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異世界山行  作者: 石化
5章:冥界と現世

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202/251

神剣ふた振り2

 


 アサマとヒウチが一緒に旅をするようになってしばらく経った。二人の加入によって、旅はかなり快適なものになった。神様を自称してるのもわかる。⋯⋯でも、彼女たちみたいな神様なんて聞いたこともない。本当に謎の多い存在だ。まあ、気も合うしどうでもいいよね。ロロはまだ気にしてるみたいだけど。人生に悩み事は少ない方がいいよ。


 それとなく態度でそんなことを教えていたら、ロロも諦めたようでいつの間にか二人との間に引いてたと思しき境界線が消えていた。ロロの変化はわかりづらいけど、私ならわかる。なんてったってお姉ちゃんなんだからね。





 いろんなことを経験した。アンナさんが語っていたことがどれも誇張でもなんでもないってわかった。多分私たちの方がアンナさんよりはるかに楽な旅だ。二人で協力できるし、アサマとヒウチもいるし。ちょっとだけ申し訳ないけど、多分アンナさんなら笑って許してくれるだろう。



 基本的に耳を隠して過ごしていたので、そんなに荒事には巻き込まれなかった。優しい人も多くて、なんども助けられた。⋯⋯私が迷子になっていたわけじゃない。みんなが迷子だったんだって信じてる。なんど私を置いていなくなってたことか。全くもう。リーダーを見失ったらダメでしょ。そんな説教をはいはいいつものと言った感じでみんなから流されたのには納得いってないからね。






 目ざといあくどい商人とか盗賊団とかが時々襲ってきたけど、私とロロは風魔法を使えるし、アサマとヒウチは不思議な術でいろいろ殺傷力の高い魔法を放つから、負ける気はしなかった。二人とも近接戦もかなり強くて、天は人に二物を与えるんだなって羨ましく思ってる。⋯⋯心強いけど。神様だからなんて言ってるけどそんなまさかねえ。えーと、ヤヌスさまとドールと後アウラさまでしょ神様って。私知ってるよ。


「別の子に三神としての立場も取られているヤーン、不憫。」

「あの人、下界に無頓着すぎない?」

 アサマとヒウチはひそひそ話をしていたけれど、意味はよくわからなかった。





「結局、融合ってどうすればいいの。」

「心配ない。聞いてきた。まずは剣になる必要があるらしい。」

 こんな風に時々二人で話しているみたいだったけど、別に私たちに敵意があるわけじゃなさそうで、私は静観していた。なるようになるって。ロロもそんなに心配しなくてもいいのに。心配性なんだから。


「でも、ララもロロも剣使わないよ? それじゃダメじゃない。」

「⋯⋯魔法を使えるのは評価するけど、それだけに頼られると私たちの価値がない。」

「結局どう言う話なの?」

 気になってきたので私は割り込んだ。二人ともめちゃくちゃびっくりしてたけど、そんなこそこそ噂されたら気にならないわけがないじゃん。


「ロロが聞こうか聞くまいか逡巡してたのはわかってたけど⋯⋯。」

「本能で動く子は予測できない。」

「なんか貶してない?」

 私は胡乱な目つきをして見る。


「心読んでるのに意味がないって相当すごい。」

「神様相手でもいいところまで行きそうだね。」

「⋯⋯ひょっとして私がずっと考えてたの全部お見通し?」

「⋯⋯うん。」

「⋯⋯私も姉さんみたいな思考をするべきなの。」


「いや、ロロはそのままでいいよ。」

「⋯⋯と言うよりララが二人に増えたら手に追えなくなりそう。」

「やっぱり貶してるでしょ!」


 私はプンスカする。全くもう。リーダーをないがしろにしちゃダメなんだから。



「ところでララ。何か武器を使いたいと思ったことない?」

 話題を変えようとヒウチは静かに言った。出会った頃は短文でしか喋らなかったのに。やっぱり距離は縮まってると考えていいよね。


「武器かあ。」


 私とロロは武器は使わない。せいぜい獲物をさばく時に包丁を使うくらいだ。



「どうして? 」

 聞き返してみた。今の所、戦闘の時に困っているわけではないんだし、聞く必要はないんじゃないかな。


「私たちは強くなりたいってはじめに言ったよね。」

 それに答えたのはアサマだった。そんなことを聞いた気がする。二人の共通の目的って言うのはこれなのかもしれない。




「僕らは見たんだ。神様の変化した剣を持った人間が神様と融合して絶大な力を振るえるようになったのを。」

「強かった⋯⋯。」


 この二人をしてそこまで言わせるとは。その人間ってどれだけ凄かったんだろう。


「どうしたら融合できるのかはわからない。でも、あの人たちと同じようにすればいけるはず。」

「変化した僕たちを刀として握って戦ってくれないかい?」


 ようやく全ての疑問が氷解した。どうしてアサマとヒウチが私たちに近づいて、力を貸してくれたのか。なんのことはない。彼女たちが力を欲していたからだ。私たちと力を合わせれば、凄まじい力を手に入れることができるかもしれない。理解できる。私も、多分、そうしたはず。戦う力はあっても損はないからね。



「⋯⋯その融合って、副作用はないの?」

 ロロはそれでも不安そうで、そんなことを言っていた。心配性なのは相変わらずだけど、大事なところだしさすがロロ。よく気づく。



「観察してたけど、大したものはなかったと思う。」

「若干、融合したもの同士で思考が似てくるくらいかな?」


「それ、大丈夫なの?」

「自分を強く持っておけば問題ないって。あの人たちは性格も信条も全然変わってなかったから。」


「⋯⋯それだけで強くなれるのなら魅力的だけど。」

 ロロは迷っているようで、目で私に問いかけてくる。


「まだ、融合のやり方はわからなくて、今は刀を持って戦ったらどうかって話だよね。」


「うん。その通り。」

 ヒウチが首肯した。


「なら、戦い方を覚えるくらいやってた方がいいよ。私たちが近接戦闘に弱いのは確かなんだから。」


「なるほどね。確かにその通りだわ。」

 ロロも納得したようで頷いた。



「じゃあ、僕たちは刀になるから、自由に振って見て。」

「任せた。」



 二人の体を光が包んだ。眩しくって目を開けてられない。


 目を閉じてしばらくしたらようやく光量が落ち着いてきた。


 目を開けると、二つの太刀が宙に浮かんでいた。アサマとヒウチの姿は見えない。⋯⋯色々できるのは知ってたけど、まさか武器になれるなんて。




 私はそのうちの一つを手に取った。鋼が鈍く光り、ところどころから炎の色が漏れ出している。


「ん。よろしく。」

 頭の中にヒウチの声が響いてきた。

「ひょっとして、意思疎通できるの?」

「できるみたい。」


 便利だ。あんまり刀の使い方は知らないけれど、刀使ってたヒウチに教えてもらえれば、少しは様になるでしょ。



「私はアサマね。」

 ロロが取った刀は、真っ赤だ。血のような赤色の刀身で、黒のつかもあいまって、不気味だ。


「アサマのこと悪く言っちゃだめ。」

「刀の感想だって。」

 打てば響くように応答が帰ってきて面白い。


「戦う? 訓練しよ。」

「戦うってロロと? いやだよ。」

 妹に刃を向けるなんて冗談じゃない。




「まあ、ララはそう。仕方ない。」

 ヒウチは諦めた。そう。私は意思が固い女だからねっ!



「姉さんと戦うの? 」

「模擬戦だって。いけるいける。」

「確かに戦闘力向上は大事ね。」

 ロロは深く考え込んでいた。えっ、ロロ、冗談だよね。私は戦いたくないよ。


「でも、本当に模擬で済むの? 万一のことがあったらどうするつもり?」

「⋯⋯それは考えてなかった。ごめん。」

 ロロの言葉にアサマは謝った。

 よかった。ロロは思慮深い。ちゃんとリスクを考えた上で判断できる。私みたいに直感だけでなんでも決めるんじゃなくてちゃんと理由を見つけられる。自慢の妹だ。





 というわけで、使い方はよくわからないけれど、私たちは近接戦にも対応できる力を手に入れた。誰を目指して強くなってるかはよくわからない。4人で力を合わせれば割と世界最強クラスな気がする。


 アサマとヒウチは理不尽なくらい強いし、私とロロも結構強い。強さはあって困るものじゃないけれど、ここまでのものを持ってしまうと困惑してしまう。一つの街くらいなら滅ぼせそうな気がする。何もしないよ。もちろん。私たちはただ、世界を見て回るだけだから。



 そういえば、昔、地の揺れのときに私たちを助けてくれた3人組はどうしてるんだろう。あの人たちも旅してるって聞いた。どこかで行き会えたらいいな。




















まあ、多分ここまでですね。主人公たちは何も考えず模擬戦してましたが、ユウキがバーサーカーなのと、いざとなったらシロが止めてくれると言う安心感のおかげです。普通はこっちが正解。

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