表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/90

第78話 襲撃

「ポロムドーサに引き返しますか?」


 リーリアが不安そうな顔で尋ねてくる。


「いや。もうエスコルヌ女子爵の屋敷へ行く方が近い。ポロムドーサにはサー・ポーロ士爵の息のかかった奴らも多いし、このままノースランドに向かおう」


「たしかにそうですよね。この状況でポロムドーサに戻るのは、自分から罠に飛び込むようなものです。別の暗殺者が待ち構えているかもですし」


 リーリアが納得してくれて、


「飛んで火にいる夏の虫、と言います。私もノースランドがよろしいかと」


 シノビも同意見のようだ。


「決まりだな。あと今回の暗殺者は、シノビが一人じゃ対応できないような、ヤバい相手ってことでいいんだよな?」


「相手は私と同じく裏家業に長けた手練れ、しかも集団にございます。数は9名。かなり手ごわい相手かと」


 その言い方が少し引っかかった。

 俺の直感が妙な違和感を告げている。


「妙に詳しいな? もしかして相手に心当たりでもあるのか?」


 そしてその直感は正しかった。


「あります。私は遠い異国の地で、裏家業を生業とする隠れ里で生まれ育ったのですが、彼らは同郷の者たちなのです」


「なっ!? ってことはシノビと同じようなスキル持ちが、何人もいるってことか?」


 俺が驚きの言葉を口にした瞬間だった。


 ヒュン!

 風切り音がした。


 とっさに振り向いた俺の視界を、銀色に煌めく「何か」がよぎる。


 長年の冒険者生活で培った危険察知能力が反応し、危機感を覚えた俺はとっさの反射で「何か」を避けようと上体を逸らすが――、


「く――っ!」


 狙いが鋭い!

 避けきれるか!?


 刹那の瞬間。


 キン!


 シノビが目にも留まらぬ速さで抜刀し、俺の顔へと目掛けて飛んできた「何か」をカタナで叩き落としていた。


「うぉっと、あっぶねぇ! 助かったシノビ。サンキューな」


「いえ、今のギルマスの動きであればギリギリで避けれました。差し出がましい真似をしてしまい、申し訳ありません」


「いやいや、めっちゃ助かったっての。ところで、なんだ今のは? 何が飛んできたんだ?」


 地面にはシノビが叩き落した「何か」――四方向に尖った刃が付いた見慣れない金属が転がっていた。


「これは手裏剣にございます」


「シュリケン? 初めて聞いたな」


「私の故郷で使われる投擲武器にございます。それよりもご注意を」


 シノビに言われて、俺はいつの間にか街道を行く馬車の前後に、上から下まで黒づくめの集団が現れていることに気が付いた。


 数は9名。

 その格好は全員シノビとそっくりだ。


「なっ、いつの間に……!」


 俺は慌てて手綱を引いて馬を止めると、後ろの荷台に手を伸ばして鞘ごと剣を手繰り寄せた。

 迷うことなく引き抜く。


 ここ最近はほとんど使っていなかったものの、長年使い込んだ愛剣はしっかりと手に馴染んでくれる。


「か、囲まれています!」


 リーリアも俺から少し遅れて剣を荷台から取ると、流れるように剣を抜いた。


 普段は人手不足&「適材適所で事務作業に明け暮れるリーリアだが、こう見えてBランクの冒険者。

 剣の扱いも対人戦闘も、それなり以上にこなせるのだ。


 俺は馬を狙われないように、まずはさりげなく馬車を道の脇に寄せると、リーリアとともに警戒しながら馬車を下りた。


 俺、シノビ、リーリアの3人で、まずは背中を合わせるようにして死角を消す。


 何も言わなくても対集団戦闘の基本防御が自然とできるのが、戦闘を生業とする俺たち冒険者だ。


 俺はいつでも反撃できるように細心の注意を払いながら、まずは黒ずくめの集団を観察する。

 するとすぐにその中に明らかにリーダーと思しき人物を見つけた。


 そいつは俺へと視線を向けると、シノビとよく似た淡々とした口調で言った。


「冒険者ギルドのギルドマスター、フィブレ・ビレージだな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ