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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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登山7

連続更新中⋯⋯まあ、山に登ってるだけだしね

 氷の山肌をいくつか強引に突破していく。具体的にいうとサクラが燃やして道を作る。環境破壊も甚だしいけど、氷ついた山肌を歩くのは滑り落ちる可能性もあって本当に危険なのだ。そんな危険を冒すよりはサクラのストレス発散を優先したほうがいい。そんなことを剣はまことに勝手ながら考えていた。

 ほら今だって、めっちゃ笑顔で炎弾放ってる。天真爛漫と言えば聞こえはいいけど、その表情で燃やし尽くしてると逆に無慈悲な炎の化身に見えて怖い主人公であった。⋯⋯ やらせてる剣が考えていいことではない気もする。




  徐々に低くなりながら山稜を峰々が続いていく。最初はきちんと登っていた一行だったが、途中からは面倒くさくなって比較的緩やかなところを選んで巻きの動作を繰り返していた。全くもって意気地のない。



 どんどん下っていき、ついには残雪など影も形も見えないくらいの標高まで下った。だが、見下ろす道はなおも下に続き、真下の峠からようやくまた、元の高さまで山肌が登っていく。その上は霧がかかって見えないが、どうもお花畑の広がる平野があるようだ。さっきまであんなにいい天気だったというのにこれだ。山の天気は変わりやすいにもほどがある。ここまでいい宿場を見つけられなかった剣は密かにその平野に目星をつけた。



  とはいえ、天気に文句をつけたところで仕方がない。そうこうして下っているうちにこちらにも霧が湧いてきた。砂礫の多い非常に滑りやすいザラザラした下り道。本当にこっちであっているのかと不安になる霧の立ち込め具合だ。先行き数メートルほどしか見ることができない。

 地を這う松がのたうち、まるで蛇のようにとぐろを巻いている。その黒を目印に坂を下っていく。下手をすれば自分の足元でさえも見えなくなるほどに霧が濃い。その中で見える黒に色づく植物は心の拠り所となるとさえいって見ても過言ではないのかもしれない。それが濃霧の影響で緑ではなく黒に見えてしまうとしてもその安心感は変わることのない真理である。



 下りきって峠。ようやくといった感じなので大休憩。かなり時間が経ってしまっている。日も傾き、そろそろ宵闇がせまる頃合いだ。黄昏時。逢魔時とも呼ばれる時間だ。⋯⋯ この導入もいい加減飽きてきたな。でもあれだ。黄昏時とか逢魔時とかってかっこいいだろ? 厨二ごころをくすぐられるだろ? 是非もないネ!


 さて、ネタに走っているわけにもいくまい。話をストックしている関係上、ネタの鮮度も落ちているわけだしな。


 峠は割と狭く、一夜の宿とするには不安の残るものであった。地面もまだザラザラしていて固定しにくい。そこで、先ほど霧の間からわずかに見えていた向こうの尾根の上に広がる平らな草原にかけて先の尾根に登ってみることにした。


 こちら側の尾根は砂礫もなく赤土でしっかりとした地盤を持って、滑るのを防いでくれていた。

 なぜ峠の両側にこんなに違う地面が広がっているのか。地質学的な興味は尽きないが、それを解明する暇も知識もないので、立ち去るのが正解だろう。









 剣が目星をつけていた高原へと到着した。花が咲き誇り、平らな原の突端にまるで端を形作るかのように山を用いて区切っている。皿の上に見栄え良く盛られた美食のように輝かんばかりの美しさであった。綺麗な風景が続きすぎて麻痺をしてしまいそうだ。それはともかくここの地形はまさに宿場として最適である。難点があるとすれば、一面がお花畑なので、家を展開すると、確実にどこかの区画を潰してしまわなくてはならないことだ。心の中で合掌しながらも、割と容赦無く剣たちは家を建てた。まあ、住む環境は大事だから。妥協は許されない。






 


 



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