女性が輝く世界?
最近、新聞でもテレビでも「女性が輝く世界」という文言を見聞きする。
安倍首相が言っているからだろう。
「けっ」
嫌悪感がこみ上げる。
「何さ。都合悪くなったときだけ利用して」
気に入らない。
涼子のような女性は、女性を馬鹿にしていると感じてしまう。
働く人口が減ってきて仕方ないから女性も使おう、おだてとけば働くでしょ、そんな風に感じるのだ。
女性女性うるさいのよ。老若男女関わらずヒトとして輝けば良いじゃない。
そう思う。
女性が輝くには男性の理解がないと無理だと思うが、周りの男性にはその懐の広さがないと感じる。
涼子の周りは底の浅い男性ばかりで、たまに全身の力が抜けるほど呆れることがある。
涼子の彼はもちろん理解のある男性で、その存在に救われている。
どこかに話の分かる男性はいるものだ。
少子化や高齢化で、現役で働く人口が減ってきているのは、涼子も感じる。
世の中の動きがわかるので、求人広告はチェックするようにしている。
最近は時給が上がってきている。
テレビで千葉や都心は時給が上がっていることを報道しているが、その流れは涼子の住んでいる地方にもきているようだ。
ユニクロの時給は1200円だし、3交代制のとある工場の時給は1650円だった。
「少子化万歳、じゃない」
人が少ないと、人を大事にする。
涼子はロスジェネ世代なので、蹴落とし合って大人になった感じがある。
大学入試の倍率は22倍だった。
全入時代の今とはやはり人間が違う。
涼子の少ししたの世代になると、本当に”良い人間”が多い気がする。
家庭でも大事にされ、社会でも大事にされて、大きくなった、そんな感じがする。
心がキレイ、なのだ。
でも、この前大学生になったばかりの息子がいる薬剤師パートにその話をしたら、「大事にされすぎて、自分のことができないの」と言っていた。
どうも不登校になって引きこもりがちのようだ。
「他人が怖いだけじゃないですか?私は35,6になるまで他人が怖かったですよ」と答えておいた。
本心だ。
少し前まで他人が怖かった。
色々な経験が対人恐怖症を解消してくれた。