日々18「こんな幽霊」
またまた新キャラ登場!
「そろそ暑くなってくるね〜」
由貴がマンションでそう言いながら宿題をしている。
「そうですわね、今年の夏は久しぶりに日本で過ごせますから楽しみですわ」
シャンが由貴のノートの答えを見ながら言う。
「・・・お姉さま、学年が違うので由貴の答え写しても意味ありませんよ」
蓮が静かにそう言う。
「それにしても、ルリと裕未遅いな、アイス買いに行ってからもう30分も経ったぞ?」
「ちょっと見てくるヨ」
しょうの疑問に池波はすぐ反応して外へ出ようとする、
だが、ドアを開けた瞬間勢いよくドアがひらいた。
「ただいま戻りました〜」
「ゴン!!」
ドアは内開きだ、案の定ドアは池波の頭にぶつかる。
「え”?」
倒れる池波、固まる裕未、そして後ろから覗くルリ。
「ダッサイわねしょろうも」
「本当ごめんなさ〜い、大丈夫ですか?」
氷で頭を冷やしてあげる裕未、そしてなんだか喜んでいる池波。
「イイよイイよ、気にするなっテ」
デレデレする池波に不審な視線を送るしょう達。
「にしても、もうすぐ暑くなるくせに、梅雨の時期が来るからな〜」
しょうが言った何気ないセリフに、由貴はふと止まる。
「・・・・・」
「ん?どうかしたのか由貴?」
悪魔が由貴の様子を見て気遣う。
「え?・・・いや、ちょっと思い出しててね」
「ん?何をですか?」
蓮がそれとなく聞く。
「うん、一昨年の梅雨の時期に幽霊と遭ったものだから」
さらりと言う由貴、反応に困る周り。
「・・・なんだ?冗談か?」
「本当だよしょう君」
「わ、私怖い話は苦手ですの」
シャンが真っ青な顔で震えながら言う。
「大丈夫だよ、怖い幽霊じゃなかったから」
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そう、雨が土砂降りだった、梅雨の時期、
小学生だった僕の前に、浮いている少女が現れたんだ。
「・・・不思議〜、なんで君は浮いてるの?」
『・・・不思議、なんであなたは私を見て怖がらないの?』
「え?・・・だって、優しそうだから」
『そう・・・あなた変わってるわね』
「ひどいなぁ、それより、濡れるよ?」
『・・・いいのよ、どうせいつか乾くから』
「風邪ひくよ」
『ひかないわよ・・・だって私は――――だから』
「え?なに?」
雨でかき消された声、だが、由貴は気にせず、家に呼んだ。
「ほら入って」
『・・・・おじゃまします』
「広いでしょ、僕の家なんだ」
すでにその時から一人で生活していた由貴、
一応一週間に一度、富宝から社員が見回りに来ていたが、その日以外は一人だった。
『・・・寂しかったの?』
「・・・まぁね、迷惑だった?」
『・・・いいえ』
「ご飯食べる?何が食べたい?」
『・・・・別に、あなたが決めて』
「わかった、ピザ頼むね」
『・・・・いつもこんなご飯なの?』
「まぁね、誰もいないから」
『・・・そう』
「・・・あ、雨が止んだ・・・」
『そうみたいね、じゃ、私は帰るから』
「うん・・・またね」
『・・・ご飯、ありがとう』
「どういたしまして」
『・・・名前は?』
「富宝由貴、由貴でいいよ」
『そう・・・私は雨宮、じゃあね、由貴』
「ばいばい」
それっきり、会うことはなかった・・・。
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「懐かしいな〜、また会えるかな?」
由貴が笑いながら言う。
「なんだか、切ないわね」
ルリが辛気臭い表情で言う。
「・・・きっと、会えますよ、また」
裕未が笑いながら由貴に言う。
「そうだね!」
『・・・・まぁ、そうですね』
「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」
部屋の天井にいた雨宮・・・・。
『・・・久しぶり、由貴』
「・・・うん!久しぶり!」
由貴は笑っていたが、
他の全員は真っ白になっていた・・・・。