変身とは憧れであるべきだ!
変身モノ。門やモンスターの設定は割と曖昧なのでさらっと流してくださいませませ。
変身ヒーロー、魔法少女、特撮アニメに戦隊モノ。これらの共通点は何か、分かるか?
そう、変身だ。
今から約二十年前。その頃から突如世界に『門』が現れだした。
門からはモンスターが出てきて、甚大な被害をもたらした。現代兵器も効かない化け物は、世界を恐怖のどん底に突き落とした。
そんな中、人類側にも希望が現れた。
それ《・・》は、妖精だった。少年少女、そして生まれたばかりの赤ん坊のパートナーとして誕生し、パートナーに化け物に対抗する力を与えた。
妖精は契装妖精と自らを名乗り、様々な存在―――神・天使・悪魔・精霊・魔導書・モンスターと契約し、その力を装う――変身する――事が出来るようにするんだと言った。
それは劇的で、衝撃的で、人類の希望だった。
全ての人が力を得た訳ではない。神との契約など不可能に等しい。戦う力を得ても死ぬ事もある。力を得たのは、子供ばかり。
色々不安はあれど、今では能力者を契装士と呼び、町中にはシェルターが造られ、被害を抑える事が出来るようになっていた。
そして俺も、契装士の端くれとして、世界有数の契装士養成学園、ホープシード学園に通っている。
疑問に思った人もいるかな? 日本人の俺が自宅から通う学園だ、勿論日本にある。何故、小さな島国の日本に世界有数の学園があるかと言えば――…日本が世界に誇るサブカルチャーが原因と言っても、過言ではない。
冒頭でも述べたが、変身モノってかなり多いよな。日本の特撮アニメは世界でもかなりの人気らしいし。契装士は謂わば現実に現れた変身ヒーローだ。それを撮影して恐怖の対象、つまりモンスターが倒される所を観せて安心させようとし………熱狂した。
あれだよな、変身ヒーローって誰もが一度は憧れ真似した事あるよな。だからかな、コスプレ…基カッコイイ又は可愛い服装で、有り得ない魔法みたいな攻撃ぶちかまして、華麗に化け物を打ち倒す姿は……日本人を元気付けるのに、一番だったんだ。ただ、ちょっと変な方に元気になっただけで。
それからは早かった。政府は門対策保安局とか言うのを設け、契装士に給料を出し惜しみ無くバックアップする代わりに、戦闘シーンを撮影し放映したり契装士のグッズを販売し儲ける。国民は契装士の戦闘をモニターで避難中に観戦する。しかも変にやる気が出たらしく…うん、察して。
そんで、まあ、その情熱の末に世界で初めて契装士養成学園が誕生し、今まで以上に日本の名を世界に轟かせた。実際、契装士の戦闘映像でも日本のが断トツ人気らしいんだよな。
…え? 俺? いや、俺は局員じゃないから、撮影NGなんだよ。局の口さがない奴等は野良と呼ぶが、俺はフリーの契装士だから。フリーの契装士は自分を退治屋と名乗っている。
この場合のフリーってのは、自由って意味じゃない。これもまた組織で、局とは違い依頼の斡旋だな。小説で言うギルドみたいな感じだ。タダ働きはしないぞ。
契装士の力ってさ、対モンスター以外にも役立つんだ。災害とか、日照りとかを解決出来る。局の連中は契装士は選ばれし存在だとか言って、一般人を見下している節があり戦闘以外には動かないんだ。まあ、契装に代償がない訳じゃないから仕方ないかもだけどさ。
だから、彼奴等は退治屋を見下し、テレビで目立った契装士に嫉妬し喧嘩を吹っ掛けてきたり、邪魔してきたりするから撮影は拒んでるんだ。まあ中には、メディアに露出する人もいるけどさ。
……ま、俺が撮影NGなのには、他にも理由はあるんだけどな。最大の理由が。 その理由のせいで、俺はソロ活動が基本となっている。
俺の契装妖精は、滅茶苦茶可愛い。踝まである黒を基調にしたゴシック調ドレス、輝くプラチナブロンドは身長より長い。ぱっちりおめめはアメジストのようで、左右完全対称の愛らしい容貌は、まさにビスクドールだ。口調もまた可愛い。
手のひらサイズの契装妖精は、背中に七色の大小二対の透き通った翅を持つ。幻想的な姿は、愛らしいマスコットとして様々なグッズ化をされている。勿論俺の可愛いマリアも、退治屋本部でぬいぐるみ・ストラップ・抱き枕・マグカップ・シャーペン・着せ替え人形と様々なグッズが売られています。人気ナンバーワンだぜ!
「ご主人しゃま、ちかくで門がひりゃいたでしゅ」
可愛いマリアを肩に乗せ、学校帰りにクレープを食べているとマリアがそう言った。まだ頬にクリームが付いてるぞ。
和み掛けたが、警報が鳴りハッと我に返った。周囲は迅速な避難をしている。
「マジか。局の連中は……マリア、どっちだ?」
「あっちでちゅ!」
ぴしっと指差した方向に走る。警報で大体の場所は警告されるが、妖精の方が詳しい。警報はモンスターが出てきてからだが、妖精はモンスターの出現を察知出来るのだ。
素の肉体も鍛えているので、かなりのスピードで息切れせずに現場に到着。無人のモールの広場に大きな瘴気の渦があり、モンスターが現れた。
「うわ……大鬼かよ」
棍棒を持った巨大な鬼。その赤黒い皮膚で覆われた強靭な肉体は、凄まじい膂力を容易に想像させる。
「グオオオォォォォッ!!」
咆哮を上げたオーガは、ブンッと太い棍棒を振り建物を破壊した。
こんな狭いところで暴れんなよな。修復系能力者は貴重なんだからな!
「ったく、局は何してんだよ!」
「まったくでしゅ。おちょいにょら!」
ぷんすか怒るマリアマジ可愛い。…じゃなくて。
俺はあくまでもフリーの契装士だから、勝手に手を出せないのだ。いや、報酬は政府が出してくれるけど、だからこそ出来るだけ局員が対処せねばならない。対モンスターしかやらない局が、それすら退治屋に奪われたら面目丸潰れだからだとさ。めんどくせーし、いざとなれば誰も守らないけどな。だらしない局員が悪い。
その辺の取り決めは退治屋のボスが政府を脅したって噂だ。あの人、根は気の良い人だけど、基本なあ…。まあ、退治屋に不利になる事はしないし、それ以上に人々に被害が行かないよう配慮してはいるみたいだけど。
「ふははははーっ! 出たなモンスターめ!」
あ、来た。あれは……えっと、確か『最強戦隊ツヨインジャー』だっけ? 聞いたらつい半笑いになるようなチーム名だったと思う。
契装士は基本チームで動く。力が強かったり気性の問題で単独行動の人もいるが、所詮はただの人なので多対一を意識させている。基礎能力が違うんだから、卑怯云々なんてのは無視である。
で、彼奴等はまあ、戦隊ヒーローだな。例外もあるが、衣装なんかは予め自分で設定出来るから、チームで合わせている所がかなり多い。ツヨインジャーは、基本の赤青黄緑ピンクの五色戦隊だ。大体思い浮かべた姿で合っていると思う。
「五人揃って、最強戦隊ツヨインジャー!」
「ここに、参上ッ!」
個人の口上は流すぞ、面倒だから(酷)。各自ポーズを付け、背後で五色の煙が爆発した。演出に凝っているのは、撮影中だからである。
……よくやるなあ。
「町を襲う悪い奴め!」
「貴様なぞ、我等ツヨインジャーの敵ではない!」
「これ以上町を壊させはしないわ!」
「俺達の目が黒い内はこの町で好き勝手させない!」
「行くぞっ。みんなッ!」
『おおっ!』
格好良く言うのはいいが、言ってる間にオーガ暴れてるからな。早くしろよ! 敵は待っちゃくれねえんだよ! ……まあ、彼奴等なら心配はいらないだろう。ネーミングセンスは失笑もんだが、実際あれでかなり強い。お茶の間でも人気の高い契装士チームだ。特に子供からの支持は高いな、戦隊ヒーローだけに。
さて、これは撮影されている。俺? 隠れてるから映らないよ。それより、これはお茶の間で放映される映像だと言う事を、思い出して欲しい。
これは娯楽だ、政府の金策だ。当然、無言で地味に戦うよりも、派手なら派手なだけ良い。国民を安心させるとか心の支えとかは、建前である。なので、戦闘中局員が守らねばならないルールが存在する。ルールブックはボスがどこからか仕入れてきて、本部や支部のロビーに並べてある。
ルールその1、技名は必ず言うべし。
「レッドパーンチッ!」
「イエローアタック!」
「グリーンキック!」
ただのパンチや体当たり、キックなんかも技になるらしい。一々叫びながらやらなきゃならないとか、体力的にも結構辛いんだがなあ…。
身体能力も大幅に上がるので、ただのパンチだってオーガにちゃんとダメージを与えられる。勿論武器だって使う。それぞれ大きめの、独特な形の武器を使用している。
振り回される棍棒を紙一重で避けながら追い詰めていき、五人は一ヶ所に集まった。
ルールその2、大技は最後に使うべし。
「行くぞ! 俺達の心を一つに!!」
それぞれの武器をパズルのように組み立て、リーダーのレッドを中心にそのバズーカっぽい武器を五人で支えた。
筒口にはきゅいんきゅいんと光が収束されていく。赤、青、黄色、緑、ピンクがマーブルになった光は少しずつ大きくなっていく。その間に、オーガは怒りに吼え地響きを鳴らしながら、ツヨインジャーに向かっていった。危ない!
ルールその3、『溜め』を大事にするべし。
「フルチャージ完了! 行くぜっ!」
『オーバーライト・クインテット!!』
五人ハモって高らかに技名が叫ばれ、五色のビームはオーガを貫き………建物も貫いた。修復班、御愁傷様でーす。
「グッ、グオオオォォォォ……ッ」
腹に風穴が空きもがき苦しみながら、オーガは光の粒子になり消えた。残ったのは、モンスターからのドロップ品の魔石だけ。魔石は貢献度により品質が異なり、自動で契装妖精に回収される。
ルールその4、最後は必ず大技で決めるべし。
モンスターがどこに消えるかは分からないし、魔石が何故出るかは分からない。だが、魔石は契装に欠かせないし、あまり追求する意味はないと思う。契装は契約し装うので、契約が重要だ。契約する相手を呼び出すのに、魔石は不可欠なのだ。あ、因みに向こうに気に入られたり相性が良ければ、いつの間にか勝手に契約されていたりする。
魔石は、それぞれパートナーと同じ格好をした妖精が自身の格納領域(小説でよくある亜空間倉庫みたいなもん)に仕舞い、後は最後の仕上げだ。
ルールその5、決め台詞はカメラ目線で。
「俺達最強戦隊ツヨインジャーがいる限り!!」
「この世に悪が蔓延る事はない!」
「僕達に倒せないモンスターはいない」
「最後は必ず正義が勝つ!」
「世界の平和は私達が護る!」
更に決めポーズと爆発の演出で、締め。そして彼等はそのまま去っていく。何たって、変身ヒーローが正体を隠すのはお約束だから。もし分かった人がいても、知らないふりをするのが暗黙のルールだ。一応な。
戦闘は終了。オーガよりツヨインジャーのが町を破壊していた事実はスルーだ。
最後、ちょっとカメラに映ったが、退治屋の証明カードをマリアが見せ事なきを得た。取り決めにより退治屋が隠れていても不自然ではないからだ。局の顔を立ててやる《・・》のも仕事の一つだ。きっと修正で消されているだろう。
「んじゃ、帰るか」
「はいでしゅ。くりぇーぷ食べゆでしゅぅ〜」
「はいはい」
ずっと持ってた食べ掛けのクレープを食べさせながら、俺達は家に帰った。寄り道なんてするもんじゃないなあ…。
「くっそう! 今日は寄り道してないのにいッ!」
なのに、何故かまた門の出現に出会した。確かに頻繁に現れるけどさ、二日連続はないんじゃないか!?
出てきたのは、骨格騎士の集団と骨格竜。後者は一体だが、いくら骨だけとは言えドラゴンなので強い。ドラゴンは最下級でさえ災害級だからな。
……で、局が出してきた契装士は、まさかの新人! バッカじゃねーの!? ベテランだせバカ野郎! 彼奴等死ぬぞ!?
そりゃ、新人だからって弱いとは限らない。鍛練してかなりの強さを持つ奴もいる。ただ、経験の差はかなり大きいし……彼等は、かなり苦戦している。
「――ああもうッ! マリア!」
「あい!」
援軍が来る様子もないし、仕方なく参戦する事にした。飛び回るカメラや設置されたカメラの死角に移動し、契装する。
俺は、出来れば契装したくない。理由? ……見れば分かるさ、きっと。
「マリア、オーダー!」
「あいっ! オーダー、契装バトルモード! セットアップでしゅう!!」
マリアの声と共に、頭の上にふわりと一枚の光る羽根が落ちてきた。羽根の光はどんどん強くなり、それは幾重もの帯となって俺に降り注いできた。繭のように俺を包み、光は俺に力を与える。
ぱんっ、と光が弾けた時、俺はすでに契装し終えていた。この間、僅か一秒未満である。
契装士として、力が強ければ強いほど身体的特徴に何かしら変化がある。髪や瞳の色が変わるのはポピュラーだな。大抵は髪の長さが変わるのだが………俺は、変わっちゃいけないもんまで、変わるのだ。
俺はかなり力が強く、契約もかなりたくさんしていて、だからか何なのか、契約したい奴が選べない。しかも服装も勝手に決まる、と言うかマリアが勝手に決める。もう一度言う。これは、断じて俺の趣味ではない!
髪は輝くような金色。緩く波打つ髪は腰まで伸び、目付きの悪い瞳はスカイブルー。背中には天使の翼が存在を主張するように広がり、何枚もの薄羽衣を重ねたような白を基調にした服装もあいまり、その姿はまさに天使のよう。
服の上からでも分かる大きく膨らんだ胸部、ふんわり広がる前が短めのロングドレスから覗く、細く華奢な手足。月と星がモチーフの白い長杖を握る手は、小さく白い。
………変わっちゃいけないもんって何かって? 決まってんだろ、……性別だよォッ!!
そう、性別が変わるのだ。俺は正真正銘男だ。なのに、契装すると女になる。決して大きくはないがちゃんと存在していた息子も、いなくなっちまうんだよお! 息子の代わりにお山が二つ出来たが、邪魔すぎる! 立派な山は見て楽しむもんだろ自分にあっても意味ねえッ!
……げふん、下品になってしまいごめんなさい。暴走しちまった。
俺世代の契装士は、生まれた時からそばに妖精がいる。が、危ないから契装は小学校に上がるまで出来ない。上がっても、むやみやたらに使いそうな場合はやらせて貰えない。
小さい頃はさ、日曜の朝にアニメを観る訳よ。戦隊ヒーロー、仮面ライダー、プリキュアみたいな魔法少女もな。勿論契装士の特番も観て、憧れた。将来はこんな風にカッコイイ変身ヒーローになるんだ! と目を輝かせていた時期が、俺にもありました。
絶望したね。そりゃさ、小さい頃は性別とか曖昧だし、なまじっか強かったから気にならなかったけどさ? 次第に恥ずかしくなってくんの。あれこれ魔法少女じゃね? 俺女になってるし! みたいな。変身ヒーローは正体を隠す物だって、アニメで思い込んでいたから友達には言わなかったのは良かった。自分ぐっじょぶ。
変身ってさ、憧れなんだよ。憧れであるべきなんだよ! だから俺は、変身したら性転換すると言う変身に潜む闇は、隠すべきだと思うのだよ! ……え、本音? 自分の黒歴史が世に出るリスクを極力減らしたいだけですが、何か?
まあ、それはさておき。
俺は、恥を忍んで契装し、トドメを刺そうとするスカルドラゴンの足を魔法で弾いた。
「ここからは僕が相手をするよ、骨共!」
その瞬間、弾かれたように局員がこちらを向いた。俺と同じくらいの男女だな。うーん、今時の変身ヒーローらしく美形だなあ。羨ましいぞこんちくしょうっ。特に男の方! 無駄に顔も契装備(契装した時の装備の事だ。武器も含んだり含まなかったり)もカッコイイ上、性別変わってないとかずるいわ! いや、性別変わるのなんて俺だけだけども!
嫉妬がメラメラと溢れ出そうになったが何とか抑える。落ち着け、俺。変に嫉妬して男だってバレたら即変態扱いだぞ!
「僕はゼン、退治屋ゼンだ。――さあ、殺ろう」
名乗るのは、テレビを意識している訳ではない。報酬を貰うのに、正体不明じゃ無理だろ? だから、名乗る。まあ、退治屋に登録している偽名と言うか、コードネームであって本名ではないが。チームだとチーム名を名乗ったりする。
口調が違うのは、リスク軽減のためだ。女言葉は無理だし、妥協案でボーイッシュな僕っ娘を装っている。
因みに、俺は毎回契装備も髪や瞳の色、髪型まで変わるからすぐに同一人物だと分かって貰えない。だから毎回名乗っている。顔や体型(真に遺憾ながら女としての、だ。…ぐすん)は毎回変わらないのだが、顔は女性化しただけで面影は色濃く残っているし、声は高くなってるが声質は同じだから、出来るだけ話さず目も合わせないので気付かれない。
名乗りは終えたので、俺はまず局員に結界を張った。俺は今天使の契装をしているので、使う術は全て聖属性と光属性だ。スカルに聖属性は猛毒なので、手は出せないだろう。
案の定、手出ししづらくなった二人には手を出さず、無防備に空を飛ぶ俺の方に向かってきた。……バカめ。
ふ、ふはははははーっ!! ぶぁーかめ!! 貴様等の行動などお見通しなのだ!! 俺の八つ当たりの餌食になるがいい!!
変なテンションで、悪役顔でニヤリと笑い、杖を構えた。……疲れてんのかな、俺。
杖は、先に三日月と星、そして四枚の小さな羽があり、金色の大きな輪っかが付いている。うん、こういうのの説明は苦手だ。
さて……技名を言う必要はないのだが、どうするか。いや、カメラがな……取り敢えず手のひらで押しやっておく。……うん、恥ずかしいから止めておこう。
「消えろオラアアアァァァ───ッ!!」
気合いを入れ、杖を振り被る。杖の先、月と星と羽が目映い光を放ち、勢い良く振り下ろせば、スカル共の周囲に仕込んでおいた《・・・・・・・》魔法陣が光り輝き、スカル共を光で包んだ。
ふはははは!! 俺が何の策も講じずわざわざ敵の前に姿を見せる訳ないだろう。折角的にバレてないメリットをむざむざと無駄にするほど俺はバカじゃないんだよ。がっつり仕込んで、出てきたのは名乗るためだ。んで、仕上げをすれば終わりだ。
スカル共は声帯がないので断末魔の叫びもなく、聖なる光りに包まれ消えた。正面から普通に殺り合っていたら苦戦しただろうが、最弱点を突き、準備する時間もあったならこんなもんだ。勿論、俺の力が強いのもある。…強いから女体化してんだからな。ケッ!
「おいお前ら」
どうしようか悩んだが、取り敢えず一言局員に物申す。彼等は唖然と飛んでる俺を見上げ……おいてめえ何顔赤くしてやがる。ぱんつか、ぱんつ見てんのか。金取るぞ!
「新人なら、弱いのから相手しろよ。経験積んでから格上に挑め」
返事は聞かず、そのまま飛び去った。いや、そろそろ戻りたいんだ。早く戻るために搦め手使ったんだからな。息子よ! 再会はすぐそこだ!(下品)
適当な場所で降りた俺は、さっさと変身を解いた。ぐすん、息子よ、よくぞ無事で……って、いい加減飽きるなこれ。
「マリア、どうだ? 今回の魔石は」
「しゅごいでちゅ! ちかりゃもおおきちゃもじゅんども、しゃしゅがどりゃごんでしゅよ!」
魔石ってのは倒したモンスターの強さにより強さが変わる。殆ど俺一人で倒したようなもんだったから、力も大きさも純度も桁違いらしい。まあ、ドラゴンだったしな、相手。
魔石は契約にも使うが、実は他にも意外と使い道はあるので、嬉しい。何より宝石だから綺麗だし、女は特に好きそうだ。アクセサリーとかな。まあ契約以外に使う人なんて滅多にいないが。
「さって、今日は疲れたし、さっさと帰って夕飯食うべ」
「ごはんー!」
妖精は物を食べる必要はないが、母がマリアをそれはもう可愛がってるので、毎食マリアの分も用意されている。因みに、マリアの主食はお菓子である。
後日、テレビでこの時の映像が流れて家族に冷やかされ身悶える羽目になるのだが、今の俺はすっかり忘れていた。いや、局員の戦闘に乱入するなんて滅多にやらないから、あんな臨場感たっぷりに映るのは初めてだったんだよ! もう局員なんて助けねえ!
くそっ、変身ってのは憧れであるべきだろ! 女体化変身とか冗談じゃねえええッ!!
続きますん。ありがとうございました。