三郡6
新緑の尾根道を行く。大枠で代わり映えのしない景色が続く。よく晴れた空の下、僕らの前に敵はない。
木立を抜けると、広場のように広々とした場所が広がっていた。その後ろにはおおきな岩の壁。そうそう。こういうのを待ってたんだよ。旅にはアクセントがないとね。正面の岩壁は、掴むところがないほどの垂直面を晒した綺麗なもの。でこぼこがないとさすがに素手じゃ登れない。
だから、狙うは横。岩壁と言っても、尾根全部を横切るようなものではない。横からなら少し急な崖程度の苦労で登れるはずだ。
そう判断して、僕はそちらへ向かった。上から落ちてきたのではないかと勘ぐってしまうような岩が転々と道をつなぐように平たく地の上に乗っている。その上をたどるように歩む。
岩の上部に生える木々の落とす影が僕らを日差しから隠す。下から、何かの鳥の声がする。動物の生息域のさらに上にいると実感する。
岩を踏み台にして、一段高い台上に登る。ほぼ岩壁の真横だ。こちらからは、木の根が岩に取り付き。斜面も緩やかになっている様子がよくわかった。よし、正解だ。斜面に取り付く。
木の根を掴んで体を上へと引っ張り上げる。体半個分ほど上にある次の台が遠い。⋯⋯ 半個分って結構シャレにならないからな! どうにかこうにか体を移動させることに成功した。続いてユウキが登る。後を追うようにシロは浮遊して昇る。⋯⋯ 一人だけ違いすぎだろ! まあ、種族違うからな。仕方ない。
というか、本当になんなんだろう神様って。元の世界では信仰の対象ではあったけど、当然ながら触れることもできないければ、話すこともできない雲の上の存在だった。
⋯⋯ 大人シロのことを考えると、存在として居ることにはいたんだろうけど、まあ、知らなかったし、よほどのことがない限りは人前に出てくることもなさそうだった。
そんな風だったから、僕の神様観っていうのは、各神社に一人ずついる姿の見えないモヤモヤしたもので、願いを叶えるためにお祈りした人それぞれの中に少しずつ入って、活動しているというものだった。
異端かもしれないけど、そういうものだった。願いはちゃんと叶ってるし、間違いはないんじゃないかな。一年間死なないようにという願いと高校合格の祈りを山に行くたびにそこらの神社に捧げていた頃が懐かしい。まあ、死んでないし、高校合格したわけだしね。神様はいるよ。
でも、シロたちは違う。ちゃんと実体があるし、物も食べられるし、話もできる。いろいろと規格外なことを除けば人間と変わらない。その規格外だって、チートを授かればギリギリできるようなことだしな。
はっ、人間にはできないことをできる人は神となるのではないか?もしくは言えるのではないか? 例えば宙に浮くとか飛ぶとか、氷とか炎出すとか。あれっ、神として必要なはずの神聖さが少しも感じられないぞ?
「わしらはお主らの種族が現れる何億年も前からこの星におるし、その記憶を保持しておる。確かに、神というのは、人間が勝手に付けた呼称がいつの間にか広まってしまったものに過ぎぬ。ただの寿命が極端に長くて、生活メカニズムが異なる生物なのかもしれぬのう。じゃが、それを神と呼んで何の不都合もなかろ? 一神教の絶対神の教えしか知らぬのであればいざ知らず、お主の国は八百万の神が住まうと言われておる場所だったんじゃろ? なら、わしらも神と認めることは否応ないはずじゃ。」
「まあ、確かに、自分とは全く違う力を持ちながら同じような姿をしている存在に与えるべき呼称としてこれほど適切なものはないのかもしれないな。」
「つまり、わしら一族が神なんじゃの。」
「つまりシロは自称神だったの?!」
「ユウキ、とんでもないことに気づいた風に驚くのやめんか。」
「いやー、神様って他称されるものだとばかり思ってたから。」
「⋯⋯ わしらはほぼ姿を現さぬからの。じゃが、それでも、人間は山に社をたて、祀る。それが単に山自体への畏れや感謝からのものだとしても、それはすなわち、わしら山の化身を祀っておるのと同じじゃ。なら、わしらは神と他称されてると受け取ってもいいじゃろう。」
「確かに。それもそうだね。」
「まあ、僕らは認めてるからねなんだかんだシロのことは。」
「ふふっ、そうじゃろ。」
でも、嬉しそうに笑みを見せるシロはその雪のような風貌を纏って綺麗だ。
展開。あとがきワールド。この空間はその白くて、でも、登場人物の姿ははっきりわかるぞ!
なぜか石を名乗る生き物が紛れ込んでいるが気にするな、無生物だ!
サ「思ってた以上に長いわね。」
石「仕方ないじゃないか」
サ「それは確かにそうなんだけど。私がここに登場してからどれだけ時が経ったと思ってるのよ。もう忘れられてる気がするんだけど!」
石「ごめんなさい(いま、ただの山登り書いてるって言えない)」
サ「()にこめても伝わってるからね」
(良い笑顔)
石「ごめんなさい早く進めます。 」
ペコペコ
サ「それと、もっと私のエピソード増やしなさいよね。少ないわよまだ。」
石「強欲だ⋯⋯ 。」
イ「何言ってるんですか!あなたは登場したらそのあとも出るんでしょ。私なんか、まだ、次の出番書かれてないんですからね!」
サ「あなたは私より早く出る予定な時点で私が負けてるのよ!」
イ「でも、まだ私すら出る気配ないですよ。」
2人振り向く
石「なんだって言うんだよ! いいじゃないか山登ってても!」
サ&イ「需要ないわ(です)!!」.
サ「ほんと、良い加減に話進めなさい。さもないとまた燃やすわよ。」
イ「シロさんがほぼ出ずっぱりなのは良いんですけど。それにしても遅いです。」
石「いや、リアルが⋯⋯ 。このままじゃ落単祭りだよ。」
サ「ひとつだけ、忠告しておくわよ。これはほんとに親身になっていうことだからね。⋯⋯ スマホゲーをする時間をなくしなさい!ゲームは1日1時間よ!」
石「母さんかよ」
サ「あなたが頼りなさすぎるからこうなるの。私、こんなキャラじゃないのに。」
泣き
石「いや、あなたが泣くのはありえないって。もしくはもっとふさわしい場面があるから!やめて。」
イ「懲りましたね。とりあえす、モバイルデータ通信をオフにしましょう。」
石「はい。」
イ「私が、私たちが動けるのはあなたがいるからなんですよ。もっときちんとしてくださいね。」
石「頑張ります。」