弱い
いつもこの場所にいる
わたしは臆病で
外に出ることが怖かった
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「じゃあ次、藍音。この問題解いてみろ」
「……」
「藍音、聞いてるのか?」
「わかりません」
彼女は成績優秀な生徒だ
わからないはずがない
どの授業も当てられては
「わかりません」を繰り返す
音読を命じられても同じ言葉を繰り返す
「外に出ることが怖かった」
彼女はそう言っていた
親しい存在は作らない
かつての私の様に
裏切られ傷つき自分を責めて
彼女は変わってしまった
別人の様に
昔はもっと笑う子だった
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わたしは臆病で傷ついた心を
いつまでも引きずっている
「藍音」
わたしの名を呼ぶ彼女は
いつも純真無垢で
わたしの感情をかきみだす
平凡に嫉妬して馬鹿みたいに
自分の殻に引きこもる
わたしは何よりも弱い…