日々9「こんな鬼ごっこ」
誰もいなさそうな暗い路地、
狭く、子供2人がぎりぎり入れるといったその場所に、
しょうと由貴は仲良く抱き付き合って隠れていた。
「・・・鬼いないかな?」
「わからねぇ、しかもエリーさんと悪魔ともはぐれちまった」
では、こうなってしまった経路を見直してみましょう。
数分前、
「バトルロワイヤルってなに?」
「由貴様、そんな事は知らなくてよいのです」
「ただ、捕まったら最後ってことは確かだな」
「これで足速くなるだろ!」
「もちロンだ!」
「ただね、終わらすにはあの鬼達を倒さなきゃいけないんだ」
悪魔がケロッと言う。
鬼達はいつの間にか服装を変え、黒の背広を着ていた。
よく見てみると顔はそう怖くなく、角も隠してしまった。
「・・・・あれじゃあ見分けがつかんだろ」
しょうが呟く、
「10秒たちました!我々も忙しいのですぐ捕まっていただきます!!」
鬼達はサングラスまでつけてとうとう走り出した。
「いいぜぇええ!!!こいヤァアア嗚呼嗚呼!!」
早速バカの池波は見境もなく鬼達に突っ込んでいった。
この瞬間を無駄にする事はない。
あっさり池波を見捨てたしょう達はさっさと走って逃げた。
街中まで逃げた四人だが、さすが鬼である、
池波の努力空しくもうここまで追ってきた。
「ちっ、速いもんだな」
「当然だ、地獄で特別部隊最高チームを呼んだのだ、さすがのしぇろうも敵うまい」
「逆に迷惑ですわね」
「えっ!!・・・ごめんなさい」
なんか悪魔、エリーさんになついているなぁと思ったしょうだった。
しかし何だかんだ言いつつ鬼はすぐそこまで来ていた。
「ちっ、由貴と悪魔が遅くて追いつかれるな」
「安心しろ、俺様の魔術をみせてやる!スモーク!」
次の瞬間周りが煙幕に囲まれ鬼達は立ち止まった。
と同時にしょう達も周りが見えず立ち止まったがすぐがむしゃらに逃げた。
で、今に至る。
「これからどうする?」
「そうだな・・・鬼を倒さないといけないのは事実だし、お前不死身だし、行くか」
「そうなるなら最初からそうすればよかったね」
「それじゃあトレーニングの意味ないだろ」
じゃぁいくかと思ったときだった。
「見つけた!!」
鬼達が路地に入ってきた。
「やば!!おい!逃げるぞ!!」
「え?戦うんじゃないの?」
「バカ!!こんな狭いところで戦えるか!!」
早々と反対側の道へ逃げたしょう達、
「さぁ!きやがれ!」
早速攻撃態勢に入るが・・・・。
出てこない・・・・。
「・・・・あれ?」
「な、なんで出てこないんだ?」
実はこの狭い路地、先程言った通りに子供2人がぎりぎり入るくらいのため、
大の大人の、しかもボディビルダー並の鬼が大量に入って出てこれるわけがなかった。
「・・・・バカだ」
「あはは、でも良かったねこれで」
川沿いの広場
「見事でしたね、では我々はこれで帰ります、悪魔様、修行に精進してくださいね」
「わかってるって!じゃあね〜」
後に聞いたがエリーさん達はひたすら走って逃げたそうだ。
池波は案の定ボコボコにされていたが復活した。
「全くよくやったな鬼ドモメー!次は倒してやるゼー!」
次があってたまるか、と思ったしょうだった。
これで終わりかと思った一行、
だがまだ終わっていなかった・・・。
またあの黒い門が表れた。
行き成りの事で唖然とするしょう達の前に現れたのは、
なにやら日本の貴族が着ていたような着物をまとった大人。
顔はどちらかと言うと鋭い眼の茶髪の怖そうな兄ちゃんとでもいう感じなひとで、
先程の鬼とは違う事が良く分かったが誰なのかさっぱりわからなかった。
「パ・・・父さん!?」
パパと言いかけたことは気になるが、
その前にこの人物があの閻魔だと言う事のほうが恐ろしかった。
「悪魔・・・久しぶりだな」
冷酷で威厳のある言い方にすっかり固まる一同。
「お前たちが悪魔の・・・友達か?」
ギロリと睨まれる・・・怖い。
しょうですらビビっている中、こいつは違った。
「はい!!悪魔の親友たちで〜す!」
由貴は不死身だからか天然だからか堂々と言う。
まさに命知らずなバカを見据える閻魔。
「そうか・・・悪魔を頼んだぞ」
なぜか一言一言に重みがあり、背筋が知らぬ間にのびる感じである、
さすが閻魔と言われる大物だと感心するしょう達だった。
「悪魔」
「なに?」
「・・・修行、精進するのだぞ」
「・・・はい」
久しぶりに父に会えたからか、
悪魔は本当に嬉しそうに笑顔だった。
「良かったね、お父さんにあえて」
由貴は悪魔に言う。
「うん!そういえば、由貴の父さんは?」
少し詰まってしまう由貴。
「い、今は会えないんだ」
苦笑いをする由貴を見て悪魔は戸惑ってしまう。
しょう達も聞いていた、そして、
「でも俺らにはいつでも会えるだろ」
しょうが言った。
「私も、いつでも御そばにいますわ」
エリーも言った。
「おれだっていつでもイルゼ!」
「お、俺様も!」
池波や悪魔も、
「・・・うん!」
既に空には夕焼けが広がっていた。