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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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宿屋11

この章の終わりが見えてきたので、更新頻度上げていきたいです。

 ふう。いいお湯だった。感想はそこに集約してしまって構わないだろう。何より全員楽しそうだったし。



 全員上がって元の部屋に戻った僕らだが、そこに当然のように布団が用意されているのを見て目を疑った。⋯⋯ この旅館、ヤーン一人だけが従業員だったような気がするんだが。さっきまで、僕らと一緒にお風呂に入っていたのにどう言うことだ。


 いや、よく考えたら、ヤーン分身の術使えるから、少しも不思議なことじゃないのか。失念してた。⋯⋯ お風呂でのヤーンの裸体もついでに失念できたらいいのだけれど。一応健全な男子高校生ですからね僕。目に毒すぎる。戦闘力的にはどうあがいても歯も立たないから、何をする気にもならないのは良かったのか、悪かったのか。





 もう日も落ちて、眠くなってきた。そこにふかふかの布団があるなら、飛び込まないわけにはいかないだろう。


「「わーい。」」

 結構子供っぽいと言われがちな歓声をあげて僕はお布団庭折れ込む。


 ⋯⋯ わーいが二重に聞こえたと思ったら、ヒウチも同じように布団へ転がっていた。子供っぽい仲間だ。そのまま意味もなくゴロゴロする僕ら。他の人たちからの目線が痛い。


「まあ、疲れているのは事実じゃし、こやつらのやることも一理あるのではないかの。」


 シロのセリフで、僕らは肯定された。ヒウチと目線を交わし合って、勝利を確認する。勝った。僕らの勝利だ。これほど勝利と呼べないものも珍しい気がするけれど、気のせいだ。




「この子供っぽい寝方を見てからじゃ、気が進まないけれど、それがいいわ。」

 ちょっといやそうにタテは賛成した。⋯⋯ うん。賛成したから勝ち。



「何言ってるの、夜はこれからじゃない。」

 まだ着いてきている主神がその流れをぶった切る。⋯⋯ あなた、分身に仕事任せておいて、よくそんなこと言えますね。



「枕投げしましょう。」


 自分で整えたはずの枕を掴み上げて、ヤーンはそんなことを言い出した。


「あー、はいはい。では、お休みじゃ。」

 面倒臭くなったのか、シロは適当に受け流して、布団に潜った。



 タテはヤーンをたしなめようと口をひらきかけ、そうして諦めたかのように首を振った。⋯⋯ そりゃ、確かにこの主神、言い出したら聞かなそうだもの。


「なんのために私がここに本戦出場者をこの部屋に集めたと思ってるの! 当然、枕投げで疲労を均等にするために決まってるじゃない。」


 ちょっと主神が何言ってるのかわからない。僕の理解を超えている。


「そうね。一回戦と二回戦の方と三回戦、4回戦の方の2チームに分かれてでやってもらいましょうか。勝者のチームにはこのヤクシ謹製の復活呪文を掛けてあげるわ。本戦で一回復活できるわよ。」


 全員の目の色が変わった。どう考えても公然たる八百長だが、主催者が行っている以上無問題だろう。疲労を無視しても、やらなくてはいけない理由ができてしまった。



「それじゃあ、チームごとに集まって。」

 先ほどゴロゴロしていたのが嘘のように僕とヒウチは立ち上がったし、シロも何事もなかったかのように浮き上がった。それほどヤーンの提案は美味しすぎた。




 こちらのチームは、僕、サクラ、アサマ、シロ、ツルギ。


 あちらのチームは、ユウキ、イチフサ、ヒウチ、フジ、タテ。


 なかなかバランスが取れた編成だと思う。人数比も一緒だし。⋯⋯ 人数を合わせるためにも僕とユウキは敵同士でなくてはならなかったのだろう。ちょっぴり残念だ。



「私が審判してあげるわ。」

 主神、天秤でも装備してるんじゃないかと思うほどに審判大好きだ。大変そうだからいたわってあげようと考えたこともあったけれど、それも必要ないほど楽しんでる。根っから観察者でいるのが好きなんだろう。⋯⋯ 手強い人だ。






「ルールもちゃんと決めときましょうか。真ん中に線を引くから、そこを境目とすること。布団に隠れるのはなし。神の力も使用禁止。乱打戦ね。当てた数は私がきちんとカウントしておくから、何も心配せずに投げなさい。ふふ。楽しくなりそうね。」

 ヤーンが片手を振ると、線というより足壁といった方が正確な出っ張りが僕らを分断した。⋯⋯ さすがはヤーンの館。準備万端だな。


 枕投げは安全な枕を武器にして戦う由緒正しい戦闘シミュレーションだ。そこにわざわざ殺傷能力を与えることはあるまい。多分、身体能力的には同じくらいだし、僕らでもいけるはずだ。⋯⋯ いや、シロとか見てるとそれは違う気もするけれど。シロの敏捷性はそれこそ神技といってもいいだろう。なんであんなことになったんだろうか。もしかして舞空術って大気を目に見えない速度で踏みしめることによって成立するのか? なら、浮かんでばかりのシロの足から生み出される敏捷性が類を見ないほど強力なのもわからない話ではない。いや、超自然的な力ということにした方が説明は楽かもしれないけれど。



「枕は30個用意したわ。なくなることはないはずよ。」

 いや、ほんと本気ですねヤーンさん。元気だ。


 そういえば、枕投げって確か公式ルールとかあったはずだけど。⋯⋯ まあ、ヤーンがルールってことでいいか。主神だしね。神様よりも上だからね。



 めいめい枕を持つ。とりあえず、防御用と投げる用で二つ。全然全身を覆えていないので防御の意味があるかは疑問だけれど。



 向こうの陣形もこちらと同じくバラバラだった。いや、まあそりゃあ連携取れないのも無理はない。急造チームだからな。仕方ない。なんらかの策を用いる展開はないといっていいだろう。


「じゃあ、はじめ! 」

 嬉しそうに、ヤーンは宣誓した。








































ヤーンは頭おかしい(褒め言葉かもしれない

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