猿でもわかる電気の話を、なぜ人間は考えないのか…やかんと原子力と、熊本の水の話
✦猿でも分かる電気の話を、なぜ人間は考えないのか
――やかんと原子力と、熊本の水の話――
やかんの話だと思ったなら、
この文章はあなたのために書かれていない。
だけど、ここまで読んでしまったなら、もう逃げられない。
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目次
はじめに なぜ猿なのか
第一章 やかんは文明の正体を知っている
第二章 原子力が「偉そう」に見える理由
第三章 ゴミは毎日燃えている
第四章 なぜ電気だけは作らないのか
第五章 儲からない仕組みが消される国
第六章 熊本に集まった「最先端」の正体
終章 水を使い切ったあと、何が残るのか
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★はじめに なぜ猿なのか
吾輩は猿である。
猫でも犬でもない。
猫は自由すぎる。
犬は人間を信じすぎる。
猿は違う。
人間に一番近く、
それでいて人間ではない。
だから見える。
人間が「高度」「専門的」と呼んでいるものの中身が、
案外、空っぽであることが。
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★第一章 やかんは文明の正体を知っている
火を焚く。
水を入れる。
沸かす。
湯気が上がり、
蓋が鳴る。
やかんは一度も
「これは高度な技術です」とは言わない。
失敗するのは、
水が足りないか、
火が弱いときだけだ。
吾輩は猿であるが、
この仕組みが分からないほど
愚かではない。
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★第二章 原子力が「偉そう」に見える理由
原子力は、やけに偉そうだ。
「近づくな」
「お前には難しい」
「安全は専門家に任せろ」
そう言われるほど、
人間は安心する。
だが猿には見える。
結局やっていることは、
やかんと同じ理屈なのだ。
違うのは、
事故の後始末と、
責任の所在だけである。
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★第三章 ゴミは毎日燃えている
ここで事実を言おう。
日本中で、
ゴミは毎日燃えている。
焼却場は各地にある。
熱も出る。
蒸気も上がる。
その熱で、
温水プールを作る町もある。
だが、
電気だけは作らない。
吾輩は、ここで立ち止まる。
なぜなのか。
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★第四章 なぜ電気だけは作らないのか
理由は簡単だ。
作れてしまうからである。
小規模で、
安く、
誰でも分かる形で。
もし全国のゴミ焼却場が
小さな発電所になったら――
電力不足は一気に解消する
電気代は下がる
ゴミ問題は軽くなる
原子力は要らなくなる
地球にも優しい
だが、
誰も大儲けしない。
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★第五章 儲からない仕組みが消される国
人間社会は、
みんなの役に立つかどうかでは動かない。
金が大きく動くかどうかで決まる。
原子力は、
作って儲かり、
維持して儲かり、
壊すことすらできない
半永久的な消費財である。
一方、
ゴミ焼却電力は、
静かに回り続けるだけだ。
だから言われる。
「現実的でない」
「前例がない」
「規制が必要だ」
「難しい」
吾輩には分かる。
それは技術の問題ではない。
金持ちの都合の問題だ。
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★第六章 熊本に集まった「最先端」の正体
熊本の水は、特別だ。
阿蘇の山々から湧き、
人々の命を支えてきた水である。
だが今、
その水は半導体工場を冷やしている。
人間は言う。
「日本の未来」
「最先端技術」
猿は思う。
人も猿も、
水がなければ一日も生きられない。
半導体はどうだ。
水が尽きれば、
次の土地へ行くだけだ。
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★終章 水を使い切ったあと、何が残るのか
文明は、
水のある場所に生まれた。
今、文明は
水を先に使い切ることで
未来を作ろうとしている。
吾輩は猿である。
だが、猿でも分かる。
命の水を
金のために先に使い切る文明は、
必ず崩壊している。
最後に問いを残そう。
半導体を冷やす水と、
子どもが飲む水。
あなたは、
どちらを「文明」と呼ぶつもりなのか。
答えは――
やかんですら、もう知っている。




