第80話 暗殺者集団との戦闘
キン! ギン! キンキン!
俺の剣と、暗殺者リーダーのカタナが何度も激しくぶつかりあう。
「やるな!」
「お前もでかい口を叩くだけのことはある」
「そりゃどうも!」
キン、ガキャン!
ギン、キン!
純粋な剣技では俺が勝っている。
だが、身のこなしでは暗殺者リーダーが上回っていた。
なめらかで捉えどころのない動きに、俺はどうにも攻めあぐねてしまう。
チラリと周囲に視線を向けると、シノビとリーリアが即席のタッグを組んで、絶妙なコンビネーションで残る8人とやり合っているのが見えた。
多勢に囲まれないように上手く移動しながら戦っている。
「まずは1人」
そしてシノビが敵を一人斬り捨てた。
よし、あの2人なら大丈夫なはずだ。
ってことはつまり、シノビが警戒していたのは今、俺が相対している暗殺者リーダーで間違いない。
実際、俺も奇妙な動きにてこずっていた。
だがその動きにも少しずつ慣れてきたぜ?
シノビとリーリアが雑魚どもを抑えてくれている間に、俺はこいつを仕留めてみせる!
さらに何度か打ち合っていると、お互いのバックステップがかみ合って7,8メートルの距離がフッと開いた。
そう俺が認識した時には、目の前にシュリケンが迫っていた。
なっ、いったいいつの間に投げやがった――!
俺は必死に首を斜め後ろにそらそうとする。
かわせるか――⁉
と、
「ハ――ッ!」
横合いからシノビが飛び込んできて、まずはいつの間にか投げられていた数枚のシュリケンを、シノビのシュリケンが空中で迎撃した。
さらに続いて繰り出された鋭い斬撃を、シノビは火花を散らしながらカタナで受け止める。
さらにシノビは一瞬の鍔迫り合いから、流れるような前蹴りを暗殺者リーダーの鳩尾に放つと、
「むぐッ──!」
暗殺者リーダーは小さな苦悶の声を上げながら、蹴りの勢いを利用して大きくその場から飛び退った。
「シノビ! サンキュー!」
「こやつは暗殺のプロです。やり口に通じた私でなければ、いかにギルマスと言えども不覚を取るやもしれません。やはりここは私が受け持ちます」
「いいや、こいつの狙いは俺だ。だから俺が注意を引き付けた方がいいはず。それに舐められたままじゃ終われないからな。まぁ見てなって」
「御意」
言いたいことはあるんだろうが、シノビはいつものようにこくんとうなずいた。
「それとシュリケンのことが知りたい。あれはどうやって投げているんだ? いきなり飛んでくるんで少し対処に苦労してる。あくまで少しだけどな?」
「あれは手首の返しだけで投げているのです。物を投げるための予備動作がないので突然、飛んできたように相手に錯覚させることができるのです」
「なるほどな。そういうテクニックか」
「とにかく剣を持っていない方の手にご注意ください。ギルマスほどの技量であれば、タネさえわかれば見極められるはずです」
「OK、了解」
原理はわかった。
ならば後はぶっつけ本番あるのみだ。
ま、別に対処法を聞かなくても勝てたけどな?
いやマジで。
さっきのだって、シノビにも守ってもらえなくても、ギリかわせたし?
手首の返しで投げているのにもすぐに気付けたはずだし?
と、そこで暗殺者リーダーが口を開いた──俺ではなくシノビに向かって。
「ハンゾウさま、邪魔立てはおやめくだされ」
と。




