666
この数字は呪いの数字だ。
そう教わったのは僕達。なぜ教わったのかって?
それは今から数時間前のこと。
僕は友達とたわいない話をしていた。
内容は好きな子が出来ただのどうだこうだというもので占い好きの友人の1人からこんな話を聞いた。「666」と紙に書いてから火をつけて燃やす。燃えきるまでに願いを3回唱えられたら願いは叶う、と言うもの。じゃあ、3回唱えきれなかったらどうなるのか…それは未だにわからないそうだ。誰も失敗した人がいないから。
いや、知らないだけなのかもしれないが、試してみたいという奴がいて試してみることにした。願いはもちろん恋の成就だ。
相手はおとなし目でちょっとドジっ子の可愛い子だ。喋ったことなど一度もない。話しかけづらかったのが正解だ。免疫がない様に見えたのだ。
緊張して紙に書く字が震えていた。
「そんなに震えてて大丈夫かよ。」からかっているのがすぐわかる。
「だ、大丈夫に決まってるだろ!」そう言って書きなぐった数字の書いてある紙を破って燃やし始めた。
すぐにそいつは願いを始めた。
「あの子と付き合えます様に。あの子と付き合えます様に。あの子と付き合えます様に。」
見るとほとんど燃え切っていた。これで願いが叶うのだろうか?疑問だった。
その日はそのまま解散となり、翌日どうなったのか楽しみにしていた。けれどもどれだけ待ってもそいつは現れない。あの子もだ。
そこに担任の教師が血相を変えて教室に飛び込んできた。
「今日の朝の授業は中止だ。実習しとけ。」「え〜?マジで?」その時の教師の顔は忘れられない。真っ青な顔をしてガタガタと震えている。
「せんせー、どうかしたんですか〜?」「な、なんでもない。実習しときなさい。」「は〜い。」
僕達はそう言いながらも友達が現れないことを疑問に思っていた。昨日あれだけ真剣に願いをかけたのだからかなっていないわけがない、と。
しかし、やり方が違ったのか?
数字を書いてから紙を破って燃やして…そうか、それがいけなかったんだ。仲間同士で話し合った結果だ。
じゃあ、友達はどうなってしまったのか?
女の子もどうなったのか知りたかったが教えてもらえるはずもなかった。
だからその日の放課後、友達を連れて来なかった子のところへ行こうと話し合った。そしてやってきたのはその子の家。
何故か警察官が大勢立っていた。
立ち入り禁止のテープも張られていた。
何故か分からなかったので立っていたお巡りさんに何があったのか聞いてみた。するとこの家で事件があったと言う。
何がどうなっているのか分からなかった。
どうやら子供が1人惨殺された様だ。
犯人につながる物証はなく、捜査は難航していた。僕らは真っ青になった。
「刑事さん、もしかして亡くなったのって…」「この家の子だよ。ちょうど君たちと同じ年くらいだったかなぁ。」「どんな風に亡くなっていたんですか?」「体がバラバラになっててね燃やされて…おっとこれ以上は言えないな。それよりなんで君たちはそんなに聞いてくるんだい?関係者か何かかい?」「間違ってなければ亡くなったのは僕達のクラスメイトです。」「そうかぁ、じゃあちょっと待っててくれるかな。」そう言って刑事さんはどこかへ走って行った。
「なぁ、おい、バラバラで燃えてってあれと一緒じゃね?もしかしてやばいやつだったのかも。」「願いが叶うじゃなくて呪いのおまじないだったのかも。」「そうだとしてもかけた本人が死ぬのか?じゃあ、かけられた相手はどうなる?」「わからない。行ってみるしか…。」そうこうしているうちに他の刑事達もやってきた。
「君達か?被害者とクラスメイトだっていう子は。で、何か聞いてないかい?誰かに恨まれてるとか?」「いえ、特に誰も。なっ。」「うん。」「はい、特には何も。」「ないない絶対あいつに限って。」「そうだよな、あんないいやつ。なんで…。」「そうかぁ〜すまなかったね。大丈夫かい?じゃあここにいてもしょうがないからお家に帰りなさい。」
「「「「「はーい。」」」」」
みんなで揃ってその場を後にした。それから今度は向かったのは友達が好きだと言っていた女の子の家だ。女子から自宅の場所は聞いている。
女の子の家でもやはり同じ様に立ち入り禁止のテープが張られていた。お巡りさんもいたので聞いてみた。
「僕達この家の子と同じ学校なんだけど、何かあったんですか?」
「あ〜、すまないね。詳しいことは言えないんだ。けどね、この家の女の子が遺体で発見されたらしいんだ。私も詳しくは聞かされてないんだがね。何か用があったのかい?」
どうしたらいいのだろう…。正直に話したほうがいいのだろうか?
答えに困っているとお巡りさんの無線に連絡が入り、その場を離れることに。
「君達、早く帰りなさい。ここは入れないから。」「はーい。」
そうは言ったが気になった。
いったいどんな死に方をしたのか?
友達の方はわかったが女の子の方は全くわからない。
確か…あの子と付き合えます様に…だったな。付き合うって言ったって男の子は死んじゃってるんだよ?…考えていくうちによからぬことが頭をよぎった僕は怖くなってきてしまった。
「どうした?」「うん、…あの、さ、僕考えたんだけどね〜、付き合うって一緒に行動するってことじゃない?だとしたら…。」「あ〜、そうか、じゃあ同じ目にあってるかもしれないってことか?」「だとしてもおかしくね?死亡時間が同じだったりして…。」よからぬことを考えついてしまった僕はだんだん真っ青になってきた。一緒に来た友達も同じ様だ。皆真っ青な顔をしてる。
僕はお巡りさんのところへ戻り、亡くなった時間を聞いてみた。子供の言うことなぞ聞いてはくれないとは思ったが、ダメもとで。
するとお巡りさんは教えてくれた。
その時間は亡くなった男の子とほぼ同じ時間だった。
「なぁ、一緒と思っていいんじゃね?」「ああ、そうだよね。っということは、あの占いは呪いのおまじないでよかったんだよね。他にもやった人いないかなぁ〜?」「そんなのいないって。やってたら噂が凄い広まってるに決まってる。」「あっ、そっかぁ。」「そうそう。」
携帯の掲示板に【666】を打ち込んで検索をかけてみた。
すると以外と知っている様で書き込みがたくさんあった。けれども誰も失敗したことには触れていない。失敗すること自体が少ないのかもしれない。
ザッと見れるところだけ見てみたがやはり知らない様だ。でも、誰もやったものはいなかった。確かに単なる噂でしかないからだ。叶うかどうかも怪しい様なものだったらやる気は起きないだろう。けれども今回の事でやる子はもっと減るに違いない。命まで賭ける様なものではないからだ。今回は運が悪かったのだ。やりたいと言わなければ…。誘わなければ…。今更言ったところで後悔でしかない。
でもどうやったら刑事さんたちに信用してもらえるのか…疑問だった。刑事とは頭でっかちな人が多いと聞いたことがあるからだ。
で、この間声をかけてくれた刑事さんに話をしようと警察署へと足を運んだ。
ちょうどいたので呼んでもらうことに。
「君達はあの時の…で、どうしたんだい?今日は。」「友達のことでちょっと…。」「ここでは話せない事かい?」「え、あ、はい。」「じゃあ、ちょっと場所を変えよう。君達は取調室に入ったことはあるかい?」「ううん。ないよ。ちょっとだけ興味はあるけど、僕は悪いことはしないんだ。」「おお〜、言うねぇ〜。じゃあ、一体なんだい?」刑事さんはどうやら真剣に考え聞いてくれそうだったので、初めから話して聞かせた。しばらく頭を抱え込んでいた刑事さんは腕を組んで考え込んでいたが、こう切り出した。
「被害者は2人。それも君たちの学校の子だ。で、その…なんだ、願いが叶うおまじないとやらをやったと。で、翌日には死体になって発見されたと。君達は皆その時一緒だったのかい?」「おまじないの時ですか?だったらもちろんはいです。僕達みんなで囲ってやりましたから。」「で、女の子は?」「そこにはいなかったよ。別のクラスの子だから。でも、写真持ってたから。」そう言って友達の1人が写真を出して見せた。友達同士で仲良く写っている写真で、ピンボケもしていない。よく撮れてると言ったほうがいいだろう。
「で、どうするんだい?占い方法を教えてくれるかな?」「えー!いいんですか?死んじゃいますよ?」「死ぬのは困るな。やり方だけ教えてくれ。」「簡単です。666を書いて願いながら紙を燃やすだけです。願いが短ければ叶う確率は上がると思いますが、紙の燃える具合はわからないので…。」「普通に燃えるだけだろ?」「違うんですよ。途中で早くなったり遅くなったりします。だから先が読めないんです。」「そうか。じゃあ、簡単に犯人逮捕で、占ってみるか?」「マズイですよ。それこそ犯人なんていないんですから早く燃えちゃうに決まってます。」「ならどうするか…。」
刑事さんは机の上に紙を出したが引っ込めた。占いはやる気がないようだ。よかったとため息をついた。
「だいたいのことはわかった。あとは俺たちに任せなさい。ただし、君たちの言う占いは絶対にやっちゃダメだからな。」そう釘をささなくてもいいやる気はとうに失せていた。
「はーい」とだけ言って皆ぞろぞろと警察署を後にした。
その後の捜査はテレビでニュースになっていた。そして犯人が捕まったとニュース速報が流れた。犯人は30代の家庭教師の男で、サイトで噂があった666の数字の占いを模倣した殺人を犯したのだ。たまたま教えていた男の子とその子が好きな女の子をターゲットにし、殺害したという。
ただ殺害方法に関しては一部違うことを言っているが。
事件は解決したが、ネットからの占いがこうなるなんて誰も想像もしていなかったに違いない。今、ネット上では凄い事になっている。事件は広がり噂に関しても憶測が飛び交っていた。
ただし、時が過ぎれば忘れ去られていくだけなのだが…。
噂に関する掲示板にはまだまだいろんな噂が書かれている。その占いのうち、本当にかかる占いはあるのだろうか?
今日も掲示板をチェックする子供達だった。




