何かしなくてはならない?
涼子は、自宅で暇な時間は、ゲームをしたり本を読んだり、思い思いに過ごしている。
以前は、「何かしなくてはならない」。
そんな思いに駆られていた。
私は結婚してないから、出産してないから、子育てしてないから。
そんな罪悪感にとらわれていた。
それを払拭したくて、何かをしていないと落ち着かなかった。
しかし、涼子も37歳。
ようやく落ち着いてきた感じだ。
私がこの状況にいるのは別に悪いことではない。
悪いことと感じる人間が多いのは事実だが、他人にとやかく言われる問題ではないと思っている。
私の人生は私が決める。
私に何かあったとき、完全に助けてくれるはずもない人間が勝手なことを言う。
そんな人間にとやかく言われる筋合いはない。
責任を取れないのに、発言すべきではない。
特に涼子は薬剤師なので、そう思う。
薬剤師は薬剤師個人として責任を負う職業だ。
近所の井戸端会議で「アレが体に良いんですって」というような同じレベルで患者に発言することはできない。
お金をもらっている以上、こちらはプロだ。
発言には責任を負わなければならない。
自然と、「一般的には」「人によりますが」「可能性はあります」。
そんな言い方になってしまう。
だが、それは当然のことだと思っている。
理由が曖昧なのに断言するのは、患者に対して失礼だ。
事実を伝える、それがプロだと涼子は思う。