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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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グダグダの極みの開会式2

朝食と神様たちの様子です

 

 僕たちは余韻を確かめ合うように手を繋いで、廊下に出た。なんだか、木張りの床のくせに、誰かが暴れたような形跡があるのだけれども。何があったんだ昨日。





 一階には、アサマがいて、朝食の準備をしていた。挨拶をして席に座る。


「昨日は大変だったよ。」

 僕らの前にスープを置きながら、彼女は疲れ切ったように言った。

「何があったの?」

 ユウキは問いかける。

「いっ、いや。君たちは知らなくていいことさ。」

 なぜだか急に焦って、アサマは、厨房に引っ込んだ。

「なんだったんだろうね。」

 机の真ん中に置いてあるバスケットに入ったパンを手にとって口に運びながらユウキは不思議そうに言った。


 ⋯⋯ あの、廊下の形跡。なんだか嫌な予感、いや後感がしてきた。もはや、前夜のことだからどうしようもないけれど、あの時何かとんでもないことが起こってしまっていたのではないだろうか。アサマをあんな風にしてしまうほどの非常識なことが⋯⋯ 。怖くなってきた。考えないようにしよう。


 やはりアサマの料理は、今日も美味しかった。僕ら二人は大満足の態でごちそうさまと手を合わせる。


 そういえば、他の止まった面々はどうしたんだろう。誰一人見かけていないけど。みんな寝坊でもしているんだろうか。確か、今日から大会ってヤーン言ってたよな。いいのかそれで。僕らは出ないから人ごとだけど、シロもサクラもイチフサも、ずっと楽しみにしていたんじゃないのか? 謎だ。



 さて、ご飯も食べ終わったわけだが、これからどうしたらいいだろうか。誰もいないし、街に出て見るのもいいかもしれない。どうせきちんと始まる時にはお知らせみたいなのをもらえるだろう。もしくは知らされるだろう。



 その考えをユウキに話して見た所、満面の笑顔で承諾されたため、僕らはアサマに出かけてくる旨を伝えて、外に出た。

 窓から漏れ出る光から少しだけ予想はついていたが、思っていたよりも時間は経過していて、朝は朝でも昼に近い朝。時刻にして、9時くらいのようだ。光の種類が違うし、何より、空気が太陽の熱線によって温められきったことがわかる。温くて、でも、ちょうどいい温かさ。外界だったら死ぬほど暑いという感想しか出ないだろうけれど、ここは山の上だ。適度に涼しい。むしろ寒いかもしれない。昨日も動いてなかったら寒かったし。ユウキがそばにいなかったら本当に寒さで震えていたことだろう。人肌ほど恋しくて、温かいものはないんだって、昨日ようやくわかった。



  外は昨日よりはるかに多くの神様でごった返していた。神様特有の、装飾を洗練させた、優美で美しい衣装。それらをまとった神様たちが、それぞれ色の違う髪を翻し、髪飾りも鮮やかに通りを歩く。華やかなお祭りらしき雰囲気だ。わざとなのかどうなのか、浴衣らしき衣装をまとう神様もいて、夏祭りのような気分をさらに高めてくれる。


  アサマの家より簡易な建物。有り体に言うと、屋台のような縁日のような、そんな建物が立ち並び、お祭り気分を増長させる。⋯⋯ 貨幣経済は成り立っているのだろうか。少しだけ、気になる。


 とはいえ、知らない人たちの中に入って行くのは、僕としても具合の悪いことだ。僕は基本的に人見知り。神様たちが心を読めるからいつもはそんなにすることもないけれども、こういう初対面の状態では気恥ずかしくて、なかなか喋りかけることができない。ユウキはそんなことはないと思うけれど、ユウキに頼むのは何か違う気がする。

 


  そんな感じで、ただ何をするともなくブラブラと歩いていた僕らだった。まあ、これはこれで楽しい。見たこともない料理が少ないのは、ヤーンが、こちらの知識を教えてしまったせいだろう。やはり、目新しいものは相応の人気がある。

 

  チョコバナナやらわたあめやら、焼きそばやらなんやらかんやら。

 ⋯⋯ うん。この世界というか神様たちの技術力高いねやっぱり。



  「あっ。君たち、ちょっと待った。」

 屋台の中から呼び止める声がした。どうしたというのだろう。何か気に触ることでもあったのだろうか。神様という護衛がいないので、絡まれてしまうと、無力だ。差し出せるものなんて何もないが、どうしたら許してもらえるだろうか。



 

  ぴょこぴょこと跳ねるように屋台から出てきて、僕らの前に立ちふさがった神様は、その小さな体を精一杯大きく伸ばしていた。その灰髪を縦に長くツインテールとしてまとめ、和の中に洋を纏うような不思議な雰囲気。白と赤のコントラストが印象的な山伏装束。この人は⋯⋯ 。あっ。そうだ。ホウミツだ。山伏の一行と一種即発だった時に現れた神様だ。最初に会った時は僕らのことは気にしていないかのように振舞っていたから、認知されていないのかとも思っていたけれど、割としっかり認識されていたらしい。まあ、そりゃ、神様たちが集まるというのだったら、この人もいておかしくはないか。



「君たちもきてるって聞いた時は驚いたけれど、思っていたより溶け込んでるね。」

 そう言ってホウミツは無邪気に笑う。いや、ほんとか? 男、僕しかいないんだが。これを溶け込んでいるというのは無理があると思うぞ。


「溶け込んでると思うけどなあ。」

 そう言って不満を表す以外なんの他意もなく、唇を尖らせるホウミツは、ロリコンならば、誰しも惚れずにはいられないほどの愛らしさ。⋯⋯ 僕はロリコンじゃないし。


「まあまあ、とにかく、私たちの店のを食べてってよ。」


 めげずに言葉を続けて、ユウキの手を掴んで、もといた出店に案内するホウミツ。



 単に、知り合いがいたから出てきただけみたいだ。


 その後に僕も続く。ちょっとだけなら情報収集もできそうだし、何より、あたりから漂ってくる食べ物の匂いが、腹を早くも空かせはじめている。何か食べさせてもらえるなら、歓迎すべきことだろう。腹の高鳴りを抑えながら期待を膨らませた。























これからは新キャララッシュです




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