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日々4「こんな家庭」

「質問その1、由貴が可哀想ってどういうこと?」

ルリが笑顔で訊く。

「べ、別に?な、なななんにもないぜ」

声がうわずってしまったしょう。

「質問その2、30分26秒前に入った初めて見る女性は誰?」

「はい?なななんのこことですか?」

「私はマンションの住人を知っている、でもその人だけ知らない」

「だ、誰かの友達かお客さんじゃ?」

「入る時にセキュリティーシステムとして玄関で相手認証を受けるはず、なのにその人はそんな事もせず、住人が持つカギで入った、ちかく引越しするというのも聞いていないし、ここ最近引越しトラックも来ていない、引越しでもなくお客でもないなら・・・」


「考えられる線はここのマンションの持ち主、富宝関係者であると考えられる」


≪何だよその驚異的洞察力!!??≫

これだとシャーロック・ホームズもびっくりだ。

その前になぜここでずっとこのマンションを見ていたのか、

ストーカーまがいなら犯罪である。


「わ、わかった、言うよ、その人は由貴の秘書だとよ」

「男?女?」

「なんでそんなことを聞く?」

「男だったら由貴を襲わないか心配なのよ」

「女って言ったら?」

「由貴を恋人にしないか心配なのよ」

「それってどっちにしろ秘書はいらないって言いたいのか?」

「私が秘書になって四六時中、由貴といたい」

「いくら美人でもそんな性格じゃあ由貴も付き合いたくないだろうな」

「今なんていった?」

しまったと思った時には遅かった。


「ぎゃぁああああ!!!」


しょうの断末魔の叫び声が聞こえた。


「とにかく!由貴を助けなきゃ!!」

なぜか頭に大量のたんこぶを作ったしょうを下敷きによからぬ事を考えるルリ。

「ま、まて、これは由貴のために必要な事だろ」

「いいえ!秘書なんていらないわよ!」

「まてって」

そう言って真剣な顔になるしょう。


「・・・知ってるだろ、あいつが小さい頃から親が働きっぱなしでずっと一人だったの」

ルリの表情が曇る。

「わ、わかってるけど・・」

「あいつだって寂しかったはずだ、一人で夜過ごすのだって、あの性格だろ?真剣に泊まってくれって俺も何度も頼まれたが家の事情があるんだ、そんな時、やっとあいつに同居人が出来たんだぜ?・・・俺たちは学校で接してやればいい、それでいいだろ?」

「・・・そうね、ちょっと焦っていたわ」

安堵の溜息を吐くしょう。

「いいわ、これでずっと私が見なくても、由貴はさびしくなくなるのね」

「・・・・ずっと見てたのか?」

「入学式で初めて見て一目惚れしたときからずっと」

「・・・・極度の愛は逆効果だぜ」

「愛が全て、何か問題でも?」

「・・・いえ」



「よし、ではお食事にいたしましょう」

「ふぇ〜、やっと終わった〜」

勉強に一区切りした由貴たち。

「お食事はどうしていたのですか?」

「え?お店に電話すればすぐ持ってきてくれるよ」

「ま、まさかずっと、外食を?手料理などは?」

「・・・食べた事ない」

シュンとなる由貴、

どんなに裕福でも、手料理を食べた事のない由貴を可哀想に思ったエリー。

≪不憫ですわ・・・ここは≫


「由貴様、私がお料理します」

「え?エリーできるの?」

「もちろんです!では、何にいたしましょう?」

「カレー!」

温かい、家庭のようなものを感じた由貴。


「えへへ、たのしみー!」

こんなにうれしい事をこの部屋で感じたのは、

もしかすると初めてだったのかもしれない。


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