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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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一回戦

あれ。おかしいな一回戦のはずなのにほとんど戦闘描写がないぞ


 







「サクラ、どうしたんだよ。いきなり連れ出して。」

 僕の声は困惑を隠しきれていなかったように思う。



 円形の会場を、僕の手を引いてズンズン歩くサクラは強引だったけれど、なんだか必死で、無下にはできないような気持ちがした。


「剣も⋯⋯。」

「なに?」

 ようやく口を開いたサクラ。僕は間髪を入れずに切り込む。サクラの退路を失わせるのだ。


「剣も私と一緒に大会に出るの! いいでしょ!」

 サクラの言葉はつっけんどんにして少しというかだいぶ説明不足だった。なぜ、僕が、神々の戦いの中へ入っていかなければならないのか。肝心なところが全く説明されていない。


「いいから来なさい!」

 そんなサクラの言葉はその上にさらに理不尽を重ねてくるものだった。でも、その居丈高な言葉とは裏腹に、彼女の表情は、不安げで、拒絶されるのを恐れているかのようだった。それをみて、その手をふりはらえるほど僕は無情にはできていない。再び進み始めたサクラに抗うことなくついていくことを決めたのは、そんな思いがあったからだろう。人は自分の考えを完璧に理解することはできない。よくわからない衝動に支配されることは珍しいことではない。今回の件はそういうことではないのだけれど、でも、怪我をするかも知れないという自分の不利益を忘れてその手に引かれたのは、自分の中に本当に解読不能な心の動きを得たからに違いない。





  でも、扉が近づくにつれ、場違いだという思いがどんどん濃くなっていった。一回戦に出るらしい神様がたくさん集結している。どの神様もやる気十分といった風情だ。心に余裕があるのなら知り合いがいないか探すところだが、生憎そんな気分にはなれない。




「ねえ、やっぱりどう考えても僕と一緒に出るっていうのは間違いなんじゃないか?」

 手を繋ぐ同線上からサクラの方へ続く目線道を辿って問いかける。

「いいの。」

 サクラは有無を言わせぬ調子だった。強く言い返せずに僕はそのままおし黙る。



「なら行くわよ。」

 ちょうど開場の時間となっていた。並んだ神様たちは続々と扉を模したゲートを通って異界へと出発して行く。僕もサクラの手に引かれて、ふらふらとそのゲートの方へ進んでいった。神様だけが通れる門で僕だけ通れないというオチでじゃないかなって一瞬思ったけど、無情にも、その先へ、少しの抵抗とともに踏み出せてしまった。



 落胆したのは一瞬で、僕はすぐにその先にあった光景に目を奪われてしまった。先ほどの山の上とは何も関係することのない風景。青い空。それに負けずに青い海。そう。ただの沖縄である。⋯⋯ いや、沖縄と断言するのは語弊があるかもしれない。グアムでもいいし、ハワイでもいい。つまりはそういう観光地のような南国のビーチであった。⋯⋯ 別々の場所に転送されている神たちもそれぞれ戸惑った表情を浮かべている。それはそうだろう。海を恐れる山神様たちだ。わざわざ好き好んでこんなところに来ることはないだろう。しかし、今回はこの場所が戦いの舞台となる。⋯⋯ サクラは海が得意な方なんだし、割と有利になる気がする。





 地形は割と複雑で、砂浜と海が入り乱れている。真ん中というものは一応存在しているようで、そこから円状に砂浜が海を引き込みながら広がっていく。そこまで深いわけでもないようだが、入れば腰くらいまでは浸かりそうだ。



「はいはい。二人残るまでのバトルロワイヤルよ。自分以外は全員敵ね。では、開始。」

 ヤーンの気の抜けた声が開始を宣言した。もうちょっと、声張りましょ。ね。⋯⋯ 疲れているのであればやむおえない気もする。



 気の抜けるような合図でも合図は合図。みんな手頃な神の方へ戦いを挑みに行く。滅多にない本気を出せる機会だからだろうか。だいぶ好戦的になっているようだ。遮るものもほとんどない砂浜であるから、無論こちらに向かって来る神もいる。


「いい度胸ね。」

 サクラはそれに対して迎撃の炎の球を放った。爆発するように燃えながら飛んで行く凄まじい威力を窺わせる火球。だが、向こうも神様だ。当然のように軽やかに、宙に身を翻して避ける。そこにもう一つのより極小の炎の球が着弾する。避けられるのを見越していたらしいサクラはこっそりと別の火球を出していたらしい。

「ふん。シロほどじゃないわね。」

 などと、凛々しく立つサクラは気高く美しい。


 時々シロと戦っていたのがプラスに働いたらしい。なかなかな頭脳プレーだ。やっぱり訓練っていうのは大事なんだよ。


「私一人なら、殲滅しに行きたかったとこだけど⋯⋯ 」

 サクラはこちらをじっと見る。


「剣を連れてきちゃったんだし、守るのを優先するわ。」

「いや、どう考えてもただの足手まといに過ぎないよね、僕。」


「私は良かったと⋯⋯ ううん。なんでもない。」

 しまったとでもいうようにサクラは顔をそらした。いや、そこはちゃんと説明してください。





なぜか主人公が戦闘に参加している件について




次の話は初のガッツリ戦闘となるはずです。⋯⋯ 主人公が避けきれなくて書けなくなるバトルってなんなんですか(2回ほどどうしようもなくなって力技でどうにかした部分があります

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