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異世界山行  作者: 石化
第二章:エルフ

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帰還した族長娘

アンナさん視点です。時間がかかったのは丁寧口調に直す必要があったせい。一部治ってないです。ここは逆に丁寧にしたら不自然かなと思ったので。やっぱり違和感があるなら教えていただけるとありがたいです。直します。字数もこの頃増えてきてますね。少なく行きたい今日のこの頃。

 礼を失するとわかっていながらもほとんど何も言わずに飛び出した私は行き慣れた道を走ります。⋯⋯ 山を越えるのは歩きましたけど。気は()いて、心に体が追いつかないような気がしました。幸い、途中に障害物が立ちふさがるということもなく私は無事に集落にたどり着くことができました。






  私の帰還は歓迎をもって迎えられました。昔遊んだ友達ももう立派な大人でした。ときの流れを感じます。


  私はみんなに説明しました。ようやく帰ってきた族長の娘。みんな再会に感動していたけど、私が地震が来ると言っても、笑い顔のまま首を横に振るばかり。信用されてないんだなって一目でわかりました。


 確かに突飛な話かもしれません。でも、おかしいと思いませんか? この山にこんなにも動物がいないなんて。私の知る限りここは動物の宝庫でした。それが一匹もいないなんてありえません。私はそんなことを、楽な方に流されようとする心を(とど)めて切々と説きました。⋯⋯ シロさんたちのことは言えませんでした。信じてもらえないだろうから。むしろ警戒で頑なに地震を否定されることになるかもしれない。私はあの5人は悪い人たちじゃないと思います。みんな邪気がなかった。確かに不思議な人たちだけど、信じてもいいかなって思ったんです。


 私の必死の訴えはみんなの心を動かしたようでした。幾人かが族長に共に掛け合うと言ってくれた。





 みんなと一緒にとうさんを説得しました。完全に納得させることができたわけではありませんでしたが、私の帰郷祝いという名目で地震があったとしても比較的守りやすい広場にみんなを集めさせることには渋々ながらも賛成してくれました。だけど、シロさんが言っていた地震の起こりうる時間は一両日中。いつ起こるのかは流石のシロさんも知らないようでした、ならわたしにできることは一つです。歓迎の宴を話術で盛り上げ、長引かせ、地震が来るまで持ちこたえること。わたしは静かな決意を胸に秘め、顔を上げます。これから始まるのはわたしの一人舞台。必ずやり遂げてみせる。そう決意して。





  わたしは沢山の言葉を語りました。わたしの旅を。同胞たちの消息を。不思議と話は尽きることなく、言の葉はとめどなく流れていきました。なんの障害もなく時は流れ、いつしか日が傾き東の空から青紫色の幕が立ち上がって天宙全体を被おうとしています。懐かしい見慣れた風景は私の心に帰ってきたことを強く実感させました。私はこれから族長になる。みんなのことを守れるような強い族長に。それがきたのは私がそう誓った時でした。不意に風景が歪みます。強烈な横揺れ。みんなの表情に恐慌が走本来ならば何が起こったか分からず右往左往してしまったでしょう。くるという心構えが、私の初動を正しいものとしました。


「みんな、動かないで! 」

 鋭く叫んだ。

「動いたらかえって危険よ。まず落ち着いて。周りをよく見なさい! 」

 私の声は意外なほどによく通った。うまい具合に揺れも一旦は収まっている。そこまで長い地震ではなかったらしい。一安心して息を吐く。


 折れた枝が広場に散乱している。幸い私たちの住居である木が倒壊することはなかった。とっさにしてはみんなきちんと枝を回避して見せたらしい。さすがは私たちの一族ね。一安心する私の中に剣の言葉が浮かび上がる。

「余震に気をつけろ。」

 なんか他にもいろいろ言ってた気もするけど、究極的に言うとこれだけだったですね、たぶん。照れ隠しだったんでしょうか。可愛いですね。



 よし。私は足と腹に力を込めた。


「みなさん! まだ安全になったとは言えません! また地が揺れる可能性もあります。とりあえず、この広場の中央に集まってください。」


 みんなは私の言葉に従って真ん中に固まった。私を見る目に畏怖が混じっている人が何人かいる気もするけど、瑣末な問題だ。


「特に、まだ身を守れない幼い者たちを真ん中へ! 守れる者たちは外円を作って死守です! 住処が倒れてこないとも限りませんから。」


 この指示が遂行され、もう少し落ち着く余裕が生まれた。


「領域長は自らの担当する範囲の者の安全を確認! 確認が取れ次第、私に報告せよ。」


 お父さんも指示を出せるまでには落ち着いたようだ。これ以上私の出る幕はない。⋯⋯ 経験のためにはまだ少し私も指示を出す練習だと思ってやってみた方がいいんでしょうけど。まあ、指示系統が二つもあるとみんな混乱しますからね。いい判断です私。満足して一人でうんうんと頷いた。はたから見ると完全によくわからない人な気がします。恥ずかしくなった私は取り繕うように済ました表情を作りました。



 まるで悲鳴のような叫び声が上がったのはそんな時でした。慌てて私は駆け寄ります。とうさんは統括のために気軽には動けない。なら若頭たる自分の出番です。⋯⋯ どこの暴力団ですかって感じですね。



 叫んでいたのは昔世話になった面影があるようなないようなそんな少し恰幅のいいおばさん風の女性でした。正直名前は忘れました。仕方ないですね。


 しばらく落ち着かせて話を改めて聞くと、彼女の二人の子供が見当たらないという。


「きっと湖の方に行ったんだわ。あの子達無駄に冒険心旺盛なんだもの。」


 親が子供の行き場所をきちんと把握していないのは、それはそれで問題な気もすますが、まあ、反抗期のお子さんだったら親のことは無視しますよね。自分の身において考えてそう思いました。まあ、私もまだまだ若いですから。若者の気持ちはわかります。


 しかし、どうしましょうか。その二人が自分たちだけで身を守れるとは思えません。しばらく考え、私は結論を下します。私が、見つけに行きましょう。幸い、私は自分で言うのもなんですが高い実力を持っています。二人を見つけて帰ってくるなんて朝飯前です。


「とうさーん。私、ちょっと二人を探しに行ってきますねー! 」


 駆け出しながらも報告は忘れません。ほうれんそうは仕事の基本ですから。おとうさんの姿勢がいやっ、ちょ、待ってというものだったのを視界の端に捉えましたが気のせいでしょう。いつでも冷静沈着な族長がこの程度のことでオロオロするはずありませんからね。


 村を出た私は体に風を纏い、体重を風に任せ、目の前の木を一足飛びに駆け上がりました。懐かしいですね。昔はよくこの辺りの木に登って遊んでいたものです。


 そして、木々の上から辺りを見渡しました。これは失敗だったかもしれませんね。木に覆われて緑の樹海しか見えません。所々雲海も混じっているので雲樹海とでも呼称したほうがいいのでしょうか。これでは二人を見つけることなどできません。かといってもとどおり、下から探すのも骨が折れます。どちらにしろ視界がきかないですから。仕方ないですね。私は腹をくくると、再び木々の中へ風に乗って舞い落ちました。そのまま落ちることのないよう枝に手や足を乗せ、掴み、木々の中空域を行きます。多分ムサンビなどが一番近いのでしょうか。

 これなら速度を落とすこともなく、比較的広い範囲を俯瞰できます。その分、難度は段違いなのですが。


 視界をそろそろ色を変え赤く色付きそうな葉を擁する幹が遮ります。太い幹も細い枝も、真面目にレースをやる時にはとんだ障害となるでしょう。今の私の障害にもなっているわけですし。


 さすがにこの状況では避けるのを楽しむなどとは言ってられません。最短のルートを無駄なく行きます。枝。すり抜け。幹。下。巨木。樹皮を伝って回りこむ。私の思考は極限まで引き伸ばされます。最適な経路を選ぶために。次の木へ! 私は、翔びます。空中。私自身は何も感じないまま、目標としていた木が大きく歪みました。地震です。目の前の木は大きくしなり、真ん中からポッキリと反対側へ折れました。どれ程激しい地震だったのですか。私が驚く暇もなく、他の木々も一気にへし折れます。私に向かって。私はなんとか軌道を修正し、倒れかかる木のひとつに着地。そこへのしかかる木々を全力の風魔法で吹き飛ばしました。なんとか無事です。助けに行こうとして私が死んだら本末転倒ですから。でも、この揺れ、迷子の二人にどうにかできるレベルではありません。私は最悪の事態も覚悟しました。



 ほとんどの木が倒れてしまったので、視界は良好になりました。不幸中の幸いといったところでしょうか。とはいえ、この、巨人が一撃を振るったかのような災禍の前には無力です。私が悪かったのではないとはなんとか言うことができます。でも、私はみんなを助ける義務があった。私の話を聞きにみんなが集まってきた時に点呼をきちんと撮ればよかったんです。そしたらこんなことには。気づけば、私の目からは涙が溢れていました。私は、私は⋯⋯ 。



「大丈夫じゃ。」

 誰かの声が響いた気がしました。1日くらいしか一緒に過ごさなかったはずなのに、とても懐かしい声が。私は涙によってキラリと反射する目を上にあげました。目をこすります。


「シロさん! 」


 白のキャミソールの下にこれまた白のワンピース。下から見上げると何とは言いませんが見えそうでした。シロさんの洋服は少しだけ色の変化があるから何とか判別できるものの相変わらず分かりにくいですね。もっといろんな色の服を着てみればいいのに。いやいや違います。私はブンブン頭を横に振りました。考えるべきはそこじゃないでしょう。


「シロさん、飛べるんですか!?」


 これです。まずここです。


「まあの。それよりお主、双子を探しておるんじゃろ。わしらが保護しておる。」


 もうちょっと突っ込みたかったのは本当ですが、私はシロさんが言ったもう一つの情報に驚きました。もうダメだと思っていたのに。


「剣さんたちですか? 」


「そうじゃ。こちらに向かっておるはずじゃ。」


 シロさんの答えに胸が一杯になります。安堵と感謝。私の緊張感は一気に切れました。そこを、なんでしょう、地の神様でも監視してるのでしょうか。本日3度目の地震が襲いました。私にとっては再びの地面が揺れ、足元が頼りなく、全てが無くなっていく光景を幻視しました。やっぱり激しすぎる地震です。まあ、もうなぎ倒すべき木もなく、揺れに耐えればよかったのはいいことなんでしょうか。


「剣達が心配じゃ。」


 シロさんはそう言って飛び立ちすぐに見えなくなりました。なんなのでしょうかあの人は。謎の塊ですね。⋯⋯ こうしている場合ではありません。私もあの後を追いかけないと。


 私は足を踏み出した。不安と自責を克服したその歩みは晴れやかだった。



やはり連続更新は辛いですね。週一を守ります。

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