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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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4回戦

匿名の誰かというか、日本第二の高峰というか。モブ視点です

 突然だが、愚痴を言わせてほしい。私の名前はキタ。山神キタだ。私の生まれた場所はおそらくこの星の最北端。空には幻想的な色のカーテンがゆらゆらと揺らめき、極寒の冬が一年中支配する、そんな地域だ。


 その場所は私と相性が良かったようだ。多かれ少なかれ、山神は自分の山の上ならば能力が向上するが、私のそれは、格が違った。異常と言ってもいいかもしれない。どんな相手であろうと、私がそこにいる限り負けることはないと思う。その証拠に、度々隕石が飛来してきたが、吹雪を高速でぶつけたり、手に持つ剣でぶった切ったり、地上には何も被害を出さずに消滅させることができた。⋯⋯ ただ、一つ気になっていることがある。どう考えても私の上に飛来する隕石の数は多すぎた。この星に落ちる全ての隕石が私のところに飛んでくると言っても過言ではないほどだった。私は、ヤーンがなんらかの細工をしたのではないかと疑っている。まあ、いいけど。別に倒せないわけじゃなかったし。でも、一言くらい断りを入れてくれたっていいじゃん。



 これは愚痴一つめ。いや、本当、私が留守にしてる時に隕石落とさないでよね。お願い。


 そして、これは二つ目なのだが、私たちは時々、ヤーンの企画するイベントで力を比べることになっている。それ自体は構わないし、普段は交流できない神とも話せるからいいんだけど、問題は、戦いだ。色々と試してみてわかったのだけど、私の力、能力は北に行けば行くほど強くなると言うことに集約されているみたいだ。現実世界ならば、たとえ南極点であっても、微弱ながらその力は働くので、少し北に移動するだけである程度の実力にはなるし、それこそ北極点だったら、誰も私の敵じゃない。


 けれど、このイベントで戦わなくちゃならない場所は、仮想世界内。方角なんて存在しない場所。私の加護はその力を発揮できず、凡百の神々と同列に予選敗退を繰り返している。ヤーンが言うには、現実世界だと、色々被害が出るし、場所が近い神様が有利になるからってことらしいけれど、それじゃあ、私だけ不利じゃん。戦う前からハンデ負わされてるじゃん。私だって無双したいよ。三山って言われたいよ。どう考えても北極点にいるなら無双できるんだけどなー。山神全員まとめてぶっ飛ばせるんだけどなー。



 ⋯⋯ うん。自分で言ってて虚しくなった。仮定の話は言っても仕方のないことだし、とにかくできることからやっていこう。





 そう決意してから見た画面に映る自分の組の相手。⋯⋯ フジとタテって詰みゲーでは。ちょっと儘ならぬ世界に絶望した。なんで三山を二人も同一ブロックに配置したの。説明責任ってものがあるでしょ。






 何人かの神の目のハイライトが消えて、死んだ表情になっているのを素知らぬふりで、ヤーンは再びフィールドを構築し終える。

 主神ぐう鬼畜。


 仕方がないと諦めて腹をくくって、扉をくぐった。



 目に広がるのは、一面の青空。そして、飾り気のない円形のフィールド。網目状に黒いタイルが貼られていてよく滑る。やけにあっさりしたフィールドだ。主神のやつめんどくさくなったな。でも、これ、噴火されたら一発でお陀仏では。⋯⋯ 対戦者といい狙ってやってるだろこれ! 談合は許されない。





 まあ、でも、フジを最初にどうにかできれば、勝機は十分にある。


 全員等間隔に散らばって転移されている。一人一人の距離はだいたい10m。うん。割と広いね。


 私は、周囲を見渡してフジの場所を特定した。黒髪の彼女は相変わらず自信なさそうに俯いている。誰もあれが最強の山だとは思うまい。当然、私たちは皆知っているので油断などしないし、できないのだが。




「それでは、4回戦。はじめ。」

 ヤーンの声が響くと同時に私は飛び出した。何人か私と同じ考えの神がいたようで、フジの方向に人が集まる。フジは戦闘形態になるまで時間がかかる。そこを突くしかない。



 矢のように流星となってフジの方へ向かう。だが、体がついてこない。いつものイメージと比べて体が弱すぎる。


 フジは近くの神たちの攻撃を紙一重でいなしているようだった。攻撃力はないけれど、あの形態のフジは容易に崩せない。だが、そうこうしているうちに、フジの髪の色がどんどん赤く染まって行く。まずい。必死に距離を詰めて、大剣を振るい首を落とそうとするが、一歩遅かった。フジの目の色が赤く染まる。髪も服も全てが赤くなる。


「あんたたち。よくも嬲ってくれたわね。これでも食らいなさい。大噴火っ!」



 フジの頭の上から、溶岩が噴出する。私は自分の全て乗せて目の前に来た噴石を斬る。北の概念があったならばなんの痛痒もなく消滅させられるのに、この程度の岩をぶった切るのに全てを賭けないと無理だった。


 力を使い果たした私にさらなる溶岩の雨が降り注ぐ。これは躱せない。私は、諦めた。



「北だったら、私が最強なのに!」

 とりあえず意味のない捨て台詞を吐いて、私は死んだ。

























 

キタ「私を出したのは評価するけど、なにあれ、やられ役じゃない。」

石「君が出て来る予定はなかったんだって。」

キタ「ホダカを出して私を出さないなんて許さないから。」

石「まあ、三位と一位を出しておいて二位を出さないことはできなかったから。」


キタ「良い心がけ。」

石「ところで、君の性格ってどんな感じなの。とらえどころがないんだけど。」

キタ「なんであなたが知らないのよ⋯⋯ 」

石「視点が渡る前に、一度も出てこなかったのが悪い。」

キタ「あなたのせいじゃん。」

石「⋯⋯ やっぱりブレてる気がするんだよなあ。」

キタ「あんたのせいだよ! 」

石「興奮したら口調が変わるのかなあ。」

キタ「深いことは考えないの。私は私なんだから。」

石「なんだか悟っていらっしゃる。」

キタ「初登場でこんな扱いなんだからそりゃ悟りも開けるに決まってるでしょ。」


石「⋯⋯ 多分出番あるから。」


キタ「慰めにすら確実性を持たせないの鬼畜じゃない?! 」



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