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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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登山1

わーい。山登りだ!

  基本的に山の上を移動しながらの移動だったので特にイベントもなく僕らは会場の近くに来たらしい。⋯⋯ 食料保つかって?いや、時々シロが転移で補充してくれるし。資金は潤沢だし。枯渇する気がしない。


 さて、かなり高度が上がってきた気がする。サクラの山の近くでは照葉樹林で全くもって展望はなかったのだが、徐々に広葉樹が増え、芽生え始める新芽を愛でているうちに針葉樹林帯へ。さらにおそらく現在では森林限界を超えたのだろう。まだ花の咲いていないお花畑のか細い緑が僕らを迎えている。標高が上がったのと同時に北に移動したのだろう。これから夏でよかった。まあ、夜の冷え込みは当然厳しいわけだが。


 さて、尾根が消えていく大きな山肌、その上にどんな山があるか、まだ壁に阻まれて見えない。僕ら5人は少しばかりため息をついた。

「やっぱり転移で⋯⋯ 」

 1番やる気がないのはサクラ。炎の山神だろうがお前は。もっと熱くなれよ。

「気持ち悪いわ。」

 普通に引かれた。松崎しげる師匠、どうしてくれるんですか!

「ネタとわかっていたら面白いんだけどね。」

 フォローを入れてくれたのはユウキ。いつも感謝します。

「ネタ、ですか?」

「イチフサ、そこは気にしない方向で。」

「あっはい。了解です。」

 素直で助かる。

「まあ、会場が見つかるわけにはいかんからのう。というわけで諦めるんじゃサクラ。転移のありがたみを噛み締めながら登るが良い。」

「シロはどこポジションなんだよ!」

「そうよ、それはヤーンが言うセリフでしょうが!」


 サクラもツッコミキャラではある。⋯⋯ どう考えても個性の強いサクラがツッコミに回るって僕らがおかしいのではないだろうか。僕は少しばかり戦慄を覚えた。⋯⋯ まあいいや別に個性がどうあろうと個人の自由だし。


 尾根がないため目印となるものもない。よって僕の選択する道は川いや、沢沿いだ。川というには小さいんだよな。

 とりあえず登るときの定石は谷をたどるか尾根を上がるかだ。やはり目印となるものがある方が道は作りやすいのだろう。中でも主流は最初は谷をたどり、途中から尾根に登る道である。下に行くほどなだらかになる谷と上に行くほどなだらかであることが多い尾根の特徴をうまく生かしている。まあ、例外もつきものだが。最初から尾根で行ったり最後まで谷を遡ったりする道も当然ある。迷う心配はあまりしなくてもいいが、体力的には辛い道となる。

 というわけで、僕らがたどるのは沢である。まだ侵食作用が効果を発揮しているわけではないらしく、両側は尾根となっていない。斜面を滑る滝が随所に見られ、その音で僕らの道を教えてくれる。地を這う松を背景にして僕らは高度を上げていく。


 上に行くにつれだんだんと傾斜が緩やかになる。これまで見えていなかった山々が姿を表す。前方左、大きな山が峰を作っている。登り道でちらちら見えていた大きな山はこれだろう。一つだけでも大きな山々が一群となって作る山塊は圧倒的である。

  そして、前方、先に言及した左の山々も確かに大きいが。この屏風、いや盾のように屹立するこの山には負けるだろう。平面となり襲い来る岩壁。ところどころ氷でえぐり取られているからだろう。鋭く谷を真下に落としている。ひたすらに大きい。高さは周囲の尾根とつながる山によって相対的に圧倒的には見えないが、この山系の盟主とでもいうべきどっしりした存在感を放っている。右は先ほどの山の肩から最後のあがきとばかりに大きく一山生まれたのち、一息に高度を下げている。


 総評すると、この世界に来て初めての本格的な山群である。俄然僕のテンションは上がる一方。


「一応言っておくが、待たせておるのじゃから最短ルートをとるからの。左とか正面とか行かんからの。」

 シロに残酷な宣告をされた。一気に目のハイライトがなくなる。⋯⋯ いや、自分の目だからわからないけど。たとえだよ、たとえ。

「そんな殺生な。」

「そう言われてものう。また来ればいいじゃろうに。」

「その手があったか!」

「考えておらんかったのかい!」

 こうしてツッコミ役は循環する。僕はぼけてばっかりな気がするけどこれも気にしたら負けだ。

ア「定期的に山登りを書かないと満足できないんだね。」

石「その通り!」

ア「すっごく威張るね⋯⋯ 。」


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