、俺はこれこそが世界のスタンダードゲームになると確信した
実際は俺は戦国物、友達は世界的に有名だったMMOにハマリ青春時代を注ぎ込んだ
しかし、MMOがそれ以上広がる事にはならなかった
MMOは時間がかかり過ぎるといういうのが最大のネックであり、青春時代を終えた俺は否応無しに社会人として生きていく事になり、MMOでもっとも大事な時間が取れなくなってしまった
数年続けていたゲームにも気がつかないうちにログインしなくなっていった
リアルでも連絡を取っていた奴とたまに連絡をとったりしていたが、やはり似たような理由で引退者が増え、バージョンアップが多すぎて新規にとっては敷居が上がりその結果新規が増えないといったMMOが廃れる現象が起こり結局サービス終了に追い込まれてしまったらしい。
そんな中で大頭してきたのが気軽に出来るスマホゲームだった
いつでもどこでも気軽にできて基本無料というゲームも多かった為に人々はそちらに流れMMOという物自体消滅しかかっていた矢先だった。
某会社がスマホ連動型MMOを発表した、俺は直ぐにそれに飛びついたのだった
あんまり好きではなかった課金ゲームではあったが、MMOの時間をうまい具合に分割して楽しめる様にするという事もあり、過去にMMOをやった事のある人にとっては僥倖であった
金策や、レベル上げ、生産等の単純作業関係をスマホにして、レイドや、ダンジョン探索等をPCに
それでも時間が無い人には課金で対応といった所だった。
問題は多少敷居が高く、課金もある連動型という事で18歳以上指定でスマホの契約等の見直しをする必要がある人もいた
平均年齢が高くなったがその手間もあり、 キッズ と呼ばれる子供がいない(正確には抜け道もありフレンドにも中学生位ならいた訳だけど)という点でも評価されていた
そのルミナ&精霊使いのプロローグの一番最初が丁度旅立ち前夜から始まる
それで俺が操っていたいた主人公の名前もペイン
俺に魔法の才能があるってわかった時魔法学校に行く事は決まった
それは義務だからだ、この王国に住む人の義務だ
なんでかは知らないけど、そういう事になっていてそういうものだと言う事で俺は此処まで育ってきた
別にゲームでもなんでもなく、俺のペインとして生きてきた記憶だ
それに俺がペインだからって俺の主人公だったペインとは限らないしな、でもなんか設定がにてるんだよな~
「ゲームのプロローグだと、お祝いが終わった夜にルミナが現れて主人公に使命を告げてっていう感じだったような、とはいえ実際使命でもなんでもなく大精霊に言われたから来たよみたいなノリだったはずだ」
「何をブツブツ言ってるんだい、キミは」
俺が思い出そうと口にだして頭を整理していると後ろから声が聞こえた、俺はびっくりして振り返った
そこには紺色をした凛々しい豹がいた
おお、色々あってたまにしか見られない成体形のルミナだ
「初めまして、ボクはルミナ、精霊だよ」
おお、プロローグと全く一緒だ、セリフも一緒だ
本当にここはルミゲーの世界なのか、一回転生とかしてみたいとか思っていた俺の願いを叶えてくれた神様ありがとうございます!
そんな事で感動している俺を気にするような事はなくルミナは話を進めた
「精霊と初めて会う人間は大体大げさに驚くか、言葉がでないかのどちらかだね
あんまり、緊張しないでもらえると嬉しいよ
ボクはアルテミナ様に導かれて此処まできたんだ、どうやらキミはアルテミナ様の目が止まったみたいだね
きっとキミは凄い精霊使いになると思うよ」
本当にそのままなんだなあぁと関心した
まあ、いきなりこんな事前世で起こったらこいつ何言ってんだとか思うんだろうけど、いやその前に豹がしゃべったとかで警察呼ぶ可能性が高いな
だけどこの世界だと精霊は存在している、それは当然のように、空気があるように精霊がいるのだ
「ルミナ様、初めまして今後ともよろしくお願いします」
俺がそう返すとルミナは驚いた様に目を広げた
「キミは凄いね、普通いきりなり精霊の使いが現れて平然と対応できる人間を見たことがないよ
もしかして精霊を見るのは初めてじゃないのかな?」
おっと、しまった、つい出来る男を演出するためにカッコつけてしまった
「初めてみます、俺は今猛烈に感動しています!」
とりあえず正直に今の心境で答えた
ルミナは、軽く頷くとプロローグと同じ内容のセリフを話だした
「キミは大精霊アルテミナ様の目に留まり、ボクを派遣したんだ
少なくともボクが人間に派遣される事なんて今までに無かったんだ、きっとキミは歴史に名を残す精霊使いの素質は十分にある
だけど今のキミはただの魔法使いの駆け出しだ、だからキミ次第では歴史に名を残す所か直ぐに死んでしまう可能性もあるから慢心しないようにね
頑張った分だけきっと精霊はキミに答えてくれるはずだよ
才能はある、だから努力を惜しまない事だね」
ルミナがそう言って俺はうなづいた。
たしか主人公は何様でも無い普通の生まれだった気がする
俺の記憶にある限り伝説の勇者の子孫とかそういう設定は無かった
多少家族関係で複雑な設定はあったけどとりあえず普通の村人Aみたいな設定で魔法が使えるっていうだけだった
「あ、そうそう ボクは精霊だけど普通の精霊と違って主の魔力を必要とせずこの世界で行動ができる
だから常にキミと一緒に行動する事になるからよろしくね
敬意さえもってくれたらボクの事はルミナと呼んでくれて構わないからね」
そういってルミナはウインクをした、そして何か質問があれば言ってくれと言うのでいくつか質問をしてみた
実際ゲームだとここから魔法学校までに戦闘やその他の行動関係のチュートリアルが入るんだが、俺は最初に一度やったきりでリセマラの際にはスキップしてたから一応話を聞いておいて方がいいと判断した
一応使命とかそう言った物があるのか、何かやらなければいけない事があるのか
ちょっとそう言ったゲームとの差異があるのかが気になった
「何にも無いよ、人に出来る事であれば大体大精霊様に限らず、ボク達にだって出来るからね
キミには何かしらの運命があるのかも知れないし、無いのかも知れない
あくまでそれは結果論にしかすぎないんだ、だからキミはキミらしく生きていけばいいんだよ
実際の所ボクがキミの元に来た理由も大精霊アルテミナ様にしかわからないんだ
ボク達にとって人間と一緒にいるのは長くても100年前後だろう、ボクたちにとっては一瞬の様な物だからね
迷惑かもしれないけど、きっとボクがいる事でキミにも良い風にプラスになるよ
そういう事だから改めてよろしくね
さてと、明日の朝旅立つんだろう? もう夜も深い、人は夜眠り、朝から活動するんだろう
とりあえず寝る事にしようか」
おお、まんまだ
普通に考えていきなり登場していきなり寝ようかとか話の脈絡もあったもんじゃないなと思ったがもちろん口にはしなかった
ルミナはそう言って、俺が寝ていたベッドに潜り込もうとした
「ん~、この姿だとちょっと狭いかな
借りにもキミと一緒に行動するにはこの姿は不都合かな」
そう言うとルミナは一瞬青く輝き、小さい猫の様になった
一応設定では豹の子供なんだけど、まあ見た目はまんま猫なんだよな
豹の子供もにゃーって無くからわかりにくいよね、シャーって言って他の猫を威嚇してたもんなぁ
「じゃあ、キミの寝床にお邪魔させてもらうよ」
そう言って俺のベッドに入り込んで一緒に眠ったのであった。