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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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二回戦5

2日ほど風邪でダウンしてました。⋯⋯ ワンチャン飯を食わなくても生きていけることがわかったような⋯⋯ (気のせいです。食べます。


 シロが作り出した、真っ白な世界。その中で、一人だけ、何も問題などないかのように高速で動く影がある。シロだ。そりゃあ自分で作った世界だ。影響受けるはずもないか。


 近くのホダカとツルギを避けて、尾根上の修験チームの方へ。まあ、あちらの方が個々の力は弱いだろうし、いい判断だと思う。修験チームは、視界をやられて何もできないままに、次々とシロに狩られていった。一撃で首を持っていくその姿は⋯⋯ 。うん。怖い。


 近くは仲間たちでいっぱいだという先入観もシロに対して反撃できなかった理由だろう。当てずっぽうで迎撃して味方に当たったら目も当てられない。


 だが、周囲から気配がなくなるにつれ、仲間もろともやってやるという気概で持って、炎をぶっ放す神も現れ始めた。だが、もともとシロは非常に素早い。狙いをつけて撃っても躱されることの方が多い炎弾が、盲滅法めくらめっぽうな滅多打ちで当たるはずもなかった。むしろ数少ない味方の方にあたる始末。なかなかな地獄絵図が展開された。



 白の世界の中に赤の血が飛び散る光景は、残酷で美しいものだった。生き返るとはいえ、これは殺し合いだ。チームを組んで戦う時点で戦争の一歩手前だ。戦闘訓練という言葉が頭に浮かび、慌てて振り払う。誰がこの神様たちに戦争を仕掛けてくるっていうんだ。どんな欲深い帝国でも、手を出すコストがでかすぎるというのは何もせずともわかるだろう。まず、少なくとも山一個吹き飛ばせるくらいの攻撃が不可欠だろう。だが、神様たちの仲間意識はかなり強い。誰かが吹っ飛ばされたら、全員で報復に来てもおかしくはない。自由に転移で世界中を移動する天変地異を巻き起こす集団。⋯⋯ うん。神様を敵に回すのはよっぽどのバカだ。


 この世界で生きるに当たって、神様と一緒に過ごせているのはかなりの僥倖かもしれない。





 結局、修験チームは全滅した。ホウミツとかなんのいいところもなかったな。いや、シロの技が反則ギリギリなほど強力だっていうのもあるけれど。





「ぬう。」

 シロが唸った。


 ホダカとツルギが物音を頼りにしたのだろうか、シロに肉薄して、武器を突き出していた。

 ギリギリのところでかわすシロだが、流れるように連携した動きで、ツルギの刀がうねり、ホダカの短刀がきらめく。


「返り血じゃな! 」


 そう。シロの体は、返り血で赤く染まっていた。全てが白に変えられたとはいえ、新たに作り出された色はそのまま残る。シロと地面だけが赤い世界で、シロという目標を見つけるのは簡単だった。


 一転して窮地に立つシロ。だが、刀と短剣の乱舞を捌く。捌く。防戦一方ながら、致命的な隙は生まれない。シロの力の一端が存分に発揮されている。ホダカとツルギが甘いわけではない。並みの武芸者なら一合も持たないであろう技量を彼女たちは持っていると思う。だが、シロは、それを防ぎきる。



 ツルギの大振りをガードして、シロは吹き飛ばされた。だが、何事もなかったかのように地に降り立ち武器を構え直した。さすがにホダカとツルギにもさらなる追撃を行う余裕はなかったようで、そこで互いに向き合う。


 多くの命を奪った氷の短刀を逆手に構えたシロ。二本の短刀を両手に持って重心を低く落とすホダカ。剣を体の横に、剣先がに天を指すように構える、いわゆる八相の構えをとるツルギ。三者ともに気力が充溢し、その力が画面を通して、こちらにまで漂ってくるようだった。


 ここでも2対1。誰とも組まなかったシロの数的不利はまだ響く。だが、シロがそれを問題にしようはずもない。


 不敵に笑って、均衡を破る。シロって思っていたよりも好戦的なんだろうか。先ほどの膠着状態もシロが破っていたし。



 シロは一直線に、ツルギへと迫る。二人を同時に相手していたら処理が追いつかない。どちらか一方に迫るのは悪くない選択だ。ツルギはただ静かに剣を振り下ろす。何の力もこもっていないような静かな斬撃。だが。


「すごいね⋯⋯ 。」

 ユウキはため息をつくように惚れ惚れとそれを見つめた。僕も同感だ。人を切るのに最小の力だけしか入っていないそれは相手の動きに応じていかようにも軌道を変えることができるだろう。剣を嗜むものとしての完成形がその斬撃に宿っていた。




 だが、シロは、その間合いに入らなかった。いや、間合いに入るか入らないかのうちにツルギに向かって、目潰しのごとく、粉雪を浴びせかけた。そして、それをものともしないツルギの一振りが迫ってくるのを知ってかしらずか、隙をうかがうホダカの方へ急接近する。


「なんだって?! 」

 隙あらば刺そうくらいの心地でいたに違いないホダカは驚きを隠せないようだった。それはそうだ。あんな見事な方向転換、なかなか拝めない。それでも、かろうじて反応するホダカ。彼女の下からの双剣の切り上げをシロは刀の一閃で弾き飛ばした。今度こそ驚愕一色に染まるホダカの首を返す刀で一刀両断。






「そこまで。突破はシロとツルギ。」


 ヤーンの声が響いた。無事にヒコは回収してきたらしい。うん。シロ無双だったな。全てを引っ掻き回して、正面から突破した。ツルギには申し訳ないが、シロが二回戦の圧倒的一位と言ってしまって問題ないだろう。




 転移が始まったようで、画面は一番最初の暗黒へと切り替わった。



「今回も面白かったわねー。」

「やっぱりシロは強いね。」

「ところで、まだいるの? 」

「君がまた寝たら大変だから。」

「いい加減大丈夫よ。」


 ヤクシとヤーンが夫婦漫才している。ヤクシは出ないのだろうか。ヤーンが出たら時が止まって終了だろうけれど。しかし、ヤクシも無限に復活してくるゾンビアタックが可能と考えると侮れない強敵⋯⋯ 。というか、倒せなくないか? まあ、凍りつかせればいいのかもしれない。多分、復活させるためにずっと解説席にいなくちゃいけないんだろうから、気にしなくてもいいとは思うけれど。


「それより三回戦ね。あなたも出るんだから、私の世話は終わり。いいわね。」

「はいはい。わかったよまったく。こんな主神様を持つと苦労しちゃうね。」

「何か言った?」

「いいえ、何にも。」

 君たちはお笑いにでも転向しなさい。いやしくも司会でしょうが。自分たちだけで完結しててどないすんの。おっと、いけない関西弁が。



 さらっと聞き流したけれど、ヤクシ、三回戦に出るみたいだ。倒せるんですか。復活魔法をも使えるチート山神なんだけど。


















⋯⋯ シロtueee! ものではあるかもしれない気がしてきました。圧倒的すぎる。

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