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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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合間と二回戦

お久しぶりです。山に行ってたり、コミケに行ってたり、2日かけて帰省しまた2日かけて戻るなどしてました。もう18切符使わねえ。


更新止めてたのにも関わらず、前話の続きすぎて大丈夫だろうか


 立ち話をしている間はそこまで気にしてなかったけれど、立ち止まっている僕たちは歩いている人たちの邪魔になっている。折ふし、入れ替わりも激しい時刻。会場に向かう神と、入り口から離れようとする神たちで、僕らを迂回しながらに流れのようなものが形成されていた。⋯⋯ 神様たちの人数多いな。確か予選は4回戦まであるんだろ。その半分がここにいるとはいえ、この人口密度。都会のど真ん中にも比することができるかもしれない。川の流れを遮る杭のように邪魔にしかなっていないことに気づいた僕たちは、そそくさと、その場所を立ち去った。












「剣さーん。こっちです!」

人混みの向こうから、間延びして聞こえるイチフサの声が聞こえてきた。姿は見えねども、おそらくこちらのというより僕の心の声を聞いて、声をかけたのだろう。どうやって合流するかに頭を悩まし初めていた頃だったので、助かった。



「お疲れ様—。危うげなくてよかったよ。」

ユウキはほっとしたように息を吐いた。結構心配してくれたらしい。

「当然です! なんで人間のあなたがこんなところで戦うなんて危ないに決まってるんですから。ユウキさん、心が動いて動いて。私、試合どころじゃありませんでしたからね。」


「ごめん。」

「⋯⋯ ごめんなさい。」

「「サクラが謝った?! 」」

「私、そんなに謝らない子じゃないわよ! 」


それはないと思うけど⋯⋯ 。いや、沸点が低いだけで、自分が悪いと思ったらちゃんと謝るな、そう言えば。失礼だったかも。



 僕ら4人が落ち着ける場所を探しているうちに、早くも二回戦の用意が整ったようだった。


 「一回戦と同じくらい面白いのを期待してるわよ。」

求めるのが面白さって、戦いの審判としてどうなんですかね。


「はい、じゃあ、初め。」

同じように、あんまり気負わないでヤーンは開始を宣言する。

だからもっとこう、剣道の審判みたいに気合いの入った「初め! 」をですね⋯⋯ 。いやいや、その前に座れる場所がないと。落ち落ち見てばかりもいられない。



 僕らが外れの原っぱに落ち着いたのはしばらくたってのことだった。ここにもきちんと、大画面の液晶体というか画面というか、世界の窓が開いていて、見物ができるようになっていた。至れり尽くせりな会場だ。どこでも見れるのは贅沢が過ぎる。



 覗く世界は、先ほどの一回戦とは打って変わってどこかで見たような山の中。斜面に障害物のような木々が立ち並び、下草もまた、足を絡め取るようにぼうぼうと生い茂る。山神たちのホームグラウンドだ。しばらくたってから見始めたので、一番最初の戦いがどうであったかはわからないけれど、今のところそこまで派手なものになってはいないようだった。


一回戦はハリウッド特撮もかくやと言わんばかりの炎と爆発に彩られた試合だったが、異なる仮想世界とは言え山を傷つけたくはないのか、火の神様もいないわけではなかろうに、炎は上がらない。ただひたすら、遭遇戦による一対一だ。作られた戦場は、ある山の尾根らしく、両側の谷は深い霧がかかり、下には行き過ぎることはできない仕様のようだ。なんだか、オープンワールドにしようとして失敗したゲームみたいだな。尾根も途中で霧に遮られているのがさらにその感覚を助長する。四面四角が霧に囲まれた、そんな感じの会場全景だ。


 試合していたから気付きようがなかったけれど、この窓は、様々な場所からの光景を写すことが可能なようだ。俯瞰してみせる会場の全体図。神様たちの索敵の様子や会敵の様子。それらが、目まぐるしく移り変わる。全ての窓が違う景色を映し出している。僕らの世界においても、定点カメラやらとんでもなく高い技術を持ったカメラマンやらに頼らなくては映し出せないような光景を絶えず見せているのは、ヤーンの作り出した空間だからだろうか。これらすべてを生み出し運用する苦労はいかばかりか、想像するだに大変そうだ。この言葉は、全然用法が違うだろうが、社畜と見まごうばかりの働きだろう。お疲れ様です。今日、開会式を開くのが遅れたのはきっと、この用意があったからなのだろう。


「⋯⋯ 私は何も言いませんよ!」

「そうよ。勘違いしているなら好都合じゃない!」

唐突に、どこかに向けて、言い訳をするイチフサとサクラ。誰かからの注意でもあったのだろうか。冷や汗が激しい。


「どうしたの、二人とも?」

ユウキも不審に思ったようで問いかける。

 

「なっ、なんでもないです! 」

「そっ、そうよ。気にしないのが一番よ!」   


さらに慌てる二人。ますます怪しい。


「ほら、シロ映ってるわよ! 」

露骨すぎる話題転換。

「えっ、本当。」

でも、僕もユウキもそれだけで、画面に引き戻される。それだけ僕らの中ではシロというのが大きな存在となっている。シロの活躍をあますところなく見ておきたい。自分の子供がオリンピック選手になった親のような心境である。


 サクラの言う通り、尾根おねでシロが暗殺者と化しているのがちょうど映っている。死角から忍び寄り、短く錬成した氷の刀で、急所を一差し。強い。何が強いってほとんど物音を立てていないところだ。おかげでシロの襲撃は誰にも気付かれずにかなりの神を葬った。1戦目が大味な火山の噴火勝負になったのとは対照的だ。もしかしたら、同じ展開になるのを嫌っての戦場選択だったのかもしれない。その目論見は当たったようで、火勢の回るのを恐れてか、火山も多くいると言うのに、誰も火を使わない。霧によって、木々が湿りを帯びているのも一因だ。威力が減退してしまうのは好まれることではない。そうでなくても力を削るのだ。環境の変化に敏感な神々が使わないのは当然のことなのだろう。⋯⋯ いや、最後のあたりは完璧に僕の想像だけどさ。


 とりあえず、シロからは必殺仕事人の風格が漂っているので、気にしなくても大丈夫だろう。


 画面が移り変わった。今度はひとかたまりになって他の山神を蹴散らして言っている神様たちが映る。ふた枠あるとわかったので、協力すると言う戦略が生まれたのだろう。その中でもこの組は圧倒的だった。まず、人数が多い。10人くらいいるのではないだろうか。その神様たちが一糸乱れぬ動きで、札を投げ、爆発やら衝撃波やら雷撃やら、色々な術を発言させている。服装は修験服。あの一派だろう。思っていた通り、その中にはホウミツやオオミネ、ヒコなど、さっき知り合った神様がいた。山神の修験連合会だ。単純に戦力が多い上に、息もぴったりで、進路上にいる神様たちは、二人組であろうと三人組であろうと御構い無しに蹴散らされていく。数は力だ。少々地形がその進軍の邪魔をしているが、その程度は問題にもならぬほどに、その歩みは止まる気配すらなかった。



⋯⋯ これ、シロ大丈夫か? 負けるとは思わないけど、やっぱり人数差は不安だ。












ホ「どうだった? 僕の本体(やま)は」

石「すごかったよ。すごかったけど⋯⋯ 。なんでずっと雲の中なんだよ!めちゃくちゃ寒かったぞ。」


ホ「君石のくせに温度感じるんだ?」


石「いや、今のは言葉の綾というかなんというか。」


ホ「で、二回戦での僕の扱い変えてくれる気になった?」


石「やっぱりそれ恨んでたからあんなに天気が悪かったんだ!」


ホ「いや、現実との区別はちゃんとつけとこうよ。」


石「辛い。」



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