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俺の彼女がまさかの魔法少女  作者: 愛板


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剣聖 賢者


「樹龍!!」


今まで鍛えに鍛え上げた剛樹流の技を目の前の境界の悪魔に向かって放つ。さらに振り上げた剣をそのまま加速させ二ノ技につなげる!


「樹狼ぉ!!」


上下から狼の牙のように敵を襲う回避不能の刃だが防がれる、ならばと体の筋肉を全力で引き絞り速度を極めた三ノ技を放つ!


「樹鷹ぁ!!!」



生涯で一番といってもいい渾身の突きは眼前の境界の悪魔の腕を貫き吹き飛ばした。


それを見てさらに追撃を加える。体勢を低くし獣が疾走するように地面スレスレを走る。そして全力の俺が一番得意な技を放つ!


「樹龍 天翔」


樹龍を極め、さらに技としての威力を底上げした、俺が剣聖と呼ばれるようになった理由でもある技、神獣よりもたらされた剛樹流の技を昇華させた絶技、眼前の敵を斬るだけではなく天をも喰らうその剣は目の前の境界の悪魔の体を両断した。


「ーーすばらしいな、だが無意味だ」


両断したはずの悪魔は生きていた。体を半分に斬られ、半分に分かたれた状態の癖に特に痛みを感じていない様子で平然としていた。


「蹂躙撃」


悪魔が腕を振るう、半分に分かれた状態で何の力も込められていないその技は、一瞬で俺の剣を砕き、俺の体をめちゃくちゃにした。


「よいものを見させてくれた礼だ、生かしておいてやろう」


境界の悪魔はそう言って歩き始める、斬ったはずの体をすぐさま直し、体を正常の状態に戻して俺の守る国に向かって歩き始める。


「ま…ちやがれ…俺はまだ負けて」


力を入れろ!足が折れている?腕が折れている?そんなの関係ねぇ!今ここで!立ち上がって奴を止めろ!


「蹂躙撃」


「があああああああああ!!!!」


こちらを振り返りもせず放たれた技は何とか体を起こした俺の体を再度吹き飛ばす。


「手加減はしてやったぞ弱きものよ、精々楽しめ…」


醜悪に嗤うその生き物は、まさしく悪魔であった。






こうして俺は奴に負けた。使えた国も、妻も子供らも、友も何もかもを守れなかった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「魔術を撃ち続けろ!!壁に張り付かれたら終わりだ!!!」


「ぎゃああああ!!!」「遠距離攻撃持ちが出た!そいつを優先しろ!!」


「魔力がなくなっーーーい、いやだ!!たすけっ」



「なんという…」


そこはまさしく地獄であった。多種多様な境界の獣が空間の割れ目から現れ襲い掛かってくる。歩兵は羽虫でもたたくように雑に殺され、必死で魔術にて応戦しているが全くと言ってよいほど術の密度が足りておらず前線を押し込まれ続けている。


「第一賢者殿!ご無事でしたか!」


「あぁ、何とか街中に現れた境界の獣は殺しつくせた…じゃが…」


あまりにも犠牲が多く出た。多くの兵士はこの前線を守るために出撃しておるので街中は手薄になる。そしてそこを狙われた。わしが駆け付けた時にはもうおびただしい量の死体が積みあがっておった。

多くの犠牲が出たことを儂に話しかけてきた兵士は気付いたのか悔しそうに拳を握り締める。


「…これ以上奴らの好きにさせてはならぬ、儂は今から極大魔術の準備に入る。2分ほど時間をくれ」


「了解いたしました!伝令!第一賢者殿が極大魔術の準備に入る!繰り返す!第一賢者殿が極大魔術の準備に入る!」


戦場に伝令が飛ぶ、それまで儂に気づいていなかったものも儂に気づき期待を込めた「第一賢者どのだ!」「なんとしても時間を稼げ!」という声がそこら中から聞こえてくる。


あぁ、まかせてもらおう


儂は空中に巨大な魔法陣を展開する



この魔法陣こそ我が人生のすべて


我が一族の誇り


我が魔術都市の最強の魔術


神獣が放つ魔法と同等の破壊力をもつその魔術の名は



「ーーーデザイアノヴァ」


魔術の発動と同時に境界の獣がすべて崩壊した。


デザイアノヴァ、それは敵とみなしたものだけを屠る神雷、味方には一切の影響を与えないが術者が敵とみなせたものを瞬時に襲う神の雷、防ぐなんぞ不可能、まさしく雷速で降り注ぐそれは、境界の獣をたやすく滅ぼしつくした。


「「「「「「「うおぉぉぉおおおおお!!!!!」」」」」」


まさしく神話の中の魔術、敵の圧力から解放された兵士たちの歓声が戦場だった場所に響き渡る。


「うむ、我らの勝利じゃな」


「ーーいや、それは困るぜ?」


ガキン!と音が鳴った。わしが常時展開している魔術障壁がいつの間にか割れている。


なんだ?


何が起きた?


なにをされた?


「うお、かってぇ!なんだこれ!おもしろ!!」


儂の横には小人族、いや小人族の子供と同じようなサイズの境界の悪魔がいた。


「総員儂からはなれい!!!!」


「いや、無理でしょ!」


状況への理解が追いついていない兵士たちの首が飛んだ

あまりの早業に斬り落とされた首からは血すら流れていない、何が起きたかも理解できず多くの兵士たちが死んだ。


「貴様ぁ!!!ウッドインパクト!!」


「おっと!?」


瞬時に魔力を生成、魔術式に変換そして放つ。が防がれる


「はは!なんだその展開速度!おもしろ!」


境界の悪魔はそう言って儂に襲い掛かってくる。


「皆の者!手を出すな!こやつは儂にしか対処ができん!」


遠くから手助けに走ってくる兵士たちが見えたのでそう声を出す。


「はははは!そうだよ!有象無象!君たちはこいつらと戦っててよ」


境界の悪魔はそう言って空間を割いた。なんじゃ!何をした!?わしはこの境界の悪魔との戦闘を行いながら必死になってそ空間を注視しているとするとその空間の裂け目から先ほどと同等かそれ以上の境界の獣が姿を現した。


「なんという…」


「はは!おじさん!僕を倒さないとみんな死んじゃうよ!」


「貴様ぁ!!!」





そうして、儂が境界の悪魔と戦っているうちに…我が魔術都市は滅亡した。


境界の悪魔は都市の滅亡を確認したのちどこかに消えていった。




儂は…守るものをなくした。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あれから数年たった。俺らの世界は完全に境界の獣に負け、大地が死に始めた。やつらは俺らの世界のリソースを食い散らかしてまた別の世界に向かって旅立っていった。


「のう、剣聖よ…あと何日持つと思う?」


そう声をかけてきたのは第一賢者ルガウス・メルトリア・エグワイヤ、俺と同じく守るものを失った男だ。


「知らねぇ」


「なんじゃい、冷めてるのぉ」


第一賢者はつまらなそうにそうつぶやく


「結局、儂らは何にも残せんかったのぉ…」


「はっ、この滅びた世界で何をどう残すってんだ」


剣聖としての俺のすべて、剛樹流はこの世界と一緒に滅ぶんだよ、俺も少し前まで弟子は探していたがこの滅びる世界で技を伝えたところで結局すべてなくなるんだ。技術を継承したところで何にもならん、あと見どころがあるやるはすでに死んでいた。戦って死んでいた。


「悔しいものじゃの…」


「はっ、それが俺らの末路ってことだ、負けたんだからな」


「そうじゃの、負けたのじゃったな」


リベンジしたかったが…それも無理な話だ。この世界はすでに負けている。境界の獣にはまだ何とか攻撃が通じるが悪魔にもなると攻撃は意味をなさなくなる。負けた俺たちにはもうその資格もないというかのように


「じゃあな、おっさん俺は鍛錬に戻る」


「なんじゃいまだ鍛錬してたのか…身に着いた習慣というやつかの?」


賢者のおっさんは笑いながら俺にそう問いかけてきた。違う、習慣なんてもんじゃねぇ


「そんなんじゃねぇよ、俺は…少しでも俺が生涯をかけて極めたこの剣を、世界が滅びるとしても刻み付けたいんだ」


この世界は滅ぶ、滅んだ後には何も残らない、しかし…俺が振るったこの剣が存在したという事実は消えない、それだけは残すことができる。だから


「世界が滅ぶまで剣を振り続ける。この剣が存在したという事実をのこすために」


継承する人間も、この技を知る人間も、すべていなくなってもこの世界、この場所で、俺が剣を振るったことだけは消すことができないのだから。


「いい考え方じゃの…」


「はっ、うるせぇよおっさん」


「なんじゃい、おぬしもおっさんじゃろうが」


そうして俺は剣を振るう、一心不乱に剣を振るう、この世界が終わるまで

















「おい、剣持ってるようだがお前剣士なのか?」


「え、違います」






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