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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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越中沢岳

唐突なメタ発言に定評があるこの作品。

 あれ、思考が動く。⋯⋯ なんだったんだろう昨日は。まあ、とりあえず、僕が語り手である路線に変更はないみたいで安心した。



  あくる日、僕らは朝早くにそこを発った。高山での移動の基本は、朝日が昇る前に移動を始め、お昼頃にテント泊地に着くと言うもの。理由としては単純で、山の天気は変わりやすく、それは高山であるほど顕著かつ、激しい。特に夕方には、嵐かと思うような風が吹きすさび、雷の雨が降ってきたり、猛吹雪に見舞われることだってある。そんな危険な時間帯に移動するのは自殺行為だ。基本的に昼までは天気も安定していることが多いことも相まって、高山を行く人々は極端な朝型人間へリズムを変える。下界に降りてからも元のリズムになかなか戻れず、苦労をする人もいるようだ。



「なるほどね!」

 サクラは僕の思考を読み取ったかのように頷いた。⋯⋯ 神様だなあ。もう、いちいち反応するのも疲れた。こう言うものだ。あるがままに受け入れようではないか。

「何よ。つまらないわね。」

 サクラは若干不機嫌になった。構われないと不機嫌になるって割とタチ悪いぞ。


「そう言うところを直せと言われとるんじゃ。」

「何が悪いかわからないもの。」

 シロに諭されてもサクラは知らん顔。なかなかに面の皮が厚い⋯⋯ じゃなくて、恐れを知らない⋯⋯ でもなくて勇敢だな。シロは怖いぞ。


「いったん痛い目見るかの?」

 氷を生成し始めるシロ。

「へえ。面白いじゃない。その喧嘩、買ってやるわよ。」

 堪忍袋二割裂けくらいの怒り度で、サクラは好戦的に言い放つ。これまで数々の僕らの我儘その他を沈めてきたシロの本気もサクラにとっては火に油を注ぐようなものに過ぎないようだった。


 初めはシロを守るべく飛び出していったイチフサも、さすがに回数が増えて行くにつれてもういいかなと思ってきたのだろう。僕らとともに二人を止めに行くようになったのは、成長したと言えるのではないだろうか。


 他三人でなんとか押しとどめて、神界大戦がこの世に顕われることはなんとか回避できたけれども、やっぱりサクラは爆弾なんだなって、認識を新たにする必要がありそうだった。⋯⋯ 何割かの割合で煽るシロも悪いと思うぞ。






 朝ごはんや準備運動を手早く済ませたので、僕たちは相変わらず、広々としたお花畑の緩やかな高原を、南に向かって進んでいる。



 相変わらず抜けるような青空で、ここまで来ると逆に天候が崩れないのが不安になって来る。霧に巻かれるのは、天候が崩れたうちに入らないからね。


 山も高く、天も高く、どこまでも舞い上がっていけそうなほどである。まさにこれぞ雲上散歩。良き道だ。




 しかし、ピークとも呼べぬような小さなというより緩やかな盛り上がりを超えたところからその道は一変した。急速に落ち込む尾根。下の下まで抜けて行くような急激な落下。降る前からめげたくなるほどの角度である。


「シロ⋯⋯ 、こっち?」

 信じたくなくってシロに伺いを立てたが、帰ってきたのは肯定の頷き。僕は非常に落胆した。⋯⋯ まあ、落ち込んでばかりもいられない。自分の足を前に進める以外に選択肢はない。この小さな一歩が、全体の道のりを前に進めゆく原動力になることは実感としては知っているが、でも信じられない。でも、歩くこと。歩みを進めゆくことしかできない僕らは先に進んで行く必要があるのだ。




 植生は変わる。お花畑から、高地に生える落葉樹の群落へ。ついには林まで形成するようになってしまった。



 それでもまだ樹間は広く開いていて、前の山々がよく見える。目の前には緩やかなだけど侮れない大きさの山が次の頂として君臨している。さらには、その後ろ、おそらく越えたのちに降って登ることになるこれは突起といったほうがいいのではないかと思われるレベルで急檄に立ち上がっている。かしらと呼ばれる山というには盛り上がりが急すぎてすぐに下り返す地形に似ている。山ではないとはいうが、登るとするなら山よりも急なぶんきついこと請け合いだ。いささかげんなりして、先ほどまでのゆったりした地形を懐かしく思い出す。


 左の樹間には、この山脈の支尾根として分岐したらしき一段落ちた場所から最後のあがきとばかりに立ち上がる山の姿が見える。とはいえ、その後ろに位置するこの山脈が控えているため、型落ち感は否めない。おそらく一番下から眺めた場合、あちらの山の方が最高峰づらして威張っているんだろう。こちらではへこへこする後輩のごとく逼塞しているのに。⋯⋯ 擬人化して考えると結構面白いなこれ。いや、擬神化ではないから良いだろう。神様への配慮は忘れないのだ。


 予想通り、一山超えての再びの登りはきついものとなった。それなら巻けばいいではないかという意見はもっともだが、頭というものは、そう一筋縄ではいかない。横もまたやはり急であり、そこを巻いて行くのはなかなかに骨である。危険性も考慮すると、まっすぐに越えた方がいいという結論が出て来るだろう。


 まあ、尾根の曲がりの突端にあっただけあって、展望はかなりのものであった。向こう側、左側をずっと走っていたこちらと同じくらい大きな山脈が再びその姿をはっきりと見せていた。現在はこちらの方が相対的に低いターンらしく向こう側の山脈がより大きく見えた。特徴的な双耳峰が大きくその両方の耳を遠くに見せ、あちら側の曲がり角たる山が最接近している山にふさわしく、鮮明な姿を見せている。




 進むべき領域いや、地域に目を転じると、また少しばかり降った後、大きな巨大な、全長が測れないほどの山塊がゆったりと高度を上げながら横たわっている。一応頂上らしきところも見えるが、あれはあれで別のものであり、本物の山頂はさらに高い場所にあることは容易に想像できる。




 その日は、一旦降って、少しばかり登ったところになかなかな広い空き地を見つけたのでそこで一泊することとなった。



 えっ? 描写すっ飛ばしすぎではないかって? 僕は疲れたんだよ。お昼ご飯とかそんなどうでもいいことを描写する余裕は今度からあると思わないよーに。













































具体的な名前を出したので、調べればこの山脈がどこの山脈なのかわかりますよ。(もう残弾がないです。早く山に登らないと。

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