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異世界山行  作者: 石化
第一章:山。山? 山!

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市房1

  平野で一泊。空気は現代日本と違い清浄だ。所々に民家は見えるが、一軒一軒かなり離れている。大丈夫か? 一箇所に集まっとかないと盗賊が怖いと思うんだが。平野だし。山地じゃないし。街から遠いし。まあ、治安がいいんだろうな。誰がここを治めているかは知らないけど。

「ここらは確か、市房神社の社有地だったはずじゃ 」

 シロが意外と識っていた。

「意外とはなんじゃ! 意外とは! 」

「だってシロずっと引きこもってたらしいじゃん 」

 よし、これで黙るだろう。

「意外とわし、外に出かけたこともあるんじゃよ。引きこもりも何億年に渡ると辛くての。ここは、わしの他の山神がおるところじゃし 」

「というと、市房って名前? 」

 まあ、そうだろうな。神社あるし。

「そうじゃよ。まあ、会うにはお主が向こうの世界でやった様に真名を呼び続ける必要があるがのう。じゃが、わしがいれば顔パスじゃ 」

 シロは任せておけという様に胸を叩いた。

「どんな神様なんだろう? 」

 ユウキが僕へ顔を向ける。

「どーだろ? 」

 絶対ユウキの方が可愛い。

「剣よ。それ、直接言ったほうがいいぞ 」

 シロは保護者的目線をこちらに向け、優しく言った。




 


 今日は、ここに泊まろう。暮れなずみ行く光景を見て、僕は決めた。シロが家を取り出し、二人してすぐに家に入っていく。

「剣も早くー 」

 ユウキの声が中から聞こえる。

「ちょっと待ってて 」

 僕はそう答えて山の方を睨む。


 太陽が山の反対側に沈んでいく。西日に照らされ、東に大きく立ちふさがっている山、市房山の威容がくっきりと際立つ。左の峠から立ち上がり、ピークをつくる。その頂から、一旦は低くなるも、程なく再び高くなっていく。下からでも鋭さがわかる照らされ赤く染まった岩肌をみせて鋸屋根が徐々に高度を上げていく。そして、最終的にひときわ高い峰が天を突いて聳えていた。両端の峰によって仕切られた歯の大きな鉈を上に向けた感じだ。ナタというには歪曲は緩やかだが。

 岩肌の下からは落葉樹の森林が広がっている様だが、中腹からは濃い緑が目立ってくる。針葉樹がたくさん生えているのだろう。重厚な山容というにふさわしい。典麗な姿だ。僕らのいるのはやや左側よりの山麓。ふむ。左から行こう。鋸屋根の上を歩くのも面白そうだ。まあ、落ちてもシロがいるから大丈夫でしょ。下から眺めるのもいいものだ。さて、こんなところかな。僕が山の品定めを終えると同時に、中からユウキの声がした。

「もう、いつまで外にいるの。ご飯できるよ 」

「今帰るよ 」

 僕は返事する。しっかし、仕事早いなユウキ。僕が山見てたのそんな長い時間じゃないぞ。

 ⋯⋯ まさか、時が経つのを忘れて見入ってた? ⋯⋯ やばいな僕。どこの頭おかしいやつだよ。⋯⋯ まあいいや。それも僕だ。自分の存在は肯定しておくに限るぜ。



 食事に関してはすごく美味しかったと言っておこう。⋯⋯ 描写が適当って? いやだって、食事って何日も続けて行くと日常の一部になるからね。仕方ないね。


 ⋯⋯ ごめんなさい。悪かったです。明日の朝はちゃんと描写するんで許してください。


 シロが沸かしてくれたお風呂に入って、すぐに寝ることにした。まあ、はっきり言って疲れがたまっている。仕方ない。他の二人も早々に眠りに落ちていったみたいだ。



 次の日、朝早く僕は起きた。ユウキはもう起きているみたいで、台所から音が聞こえている。ユウキには頭が上がらない。⋯⋯ 僕もそろそろ家事を覚えなきゃとは思うんだけどね。どうしても後回しになってしまう。まあ、あれだ。雨で進めない日とかに習うことにしよう。逃げてない。逃げてないから。

「剣、シロを起こしてきて 」

 食器を並べるユウキに言われ僕は二階に向かう。シロは意外と寝坊することも多い。一番初めの出発の朝は例外だ。なんであいつあんなに早かったんだ? まさかヤーンがチートしていてたのか? ありうるよーなありえないよーな。まあ、時を司る主神様の力をただの目覚ましがわりに使うのは良くないと思います。

「シロー。起きろー 」

 僕はシロの部屋の扉を開いて言う。部屋の中も白一色。まあ、ちょいちょい灰っぽいのも混じっているからそんなに病院みたいな感じはしない。むしろモノクロテレビみたいな感じだ。シーツも白いしな。

「むにゃむにゃあともう少しだけじゃ… 」

 シロは寝返りを打って幸せそうな表情で寝言を言う。…こりゃダメだ。さすがシロ。とりあえず揺さぶってみる。何も言わずにひたすら揺さぶること30秒近く。

「…うん、何かのう 」

 まだ寝ぼけ眼だが、シロは目を覚ました。

「シロ、朝ごはんできたって 」

 僕は結構大きめの声で言う。

「わかったわい。すぐ行くからの 」

 覚醒するまでは早い。ここら辺は性分ってやつだろう。まあ、寝ぼけて蹴ってこないのはありがたい。半殺しになるからな。筋力極振りとまでは行かずとも神様の身体能力は結構高い気がする。


 シロとともに階段を降りる。

「遅いよ 」

 ユウキがプンスカという擬音が似合う表情と身振りをして僕らを席にいざなった。

「ごめんごめん 」

「悪かったのじゃ 」

 僕とシロは謝って席に着く。


 今日のご飯は白米に味噌汁である。すっごく日本的だ。どちらも普通にこの世界に存在していてびびった。まあ、すごくありがたい。僕もユウキも朝はごはん勢だったから朝はごはん一択である。ごはん勢とパン勢が結婚した時、その夫婦の諍い初めは朝ごはんの種類なんだろうな。よかったユウキがごはん勢で。


 僕らは特に合わせようとすることもなしにハモっていただきますを言った。息合ってるな。まあ、こっちに来てからずっと3人一緒だったから、仕方ない。

 ごはんを味わって食べる。早く食べるのは意味ないしな。ゆっくり食べていると、2人が先に食べ終わった。あれ、まだ僕3分の2くらいしか食べてないんだけど。

 さすがに僕は悟った。遅すぎた。急ごう。ある種の同調圧力ってやつだな。これが日本式社会か。⋯⋯ いや、万国共通だろうな、うん。


 ごはん中は無言だったけど、食べ終わったユウキとシロは2人で話し始めた。あれだな。飯がうまければ口数が少なくなるってやつ。そして、食べ終わると満腹で話に回る気が無くなる。⋯⋯ 二次会とかで食事会したところで仲良くなるのは至難の技だな。何が人脈獲得の場だよ。




「シロ、いい加減にごはん作ろうよ。挑戦しないと成果は得られないんだよ!」

「いつかやるのじゃ、いつか⋯⋯ 」

「ずっと言ってるよね、それ 」

「そ、そんなことないわい 」

 シロは焦る。⋯⋯ シロはメシマズ勢。知ってた。ユウキ、頑張れ。

「剣はわしより無責任じゃのう 」

 耳ざといシロは、聞き逃さなかったようだ。いや、心読みざといというべきかもしれない。そして確かに僕は無責任なのかもしれない。ユウキだけにご飯を任せると言ったのと同じことな気がするから。


イ「私の名前が明らかに!!!」

サ「よかったわね。」

石「あと3、4話はでてこないけどな」

イ&サ「復活してる?!」

石「実家限定のいい生活習慣のおかげで。⋯⋯ 今日からまた破滅的な一人暮らしに戻るけど」

サ「今の内に叩き込んでおきなさいよ。」

石「いや、もう遅い。」

サ「ご飯は5時に作り始めて、7時に食べる。お風呂は9時前ね。気をつけなさい。」

石「いや、通学時間が⋯⋯ 。」

イ「言い訳ですね。つべこべ言ってないでやってください!」

石「押忍!」

サ「なんか返事がおかしい気がするんだけど気のせい?」

石「由緒正しき返事だぞ」

サ「突っ込まないでおくわ。」


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