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異世界山行  作者: 石化
第一章:山。山? 山!
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三郡5

 頂上で大休止をとりました。いや、周り見てるだけで無限に時間が溶けていくから。仕方ないから。


 さすがに吹き付ける風が強くなって運動しないことの影響による体温低下も加わると、そろそろ行かなくちゃなという気分になる。


 寒いんだよ。高度考えようか。気温の逓減率って知ってるかい?まあ、別にちゃんと知らなくてもいいんだけど。100mで0.6度とか要らない情報だし地理の教科書は詳しすぎるんだよなとは思うけどね。

 つまりは標高が上がると気温は当然のように下がるのだ。まあ、上部に全ての熱を奪う宇宙空間があると考えれば何も不思議じゃないし、僕らは感覚的にすでに知っていることでもある。避暑地とかそういう概念のもとに生まれたようなものだしな。特に軽井沢とかね。⋯⋯ これしか思いつかなかったわけじゃないもん。



 はい。そんなどうでもいいことは置いといて。下りましょー。



 二人に声をかけて、出発した。ほぼほぼ降り道だとわかっているからやりやすい。ひたすらに降っていたい衝動まで生まれてしまえほどだ。無限に下りだけって幸せなのでは?⋯⋯ いや、違うな。槍沢の下りはもうやだ降りたくない早く止まらせろ。むしろ登りたい。という感情まで生まれたからな。やはり1500mもの高低差とあのバカ長い距離を歩くのはただの拷問だ。見えるのはどこまでいっても川だけだしね。あれは上高地で綺麗だなーって感嘆してるのが1番賢い気がする。


 さて、思っていたとおりの快適な下りだ。角度にして5度くらい。坂と言ったら坂だけど、全く気をつけることなく下れる。下りの方が怪我しやすいとは聞くけど、この坂ならそんなこともなさそうだ。


  梅雨前に咲く白い木の花が、頭上を彩る。なんと素晴らしい尾根上散歩。展望は行く道の先を望める程度だがそんなことは問題にならない。⋯⋯ まあ、道行く中でも周りを見たいならもっと高い山に登ればいいんだけど。でも、下見ないと危ないよ。慣れてないと、石に躓くよ。アスファルトじゃないんだから。どこに罠があるか知れたもんじゃないよ。時々蛇に躓くし。あいつらなんで道の真ん中で日向ぼっこしてるんだろうか。感触で気づいたけど、その時の恐怖ときたら。まあ、おとなしい蛇だったのか、すぐに茂みに入っていったけど。




 下りも終わり。ここからは尾根上の峰を踏んでは下り、また踏むために登る作業となる。作業と言っても、景色はどんどん変わっていくし、植生地形、展望の変化を見るのが楽しいので、全く苦にならない。変化って大事。作業用BGMはそのためにあると言っても過言でないのかもしれない。




 さて、そろそろ、みんながつまらなくなってきたところであるかもしれない。、誰だよ。ちょっと山の描写で話数伸ばそうぜとか考えた奴。断じて僕ではない。ところで、読まれる小説の条件とはなんだろう。他のところならいざ知らず、ネット小説界においては息もつかせぬ展開が必須と言ってもいい。飽きられない話作りが重要なんだ。

 なのに作者ときたら本当に永遠に山登らせるつもりみたいだからなあ。僕は大歓迎だけど、読者が付いてくるのか?

「⋯⋯ 世界観を危うくするようなことを突然言い出したかと思えば着地点は案外普通じゃったの。おぬしも本当は常識人なのかの?」

「いやー、シロ、僕はいつだって真面目な常識人だったじゃないか。なに言ってるんだよ。」

「それに関しては自分の過去の言動を見直せというほかあるまいが。どこにある常識人の要素があるのじゃ?何度も言っておる通り、普通は街道使うからの!」

「いやいや。街道筋は盗賊が出て危ないって聞くよ。」

「ちょっと前に世界の盗賊アジトについて考察を巡らせた挙句いないという結論に達した奴に言われたくないわい!」


「いやいや最初は不確定だったし。」

「そうかもしれん。そうかもしれんが、どう考えてもおぬしの趣味ありきじゃったじゃろう。」

「さすがにそれは今更だよ」

「だね。」

 ユウキと顔を見合わせて頷き合う。

「⋯⋯ それもそうなんじゃなよな。」

 納得入っていなそうだが、一応シロは頷いた。


 会話がひと段落したので、止まっていた足を再び進める。自由に立ち止まれるのは気ままな旅のいいところだ。



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