グダグダの極みの開会式3
9時に起きて次の話を書き上げようとしていたんですが途中で詰まって、気づいたらこんな時間でした。⋯⋯ 明日のテストに間に合うのだろうか
ホウミツの屋台は、一見したところ、他の屋台と異なる部分はないように思われた。他と違うところといえば餅のようなものを焼いているくらいだろうか。普通の縁日の品物としては、あまり、ふさわしくないようにも思える。
「たっだいまー!」
元気のよいホウミツの声が響く。
「お帰りなさい。いきなり飛び出していくから心配していましたのよ。」
包容力のありそうな声が出迎えた。
「ごめんってオオミネ。」
ホウミツが謝る先には同じように修験服を纏った女性がいた。色素の薄い灰がかった黒髪を二つ結びにして、腰あたりまで長く伸ばす。目は優しげに細くのび、眦も優しい。
「それでこちらの方々は?」
「あの人たちだよ! 」
「ああ。なるほど。」
納得したように頷くオオミネ。⋯⋯ 僕らの知名度はもはや例のあの人レベルなのか。なんだか複雑な気分だ。
「それで⋯⋯ ああ、なるほど。どうぞどうぞ。食べてらっしゃい。遠慮する必要はありませんわ。」
僕の希望を読み取ったらしきオオミネは話を進めること並大抵では無かった。⋯⋯ いや、この表現はおかしいな。早く話が進んだということが言いたかっただけなのだけれど。
「はいどーぞ。」
中にいたまた別の元気そうな子が、紙に包んで渡してくれた。ユウキにも一つ。一つずつだ。
「ありがとう。ええっと。君は?」
お礼を言って、名前を聞く。
「私はヒコ! よろしくね!」
エクスクラメーションマークが踊っているような元気のいい自己紹介。ホウミツと同じくらいの小さな体格。髪色は黄色で、頭の上で結ぶツインテール。向日葵を思わせる輝くような色だ。着物は同じく修験服。⋯⋯ 流行ってるな。あと、いや、違う。多分、この人たちは同じ一派なのだろう。多分。多分が多いな。まあ、良い。
「まあ、そうだね。他にも色々な人がいるよー。勢力人数的には私たちのところが一番多いんじゃないかなー。」
ヒコはえへんと胸を張る。
「まあ、人が多いからと言って、偉いとはいえないのですけれどね。」
オオミネはちょっと困ったような表情となってヒコを制する。
「それより早く食べてよ。冷めると勿体無いよ。」
ホウミツに注意されて、僕らはようやくその紙から餅を取り出した。少し時間が経ってしまっていても、まだホカホカで暖かい。おそらく餡だろう。黒色のものが餅の真奥に入っていて、均一ではないことを教えてくれている。なるほど、餅というより饅頭の方が、近いのであろう。まあ、ただの餅だったら、何か調味料がないと美味しくはないのであろうなと。そんなことを思っていたから、少し安心した。
「じゃあ、いただきます。」
「召し上がれ。」
嬉しそうな3人の言葉。自分の作った料理を食べてもらえるのは嬉しいことだから笑顔になるのは当然だけど、あなたたちのような美人から笑顔を向けられるとこそばゆいです。
口に運ぶ。食感は柔らかい餅とでもいった感じ。いうならば、お雑煮の餅を焼いたような、そんな感触だ。
そして、すぐさま甘味の洪水が口を蹂躙する。見た目ではそこまで餡は含まれていないようだったけれど、思っていた以上に餅の甘味伝導性が高い。味がほとんどないからこそ、餡の味を何倍にも増幅している。美味しい。あと、食べやすい。餅は、普通食べづらいものだけど、これは、何個でも食べられる気がする。
夢中になって食べてしまった。
「美味しかったよ。」
でも、伝えることはシンプルに。食レポはそういう番組でやればいいんだよ。⋯⋯ 普通に嫌いだから見ないけれど。
「その食レポ? というものは存じないのですが、私たちには先ほどの感想全て聞こえてますわよ。」
オオミネは言いづらそうに、でも、はっきりと言った。
「ああっ。」
僕はやってしまったことを察した。自分の嫌がることを他人にしてはいけない。小学校で習う大原則だ。⋯⋯
思考読まれるのはわかってるんだから、もっとやりようがあっただろう。
「まあまあ、仕方ないですわ。別に私は気にしないですし、ねえ? 」
他二人に問いかけるオオミネ。
「嬉しいよ。」
「ありがとう!」
二人とも、そんな風に言ってくれた。優しい世界だ。
「それより、お代わり! 」
なにも喋らなかったユウキは僕よりもさらに味わって食べていたようである。
紙袋を取り出して、ヒコに渡す。
「ありがとう! あるだけ食べてもいいんだよ。」
「いやーそれはさすがに体重がピンチかな⋯⋯ 。」
ちょっとだけほおをひきつらせるユウキ。まあ、食べ過ぎは良くないよね。それはそうと。
「ヒコ、僕もお願い!」
「了解ねっ!」
跳ねるように語尾をあげてヒコは請け負った。
英彦山と大峰山です。⋯⋯ 羽黒山たち湯殿三山も書きたかったんですけど、どうしても艦これが頭をよぎってしまって⋯⋯ 。




