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異世界山行  作者: 石化
5章:冥界と現世

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207/251

序曲

評価してもらったのが嬉しすぎたのでもう一話行きます。⋯⋯いやあ、ストック消えるなあ。(ずっと言ってる

 

 一方その頃。お忘れではあるまい。かの者がドールの元を目指していたことを。幸いにして、彼の持つ情報の中には、葬儀専門の街グラチウスと、その上にあると言われている冥界への入り口に対する噂があった。彼はすぐにそこに向かう。ここに、主人公とマンテセの初めての邂逅が実現しようとしつつあった。


 ただ、彼は一つだけ間違えていた。


 冥界に入る必要などない。山の上に行けば、ドールと会える。それを知らなかったのだ。

 なまじっか、境界の扉の在処を知っていたばかりに。そう。彼が選んでしまった方法は最悪と呼んで差し支えない者だった。





「うっ、これは。」

 マンテセはその扉を前にして息を飲んだ。この星より高位の星から来たという自負のあるマンテセ。だが、その扉はあまりに禍々しく、見るものの気を狂わせるようなそんな不思議な文様がびっしりと書き込まれていた。まるで魔を封じるかのように。

「確かに、冥界と言われているだけはあるな。」

 マンテセは納得したように呟いた。ヤヌスに、冥府に行けと諭され長い旅路の果てにようやくたどり着いた一筋の光。ここに星を救う手段への糸口がある。


  門には結界が施してあった。だが、それは神の結界。神様に対して絶大な効果を発揮する神滅の力を有するマンテセにとって破ることは造作もなかった。


 どうん。轟音とともに彼の打ち出した弾が錠前を破壊した。結界が、ガラスが砕けるような儚い音をさせて消え失せる。


  顔を引き締め、彼はそこを押し開く。中へ向かって重々しく開く扉。マンテセは慎重にその中をうかがう。顔をしかめたくなるような臭気が襲いかかってきた。本当にこのような場所に神が住んでいるのだろうか。いささかの不信感をマンテセは抱いた。その時だった。

「おおおん。おおーん。」

 むせび泣くような反響する声がその中の空間、洞窟のような暗い場所から響いてきた。不気味な声だ。背中がぞくっとしてマンテセは思わず後ろに手をやった。背に冷や汗を感じる。何か自分がとんでもないものを起こしてしまったような。そんな確かな悪寒が彼を動けなくした。その声は確実に近づいてくるようで、ペタリペタリという足音まで聞こえ始めた。怯える体に喝を入れ、彼は足を洞窟の中へ踏み入れた。


 どこからかピチョンピチョンと水の雫が垂れる音がする。慎重に歩みを進めて行く。絶えず響いてくる咽び声はマンテセの気づかぬうちにかなりの大きな音に変わっていった。






 何か白いものが飛来した。マンテセをして接近するまでその程度しか悟らせなかったのは褒められるだろう。かなりの運動エネルギーを持ったそれはマンテセの腹へぶち当たり、彼を戸の外へ打ちだした。

「ぐっ。」

打ち所が悪かったのだろう。マンテセはそう唸ったきり意識を飛ばしてしまった。


 折ふし雲と霧で太陽の恵みの届かなくなったここ、ドール山中腹の広場に、異形のものが姿を現した。マンテセを飛ばしたそれは生首であった。コロコロと転がり人の悪そうな笑みを浮かべる。

「久しぶりの現世だなあ。暴れようか。」

 ポヨンポヨン言いながら山の下へ下り降りる。しかし、異形のものはそれだけでなかった。気絶するマンテセをよそに洞窟の中からスライムよろしく始めは恐る恐るしまいにはポヨンポヨンと飛び跳ねて、生首が後から後から湧いてくる。

「おおーん。おおーん。」

 もはや外の地、ドール山下の村々まで響く声とともにさらなる異形が姿を現した。


 丈は三メートルほど。青白い肌にペタリペタリと自らの体液を分泌しているかのように響く粘ついた足音。手足は幅広く、人間とも思えない。気の小さいものならすぐに失神してしまうだろう。顔の本来あるべき位置には何もない。目も花も口も、そして髪も。のっぺらぼうと呼ぶにはあまりに怪物じみたその姿。冥府の住人というに相応しいものだ。

 その巨人を先頭にまだまだ怪物は溢れ出る。体に包帯を巻きつけた足を引きずる死者。矢傷に鎧という戦国落ち武者のような死者。それらは一様に青白く、だが確かな実態を持ってこの世に顕現していた。再び現世に戻れた喜びをうたい、化け物たちは山を下りていく。尽きることを知らぬかのように化け物の群れは後から後から冥界より溢れ出ていく。

 二人目の青白い巨人まで現れてしまった。まるでこの世の終わりのような地獄の釜が開いた光景。彼らは生者を襲うだろう。生きて意識を持つものが、かつて自分たちが当たり前のように享受していた幸せを持つ者が妬ましくて羨ましくて。この平和な世界で、初めてのモンスターと呼んでいい異形の出現だ。


 幸いと言っていいかはわからないが、この状況を引き起こした当事者は、意識を失っていたため、その広場に放置された。⋯⋯君、ラスボス枠じゃなかったっけ。なんだその無様な姿は。それでいいのか。もっと頑張ってくれてもええんやで。









アウラ「なにこの間抜け」

石「責めないで。相手が悪かったから。」

アウラ「てか、こんなのいたの。知らなかったんだけど。ドールはなにも言ってなかったし。」

石「三神は地球由来じゃないからね。」

アウラ「あなたがネタバレするのね。」

石「君がいるとついつい口が軽くなってくるんだけど。どうにかして。」

アウラ「まあ、ここは本編とはなにも関係ないのでね。大丈夫ですよ。もちろん。」

石「口調変わっちゃったしめちゃくちゃ苦しい言い訳だけど、そういうことだからね! 信じてね!」


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