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ドリームボックス

作者: 南戸由華

初めての投稿ですので、かなり拙い文章かと思いますが、頭の中で溢れてくる言葉を次々と文章にしてみました。多くの人に知ってもらいたい気持ちです。よかったら読んでやって下さい。


 始まりは暗闇の中だった。違うな。きっとみんな始まりは幸せだったんだ。ただそれは夢だっただけ。目が覚めたら、この世界に僕らの居場所なんてなかった。


 僕らが何をしたというのだろう。僕らは仲間でもなんでもなく、ただそこに集められただけの関係。だけど互いに同情し合うくらいには互いの存在を認識していた。


 でもそれは同情なんかじゃなくて、そんな一方的なものなんかじゃなくて、共感に近いものだったんだと今になっては思う。自分を、彼らを、かわいそうって思うような、それとは少し違う。


 暗闇の中で「何か」が行われるのを待つ恐怖。「何か」は分からないけれど、本能的に恐ろしいものなんだと僕らは感じていた。もしかしたら本当はそんなに大したことじゃなかったのかもしれないけど。


 こんな感情、あなたには分かるだろうか。きっとあなたの世界ではこんなことないんだろう。あなたと出会って、あんな暗闇は見たことないんだもの。


 違う。「あなたの知っている世界では」ないんだろうな。「あなたの知らない世界」では、こんなこと日常茶飯事なんだって、どこかで聞いたことがあるんだ。


 僕はもうあそこにはいないんだけど、まだあそこにいた「僕ら」を感じてる。きっと、ずっと拭えない感情なんだ。


 僕は今あなたの目の前にいるよ。始めはとても怖かった。またあの暗闇に戻されるんじゃないかって。僕の居場所はここじゃないんじゃないかって。また夢を見てるんじゃないかって。


でも、あなたは僕をずっとそばに置いてくれた。とても心地いいんだ。あの暗闇が嘘のようなんだ。すごく、すごく、幸せなんだ。あのとき、あなたがたくさんの「僕ら」の中から僕を選んでくれたから、僕はここにいる。本当にありがとう。温かな日々をありがとう。


 でも同時に、まだ暗闇にいる「僕ら」が気になってしょうがないんだ。元気にしてるかな。喧嘩してないかな。「何か」はもう済んだかな。大したことじゃなかったらいいな。「僕ら」があの恐怖から解放されていればいいな。「僕ら」がまた夢を見れたらいいな。


 終わりがない幸せがないことを「僕ら」は知っている。これはあなたにも分かるんじゃないかな。もうすぐいなくなるあなたになら。僕はとても悲しい。悲しいんだけど、心のどこかでこうなることを知っていたよ。


 僕だって悲しかったら涙を流すし、あなた達が思っている以上にいろんなことを思うんだ。あなた達よりずっと小さな頭で考えているんだよ。あなた達がそれを理解しない限り、「僕ら」はあの暗闇から逃れられないんだ。ごめんね、あなたを責めているわけではないのだけど。


 あなたの周りにはたくさんの人がいるね。とてもとても幸せなことだ。あなたも、周りの人も、辛くて、悲しくて、涙に邪魔されて、その幸せに気づいていないんだね。


 僕は今、知っていた悲しみより、知らなかった幸せの方を強く感じてるんだ。ただあなたのそばにいられる幸せを感じながら、眠ることにするよ。長い長い夢を終わらせるんだ。


 こら、しっぽには触らないでっていつも言ってるでしょ。なんだ結構元気なんだ。じゃあ一緒に歩こうよ。また「僕ら」に会えるかな。


 あなたには優しい家族がいて、たくさんの友達もいるかもしれないけど、僕にはあなたしかいないんだ。それは家族、友達、ましてや恋人でもない。特別な関係。


 僕の気持ちが、多くの「あなた達」に伝わりますように。



――「ドリームボックス」

夢の箱。それは彼らを夢の世界に連れていく箱。彼らの夢を終わらせる箱。

誰が語っているのか分かりましたでしょうか?上手に伏線が引けなくてすみません。

もしご興味があれば「ドリームボックス」という単語を調べていただければと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] ネタバレになってしまってはいけないのでくわしくは書けませんが、うちには猫が2匹います。 どこから来たかは、お察しください。 1度読んで、タイトルを検索してもう1度読むと涙がでそうになりました…
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