遠い日の懐古
遠くで電車の走る音がする
何処かでトラックが走っている
君はいまこの瞬間に
何を思って何をしているのだろう
君の頭の片隅に 微量でも構わないから
わたしがいればいい と思った
あの日の夜を 君はまだ覚えているだろうか
真っ暗な部屋の窓辺に立って
夜の静寂にそっと耳を傾ければ
何処からか遠くの音が聞こえる
ずっとここにある 小さなわたしの町まで
君はわたしの記憶に確かにいるけれど
わたしは君の笑った顔を もう思い出すことができない
不意に声さえも届くような気がした
もしもここから精一杯の声を出したら
遠くの君にも聞こえるんじゃないか なんて