O田原提灯マン改めナナシ
O田原提灯マン改めナナシ
AM:8:45
晴れの日も雨の日も、会社に向かうサラリーマンの群れで
ごった返すO田原駅構内。
男が一人、O田原駅の提灯のオブジェの下に立つ。
O田原提灯マン認証しました。
コンピュータ音声がメットの中に響く。
さあ、出勤だ。
男の姿は提灯のオブジェに吸い込まれる。
ジャンバーを脱いで、ロッカーから取り出したヒーロージャージに着替える。
スタンバイOKだ!
一日で一番充実している瞬間。
ローカルヒーローとしての一日の始まりだ。
AM:9:00
モニターに映し出されるO田原駅周辺の画像。
まあ、警察の手に余る事件というのはまず起こらない。
自分が就任してから一度も起こっていない。
というか、先代のO田原提灯マンの頃から何十年と起きていない。
自分の任期の間も起こって欲しくないものだ。
K奈川県O田原市。
K奈川県の人口はT京都に次ぐ第2位。
その中でもO田原市は人口20万に対する怪人犯罪は0件という。
脅威の怪人犯罪発生率の低いエリアなのである。
暇だなー。
平和だなー。
O田原だからなー
PM:12:00
やっと昼か。
さて昼飯にするか。
今日のお昼は駅弁か。
商店街の人のご厚意に感謝。
PM:13:00
昼飯食ったらすることがないな。
ウトウト。
いかん、いかん。
いくら平和でもヒーローが居眠りなんて。
PM:17:00
今日も一日平和に終わった。
帰るか。
何時ものようにヒーロージャージを脱いで、ハンガーにかけロッカーにしまう。
通勤ラッシュが始まる前に帰宅の途についた。
2016.12.13