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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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グダグダの極みの開会式

えー、タイトルはこんなのですが、グダグダとつけたのが悪かったのか、なかなか開会式は始まりません。

 朝。目を開けると、目の前に長いまつげを生やした瞼があって、ビクっとした。状況を認識できなくて首を振る。ようやく思考が、頭に追いついてくる。昨日僕は、いや、僕たちはあんなことやこんなことをしてしまった。冷静な頭で考えると非常に恥ずかしい。目線の先にいたのはユウキの幼い寝顔。昨日の出来事を受けたのに、その表情は妖艶というよりむしろあどけないものだった。愛おしさが登ってくる。彼女の柔らかな黒髪を指で梳いてやりたくなる。髪型は結局セミロングあたりに落ち着いた。肩よりちょっと長め。どの髪型のユウキも可愛いけれど、この形が自然体という感じがして、僕は一番気に入っている。


 不意にユウキがその目を見開いた。そして、こちらを認識していないかのように体を起こして伸びをする。

「うーん。」

 悩ましげな声が耳朶を打った。

 そして、自らの体をペタペタと確認する。その表情が徐々に困惑を帯びたものに変わっていく。朝日の中の彼女は、その美しい肢体をぼんやりと浮かび上がらせて他に何一つ感想が思いつかないほど綺麗だった。

「なんで私、服着てないの。」

 未だに現状認識ができていないようで、彼女はそんな困った声をあげる。このままそんな姿を見ているのもいいけれど、さすがに助け舟を出してやることにした。

「服ならその脇の棚に置いてあるよ。」

「ありがとう! 」

 元気にお礼を言って、そちらへ向かって服をとったユウキ。

「うん? 何かおかしかったよーな。」

 違和感に気づき、首をひねる。そして、ギギギという擬音が聞こえてくるような動きでぎこちなく体を回して、ようやく僕の存在を認識したようだ。


「あれっ。剣⋯⋯ ? 裸? 」

 取り乱すことなくそう何かを思い出そうとする彼女は褒められていいと思う。寝ていた部屋にいつのまにか裸の男がいたら事案発生の香りが漂うものだから。


「あっ。」

 ボフンと音が聞こえそうな勢いで、ユウキの表情が赤くなった。これは間違えない。恥ずかしいということだろう。


 服をガードに用いる盾のように体の前に掲げて彼女は再びベッドまで戻ってきた。

 そのまま二人しておし黙る。何を話していいのかわからない。昨日の感想を言うのはどう考えてもあけすけが過ぎるし、かと言って、触れないのもどうかと思う。 


 いつまでも黙っているのも決まり悪くなったのだろう。ユウキはおずおずと口を開いた。

「とりあえずさ、剣も服を着よ。」


 そうだった。僕の方も全裸だった。これはだめだ。


「そうだね。」

 いそいそと服を取りに向かう。後方で衣擦れの音がした。おそらくユウキが着替えているのだろう。僕も同じように着替えよう。後ろは見ない。さすがに恥ずかしさが復活しているし、多分ユウキも僕を信頼して、着替えているのだろうから。


 お風呂で着替えた服をもう一度着て、振り返った。ユウキの柔肌が目に鮮やかだ。女性の着替えの方が時間がかかるってどこかで聞いた気がするななどと思いながら、僕はそれに目を奪われる。手が、男であれば描かないような軌跡を描いてブラのフックを結び、ブラウスを着て、ガーディガンを羽織る。山の上は寒いから、そのくらいの服の備えが必要なのだ。昨日はお互いちゃんと動いたからか、寒さは感じなかったのだけれど、今になって、寒い。朝の方が気温が下がると聞くけれど、その通りなのかもしれない。最後に、服に挟まった黒髪を耳横でかきあげて、ユウキの着替えは完了した。安心したようにこちらを向くユウキ。僕が見ていたことを認識して、恥ずかしげに俯く。


「綺麗だったよ。」

 言葉はなんの抵抗もなく僕の口の奥底から放たれた。

「今も、夜も。昔も。あの時も。」



 彼女は僕の言葉に驚いたように目を見開く。僕がこんなことを言うだなんて予想もしていなかったような驚き顔だ。

「剣は、時々、まっすぐだね。」

 ユウキの言葉は途切れがちで、でも、僕への想いが溢れているように思えた。自信過剰かもしれないけれど、それだけで僕は嬉しくて幸せな気持ちとなる。我ながらちょろいけれど、幸福を感じる最低値がここにあって、常に満たされていると言うのは素敵なことではないだろうか。


 ユウキは静かに目を瞑る。突き出された口をみて、何をしなくちゃいけないかわからないほど僕は鈍くない。

 静かに顔を近づける。可愛らしい顔の造形が、近づく。柔らかそうなピンクの唇はもう目の前だ。


 静かに、唇と唇を押し当てるだけのウブなキスだけれど、僕らは長く長く、接吻を交わした。一生あなたのそばにいると。そう伝え合うように。



















石「いや、頑張ったよ。後朝きぬぎぬの場面としてはよくかけてると自賛したい 」


ホウ「照れくさかったんだね。」


石「誰が! 」


ホウ「顔が赤いよ。」


石「はいそうですよ。もはや書いてるだけで顔から火が出そうでしたよ。」

渋々認める。


ホウ「よしよし。頑張った。」

よしよしと撫でる。


石「幼女から母性を感じる⋯⋯ !」


ホウ「まー、私も一応神様だしね。子供っぽいとは言われても、経験は積んでるんだよ。」







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