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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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グダグダの極みの開会式6

そろそろ開会式を始めないと⋯⋯

 


 その開会式が行われるという場所はひどく大きかった。まあ、こんなにたくさんの神様が一同に会するのだから、当然かもしれないけれど。


 そこかしこに神様が集まっては、おしゃべりをしている。女子校ってこんな感じなのだろうか。まあ、神様は性別を持っているかどうかは怪しい。ただ単に姿形が女であるだけと言う可能性も否定できない。見るぶんにはこちらの方が圧倒的にいいのでよくわからない存在に文句を言うのはやめておこう。深い考えがあるのかもしれないし。⋯⋯ なんにも考えていない可能性の方が高い気もするけれど。




 話題の多くは、開会式の遅延についてだった。なんのアナウンスもなくての遅延だったので、しばらくは気にせずに食べ歩きその他の行為を満喫していた神様たちも不安に思いはじめてここに集まってきたらしい。どうしたんだろう。ヤーン。昨日はアサマのところまで案内してくれて、ご飯を食べた後別れたから、全然動向がつかめない。




 なのでやっぱり僕らも、ヤーンが来ない件についておしゃべりをすることとなった。まあ、全部で六人なので、ちょっぴり聞き取りづらいこともあったりなかったり⋯⋯ 。これで、僕の仲間たちまで加わったら、もう収拾がつかないんじゃないだろうか。そういえば、仲間の三人はどうしたんだろう。いつもなら僕らと同じくらいの時間には起きているはずなんだけど、今回は朝食の席にもいなかった。まあ、もしかしたら、僕らが起きるのが遅すぎて先に外に出ただけなのかもしれない。昨日は眠るのが遅くなっちゃったからな。むしろその線の方が濃厚だろう。




 キョロキョロと三人を探す。しかし、神様が多すぎて、割と特徴的な方である僕らの仲間たちは見つからない。神様たちはそれぞれがそれぞれで個性的なのだ。あれだ。雑多なコスプレイヤーが集まるコミケのようなコスプレ会場みたいな感じだ。


 この広い会場は、底がすり壺のように窪んだ形になっている。階段というには小さい段差の刻みが底へ向けて降りて行く。

 そして、その真ん中にはまるで、司会者が座ってるようなシンプルな机と椅子。そして、それを取り囲むように4隅に意味ありげなドアが確認できた。


 おそらくあそこで何かあるんだろうなーと何気無しに眺めていたら、その場所に二人の人物が現れた。


「ほら、ヤーン。しっかりしてよ。」

 なんだかちょっと前に見たことのある神様が、寝ぼけ眼の主神様を引きずっている。あの亜麻色の髪はヤクシだ。僕らと一緒には来れなかったけれど、到着してたんだ。


「なんで私がこんなに回復の力を使っているのに起きないのかなあ。寝たの何時なんだろ。」

 ヤクシは心底不思議そうだった。なんですか。あなたの回復って眠眠打破の効果もあるんですか。最強ですね。姿を見るだけで病すら癒えたと称されたかぐや姫より便利だ⋯⋯ 。竹取物語は短いので、一度原文で読んで見ると面白いよ!


「ほら、しっかりして、あなたがいないと始まらないよ。」

 ヤクシはさらに気合いを入れるようにウンウン唸りながら、ヤーンに念のようなものを送っている。呪文でやったら、もっと効果高そうなのに⋯⋯ 。


「あっなるほど。」

 不意にこちらを向いたヤクシはにぱっと笑った。えっ、さっきの考え聞こえちゃったの。どんな地獄耳だよ。


 僕の感想には答えずに、ヤクシは再び司会の台に寄りかかって眠り始めたヤーンへ向きなおり、目を閉じた。



「よし。やってみよう。風の草原 道は先を示し 先へ先へと導きたり 我は人の道を導くもの 全ての障害を取り除くもの やさしき風は疲れを癒し 浸す水は心を満たす 今ここに我が奇跡を ス レタビエ! 」


 清浄な風が吹き抜ける。僕ら全員が感じられるほどに、強い力を意識させる、だけど優しい柔らかな風だった。目にはさやかに見えねどもではないが、特徴的な光が回復させているのを声高に主張しているのではない。ただ、空気が変わっただけだ。だが、その効力は絶対に素晴らしいものだと、僕は確信した。健康と回復を司る神という言葉は伊達ではない。その証拠に、先ほどまで意識ここにあらずだったヤーンが、初めて目が覚めたように、キョロキョロとあたりを見渡した。



 しばらく表情を変えなかったヤーンだったが、ようやく状況がつかめてきたのだろう。みるみるうちにしまったとでもいうように、表情が変化した。さらに羞恥も覚えたようで、頬に赤みがさす。まあ、醜態晒してたもんな。



 最初にヤーンの口から放たれた言葉は、日本の大学生がツイッター界隈でよく使う言葉だった。


「ええっと。ごめんなさい。絶起しちゃった。」
















 絶起は良くないです

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