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異世界山行  作者: 石化
第4章:神闘会

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出歯亀神様s 3

ちょっとだけエロいです

 なぜだか知らないが、館中の人間がほぼ一箇所に集まっていると言う異常事態。これを受けて、気象庁は出歯亀注意報を発令した。(嘘)これまでもこれからも覗きには注意しましょうね。





「しっかしまあ、全然始まりませんね。」

 イチフサがコソコソと言う。

「じれったいわね。」

 サクラはちょっと不満そうだ。


「⋯⋯ それで良いのかお主らは。」

 シロは未だに少し複雑そうだ。1番最初から剣とユウキの隣にいた彼女にとって、いま、部屋の中で行われんとしていることは喜ばしくもあり、また、こそばゆくもあった。自分のことではないというのに二人の恥ずかしさと初々しいそぶりがいちいち身の中に感じられて悶えたい。そんな気持ちだ。だからこそ、この中で1番二人の気持ちに寄り添っているのはシロであり、こんな覗きを二人は決して許しはしないだろうということもわかっていた。だが、彼女にも、もう引くという選択肢は存在しなかった。ここでこの場所から皆を離れさせるのは難しいことではない。だが、そうしてしまっだ場合は、彼女も二度と2人の共寝を見ることはできない。それは嫌だった。


 というわけで、覗き見は続行。もはや誰も止められない。神様5人の垣間見である。普通ならば、垣よりはるかに人目を遮りやすいはずの扉は何一つ役割を果たしていない。その点でも垣間見と称するにふさわしいかもしれない。




 このまま部屋の中の二人の描写に移動してもいいのかという点に関しては、一応全年齢対象なのでダメだと答えておこう。そう。なので仕方なくあくまで仕方なく、描写できるのはこの犯罪者集団だけだ。一人で覗いているのなら、自らを慰める系統のR18行動がこちらでも起こったかもしれないが、今は5人が寄り集まってひそひそ声ながらも姦しい。そんな風景など望むべくもなかった。なぜだ。この場で起こっていることは限りなくエロいことなはずなのに。何も意味がない。




 部屋の中ではようやく本番に入った様で、ユウキの艶やかな声が漏れ聞こえる。初めてだというのに割と上手くやっている様だ。まあ、痛いのは嫌だからな。よかった。



 興味津々に見物していた神様たちだったが、徐々に気まずくなってきた様だった。悦びを感じているのをただ見ているだけというのはなかなか、感情移入できるものではない。こちらも高まっていないと冷めた目で見ることしかできない虚しいものだ。エロゲのエロシーンしかりな。気構えを作って遊ぶ様にしましょう。乗り切れずいたたまれなくなります。そう、今の彼女たちの様に。



 とはいえ、ヤーンはなおも興味津々で食い入る様に覗いていたし、イチフサとサクラだって、同じ様に目を離せていない。


「うー羨ましい。」

「羨まし過ぎます。」

「ユウキ。」

「剣さん。」

「???」

「???」

 同じ感想から別々の人名が出て、思わず顔を見合わせる二人。どちらともに隠しきれない困惑の表情である。


 お互いがなぜその名前を口にしたのか全然わかっていない様子だ。自分の身を鑑みればわかりそうなものだが。ほら、全てを察したヒウチは体を折って笑うのを堪えているし、イチフサの思いの変容にいま気づいたシロは驚愕の表情である。


 知らぬは当事者二人とあとヤーンくらいである。彼女は、部屋の音を拾うのに必死で、先ほどの二人のセリフでさえ耳に入ってきていない。ダメだこの主神早くなんとかしないと。ドウシテコウナッタ。この話が始まるまでは極めてまともな人だった覚えがあるんだが。一エピソードで人ってこんなに堕するのか。なんというか、逆にすごい。



 しかし、いたたまれなさからか、アサマが離脱し、さすがに眠くなったシロも消えた。割と彼女は子供とおばあさんの特性を併せ持っているところがあるのだ。夜更かしは良くないからね。無理はしない様に。というわけで、二人離脱。人数は4人に。


 ついで、サクラとイチフサは、先ほどの話のけりをつけるために二人で連れ立って、万が一にも剣とユウキの耳に入らない場所へ移動した。そこで、ようやく二人はお互いの思い人を知る。読心術が神に効きづらいからといって、お互いに全然知らなかったのは、やっぱり経験が足りないんだろうなというしかない。若い神だって、いいことあるから。



 二人はそれ以上何かしようという気力もなく、シロの休む部屋に向かった。ムニャムニャと幸せそうなシロの横に、二人は、疲れ切った体を横たえる。向き合ってお互いの顔を見せ合ったままなんだか恥ずかしくってえへへと笑い合う。なんだか、二人の距離が縮まった気がした。




 さて、残るはヤーンとヒウチだ。


 仲間たちが一人消え、二人消えなどしているというのに、彼女たちの闘志はまだまだ衰えを見せない。もはや徹夜覚悟である。だから、その情熱を他のことに向ければいいのに。





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 次の日、大会初日。主催者であるヤーンが目を覚ましたのは、太陽が昇りきった時のことであった。予定では、朝のうちに開会式の様なものを済ませているはずだったのだが。


 ユウキと剣の朝チュンも同じくらいの時間に行われていたので、主人公が大会に遅刻しないという意味ではナイスプレイである。だが、社会人としては、クビになってもおかしくないレベル。主催者がイベントを進めないと、何も始まらない。その任務をさっぱり忘れて覗きを敢行。子供だ。ほんとこの人が主神で大丈夫なのだろうか。



















ヤーン⋯⋯ (ため息)

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