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異世界山行  作者: 石化
5章:冥界と現世

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マンテセ

 

  帰ったら、アジトが消えていた。いや、消えてはいなかったが、大穴が開いていて、元の重厚な姿は影も形もない。せっかく持って帰って来た情報のことすら吹き飛んでしまった。


 幸い、あの旅人がきちんと消火をしてくれたらしく、私の持っていたこの星の情報を記した書類は無事だった。噴石が書庫からずれて助かった。


 せっかく人がこない場所に本拠地を作ったと言うのに、山が噴火するとは盲点だった。私の星にはほとんど山なんてものはないからな。危険なものだと言う意識が薄かった。こんなにいい土地なのに誰も住んでいないことから察しておかなくてはいけなかったか。まあ、いい。


 幸い資金の余裕はある。直すことはできそうだ。諜報部隊の帰還場所をここにしているから、離れるわけには行かない。できるだけ対策をして、この場所で粘ろう。不安は完璧な設備で安心に変えねばな。




 そういえば、あの冥界の生物を倒していた三人組の情報はあるだろうか。凄まじい力をもつ存在の情報は集めていたが、あれほどとなると見逃すはずはない。この星の中でもかなりの実力をもつのではないか。神殺しの際には協力を仰ぎたい。


 探してみると、ずいぶん前に同じような特徴の五人組と出くわして、手酷くやられた記録が残っていた。こちらのことを盗賊とでも思ったらしい。まあ、前触れもなく囲んだらそうなる。もう少し、人との付き合い方を学ばせねばならんか。



 私が色々調べていると、扉がノックされた。仕方なく私が外に出る。この部屋は貴重な情報も多い。奪われるような危険はできるだけ少なくせねば。



 外で待っていたのは、あの旅人のうちの二人だった。確かヒウチとアサマとか言ったか。少女のようだが、実力は肌で感じる。他の二人もこれほどではないまでも強いようだ。なればこそ、女4人で旅をすることができるのだろう。


「何か用か。」

「あなたの最終的な目的を教えてくれればいい。」

「あまりにも怪しいからね。ちょっと気になって。」


 何だと。私はそんな気配なぞ欠けらも出しておらんはずだ。

 ただの魔法協会会長。脅して無理やりついた職とはいえ、あの腐敗し切った組織にとって悪いことではなかった。そんな刷新派の会長として真面目に取り組んでいる。怪しまれるわけあるまい。



 だが、この二人はどう見ても疑っている。実力者は嘘を見抜くと言うが、そう言うことなのか。


 ふむ。下手な誤魔化しは悪手だな。


「私の最終的な目的は、故郷の崩壊を止めることだ。そのために力がいる。」


 このくらいであれば話しても構うまい。全て事実だからな。


「なるほど。」

「崩壊を止めるって具体的にどうするつもり?」

 だが、二人は納得しなかった。私にまだ後ろ暗いところがあると考えているようだ。事実だが、ちゃんと正直に目的を話したのだ。そろそろわかってほしい。⋯⋯ダメか。仕方ない。


「この星の神にヤーンと言う者がいる。そいつの力を使うつもりだ。」


「なるほどね。」

「なら、わかった。」

 二人は頷いた。


 よかった。今度は納得を得られたようだ。基準がよくわからないが、まあ納得してもらえたのならそれでいい。



 ーーー


 マンテセと別れたヒウチとアサマはこっそり話し合っていた。


「ヤーンの存在の知ってるなんて、あの人なかなかやるね。」

「驚いた。」

「なんかヤーンに仕掛ける気満々みたいだけど、どうする?」

「あの人は一回くらい痛い目にあったほうがいい。」

「確かにね。」

「どうせ、めちゃくちゃ面白がるだけだろうし。」

「僕たちが潰すまでもないか。」

「むしろ怒られそう。」

「そうだね。ロロのこともあるし、しばらくは様子を見てみようか。」

「マンテセの想いは見事だった。あんなに純度の高い願いは剣以来。」

「そうだね。⋯⋯星を救うと言う想いと並ぶ剣の山登り欲は一体何なんだろうか。」


 剣のことが出たのを皮切りに二人の会話はただのおしゃべりに変化していった。シリアスブレイカーここに極まれりである。



 ーーー




「マンテセさま!」


 諜報にあてたものの一人が駆け込んできた。旅装を解かず慌てているようだ。



「どうした。」

 泰然とした声を出して、落ち着かせる。


「大変です。オスカーさまが見つかりました。」


「何だと?! 」

 オスカーが生きている事は知っていた。地盤を固めたあたりで探しに行かせたのだが、一向に見つからず、諦めていたところだった。その男が、生きている。私の仲間が、この星に。


「ある街で発明家として厚遇されているようです。ですが、私がマンテセさまの名前を出しても、よくわからない様子で、おそらく、記憶を失っているのではないかと。」


「わかった。向かおう。案内しろ。」


 あいつが記憶を取り戻せば、神なんぞ目じゃない。私とオスカーの二人だけが、あの絶対神との戦いで生き残ったのだから。


「本部は?」


「⋯⋯そうだな。誰かに任せるよりないか。」

 しかし、あの旅人たちが不確定要素だ。できれば手元に置いておきたいいが。



 そうだ。


 私は、あの4人が止まっている部屋に向かった。



「ロロ、私は今からどうしても出かけなければならぬ場所ができた。戻ってくるのはかなり後のことになるだろう。その間、この場所を任せる。」


「えっ、私がですか? 新参の私に可能でしょうか。」

 ロロは目をぐるぐるさせて混乱しているようだった。


「できる。他のものには私が言っておく。お前は優秀だ。私の留守を頼む。」


「ふえ。わかりました。このロロ、一生懸命努めます。」

 顔を赤くしたロロは顔の前で握りこぶしを作った。気合いを入れるポーズだろうか。


「では、行ってくる。」


「行ってらっしゃいませ。」


 ロロに見送られ、私は、旅にでた。



 ーーー


「えへへ。マンテセさま。」

 ロロの様子がおかしい。

「やられた。」

「なにあの新手のプレイボーイ。」

「ロロに頼むあたりがなかなかわかってる。」


 うん。ロロは断らないだろうからね。面倒ごとが増えた。


「姉さん、みんな。頑張りましょー!」

 ロロのテンションが上がってる。


 まあ、でも、悪くはないか。私たちは目線を交わして、頷きあった。















ラスボス界隈の出来事は書かない方が良いと思うんですがいかんせん神闘会で神様たちのハイパーインフレが起こってしまったので、マンテセ側がどうやって神様たちに勝つ材料を揃えていくかという勝負になってますね。

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