日々16「こんな池波恋物語前編」
今回はなんと池波が主役です!by作者
私って、何で生きているのかな?
何のために生きているのかな?
私って、生きてて良いのかな?
「ねぇ見て、転校生の佐原さん、今日も一人でお弁当食べてるわ」
「本当、もう一ヶ月もたつのに、全然馴染まないもんね」
「ああゆうのがいると、正直クラスの雰囲気って悪くなるよね、あーやだやだ」
≪・・・ごめんなさい≫
佐原裕未
由貴の学校に転向してきた一人の少女。
性格は引っ込み思案で暗い子である。
そしていつも心の中で謝るのが癖なのである。
≪私、なんで生きてるのかな?≫
いつも自分に問いかける質問、
だが、結局その答えは見つからない。
「掃除係りはいつものように佐原さんで良いと思いま〜す」
学級の係り決め、裕未は転向してからずっと面倒な掃除係りを押し付けられてきた。
「またか〜?それじゃあ佐原だけ不公平だろ」
「先生〜、佐原は掃除で良いんですよ、な、佐原?」
少し顔の良い男子が裕未に笑いかけてそう言う。
「あ・・・うん」
笑いかけてくれたのが嬉しくて、つい頷いてしまう。
なんだか、頼りにされていると思えるから。
「じゃあ、もう一人は〜」
「池波君しかいませんよ〜」
「おいおい、池波は今日休みだろ?本人の了解も取らないで勝手に決めてはいかん!」
「いいじゃないですか、休む方が悪いんだもん!」
結局、掃除係りは、裕未と池波になった。
次の日の放課後
「・・・ハ?」
「いや、だからお前は今日から掃除係りだから」
「マジかよ!今日はしょうと帰る約束があるのにヨウ!」
「別にいいじゃねぇかよ、佐原に全部やらせりゃいじゃん」
「・・・ナニ?」
「だって、あいつが全部やってくれるんだよ、先生にも言わないからさ、サボっちまえば?」
教室
≪今日も一人だな・・・≫
裕未は一人でいつものように掃除をしていた。
別に慣れているからどうとも思わない、ただ、寂しいとは思っていた。
ふと、廊下から声が聞こえた。
「ねぇ、あんたさぁ、佐原さんに妙に優しいよね、昨日の係り決めでも微笑んじゃってさ」
「あぁ、あれか?バーカ、優しくしてるつもりはねぇよ、こっちが笑えばなんでも言う事聞いてくれるからよ、そうだな、今度金を持ってくるように命令してみるか」
「あ!いいなぁ!お金手に入ったらアイスおごってよ〜」
≪・・・そうだったんだ、利用してた・・・だけか≫
まぁ、そうだよね、頼りにしてくれてる訳、ないよね。
薄々気づいていたが、認めたくなかった事実、
結局、彼女は涙を堪える事しかできなかった。
≪・・・もう、いやだな≫
「ヘーーイ!遅れてごめんね〜、ちょっと友達にさき帰るように行ってたからサー、ゴメンゴメン!」
突如教室のドアが開いて池波がハイテンションに入ってきた。
いきなりの登場に驚いた裕未は少し呆然とした。
「・・・アレ?・・・も、申し訳ゴザイマセンデシタ!!」
しかし池波は裕未の顔を見ると、しまった、という顔をして土下座をした。
「えぇええ???いや、その?え?な、なんですか?」
いきなりの登場に加え土下座までされて慌てまくる裕未、
すると、池波は顔を上げて率直に言った。
「いや、な、泣いているから、怒ってるのカナ?・・・と思っテ」
その言葉で裕未は更に赤くなって目を擦る、
「え?別に?な、泣いてなんか」
「いやな事でもありましたカ?」
優しい池波の言葉に、裕未はなんだか変な気分になってきた。
「だ、だだ、大丈夫です!・・・ご、ごめんなさい」
「イヤイヤ、謝るのはこっちです、スミマセン」
「え、いや、その、あの」
「サ、掃除しますか」
平然としている池波は掃除に取り掛かった。
裕未も顔を赤くしながらも、掃除の続きをした。
「佐原サン」
「は!はい!?」
いきなり呼ばれて緊張している裕未、
だが気にせず池波は言葉を続けた。
「下の名前ってナンデスカ?」
「ゆ、裕未です」
「そうなんですか、ではユミって呼んでイイですカ?」
「え?いや、佐原でいいです」
「わかりましタ、ではユミって事で」
「え?いや、ですから佐原って呼んで」
「ユミは、好きな人イル?」
「・・・はい?・・・え?な、何質問しているんですか!?」
「イル?イナイ?」
「い、いません」
「そっか、俺はいるゼ」
「そ、そうなんですか」
「誰かって質問は禁止だゼ」
「別に聞きたくありません」
その台詞を言った時、はっと裕未は気づいた顔をして言った。
「ご、ごめんなさい、生意気でした!」
「エ?なにが?」
「いえ、その、生意気な台詞を言って」
「別に気にするなっテ、ユミは臆病すぎるゼ?」
「ご、ごめんなさい」
「ダメダメ〜、ごめんなさいが口癖みたいだぞ?リラックスリラックス」
「え?いや、急に言われても・・・」
なんだか、転校してから、こんなに話したのは初めてだと、
裕未は思っていた。
それから、毎日の放課後には池波と掃除をした。
その度に話をして、仲良くなっていった。
「池波君って、本当に面白いね」
「ユミも最近は自然に話せてるゼ、いつもより笑えてるし」
「えへへ、池波君のお陰だね、ありがとう」
彼はいつも笑った顔をしている、
キツネ目なのだからかもしれないが、笑っている、
だから、私も笑っていれる。
やっと、私の生きる意味が見つけれた気がした。
「・・・え?お金?」
「そうなんだよ佐原、5千円俺に貸してくれよ」
いつだったか、廊下でお金を巻き上げると話していた男子が、言い寄ってきた。
「な、お願い!」
微笑んでくれる男子だが、今はもうなびかない。
池波と会う前の私だったら、お金を出していたと思う。
「・・・・ごめん、私今お金持ってないの、本当にごめんなさい」
さすがに嫌だとは言わなかったが、相手は驚いたようだ。
「オウ!おはよーユミ!」
「おはよう、池波君!」
私が席を外して池波君の方にいくと、その男子は別の方へ行ってしまった。
「・・・誰だい?アイツ?」
「ん?べつに、お金貸してって言いに来たの、もちろん、断ったけどね」
「そうか・・・それよりヨウ!今日俺の友達の家でパーティーなんだ!ぜひ来てくれヨウ!」
「ほんとう?いいの?」
「モチロン!当然ダロ!」
「うん、じゃ!絶対行くね!」
≪パーティー、楽しみだな!≫
≪・・・なんで、こうなっちゃうのかな?≫
体育館に呼び出されて、なぜか殴られて蹴られた。
顔を見ると、あのお金を貸してと言ってきた男子とその仲間のようだ。
「ったく、大人しく金出せば良いのによ、うぜぇんだよ」
≪・・・私、やっぱり、幸せになれないのかな?≫
続く