臨時収入で心霊ゾーン(お題小説文字数制限なしバージョン)
沢木先生のドSなお題に基づくお話です。
臨時収入と心霊ゾーンを使わせていただきました。
文字数にご注目ください。これも偶然です(笑)。
これっぽっちも金運がないと思い込んでいた我が人生。
ところがところが、とーころが!
つい先日、思い切って買ってみた年末ジャンボ宝くじが当たった。
まあ、当たったと言っても、一等の組違い賞だけど。
そんなところでも、微妙に金運のなさを発揮してしまった。
それでも、この年の瀬に来て十万円はありがたい臨時収入だ。
これで壊れた洗濯機とファンヒーターを買える。
ついでにおせち料理も奮発しようか。
そんな事を思いながら歩いていたせいで、顔がニヤけていたのだろう。
不審な男につけられているのに気づかなかった。
大通りを外れて、いよいよ我が家までもう少しという路地に入った時だった。
「きゃっ!」
私はつけて来ていた男に思い切り突き飛ばされ、倒れ込んだ時に財布の入ったショルダーバッグを奪い取られた。
そのはずみで私は道路脇の側溝に頭から落ち、頭を強く打ってしまった。
はっと気がつくと、そこは一面の花畑。
噂に聞いていた天国だろうか?
私は追いはぎに襲われて、命を落としてしまったのか?
何て切ない人生だろう。
悲し過ぎて涙も出ない。
「神村さん、神村さん!」
その時、耳元で大声が聞こえた。
「え?」
目を開けると、そこは銀行の応接室。
私はソファに横になっていた。
心配そうに支店長が私の顔を覗き込んでいる。
「は?」
頭がボンヤリしていて、理解するのに時間がかかった。
ふとテーブルを見ると、一万円札の束が山積みになっている。
「良かった、気がつかれましたね」
支店長はホッとした顔でソファに座った。
「時々いらっしゃるんですよ、札束の山を見ると、気を失う方が」
支店長は担当の行員と苦笑いして言った。
「あはは、すみません、お恥ずかしい」
私は慌てて起き上がり、頭を掻いた。
しかも私はもっと恥ずかしいのだ。
何しろ、宝くじの取材に来て、一億円の札束を見せてもらっただけなのだから。
もうしばらくこの銀行には来られない……。
意味不明でもいいじゃない、人間だもん(ムフ)。