第19話 Sランク冒険者フィブレの実力
「全員、突撃!! 俺に続け!!」
掛け声とともにまず最初に走り出した俺の身体は、既に高レベルの戦闘スキルが発動しており、身体能力が格段に向上している。
「おおおおおおっ!!」
周囲を鼓舞し、敵を威圧する大音声の掛け声とともに、俺は解き放たれた矢のようにボス・キングウルフへと向かって一直線に突撃した!
途中にいた3体のキングウルフを、走りながらの勢いそのままに一刀のもとに斬り捨て、群れの中央にいたボス・キングウルフへと一気に肉薄する!
キャウン!?
キャンッ!
ワオーン!!
不意打ちを受け、仲間を殺されたキングウルフたちは右往左往、上を下への大騒ぎとなっていた。
が、しかし。
やはりボス・キングウルフだけは別格で、
グルルルルルルッ!!!
身の毛のよだつ唸り声を上げ、怒りを込めた鋭い目付きで俺を睨み付けながら、俺へと反撃を繰り出してきた。
他のキングウルフよりも一回り以上でかい巨体。
そこから繰り出される鋭い爪と牙は、どちらも当たり所が悪ければ即死するかもしれない、凶悪すぎる攻撃だ。
だがしかし――!
「舐めんなよ、ちょっとでかいだけの犬っころが――!」
並の冒険者にとっては凶悪でも、王国を震撼させた暴れドラゴンすら倒してみせた俺にとっては、この程度の攻撃は大した脅威ではない!
ギャギン!
ギャン!
ギン!
ギャギン!!
俺はボス・キングウルフの爪と牙による連続攻撃を、見切り、かわし、剣で受け止め、受け流し、弾き――十分な安全マージンを維持しながら対処してゆく!
「なるほど。でかい群れを率いているだけあって、まぁまぁやるな――ま、しょせんはまぁまぁだがな」
俺が強敵だということを、ボス・キングウルフもすぐに理解したのだろう。
グルルルルアアアアァァァァッ!!!
ボス・キングウルフの咆哮で、戦いの様子を窺っていた取り巻きのキングウルフたちが5体、一斉に俺へと襲いかかってきた!
俺はボス・キングウルフの攻撃を捌きつつ、さらに同時に5体のキングウルフを相手にしなくてはならなくなる。
これがキングウルフが得意とする集団戦闘だ。
――が、もちろんこれも何の問題もない。
「お前らの手の内はよーく知ってるぞ。そもそもモブ程度じゃ相手になんねぇっての。とりあえず邪魔だ。雑魚どもはあの世に引っ込んでろ」
俺は瞬間的に身体能力を限界ギリギリまで高めると、鋭い斬撃を5体のキングウルフへと次々と叩き込んだ。
ある個体は首を落とされ、ある個体は胴体を真っ二つにされ。
5体のキングウルフは一瞬で動かぬ骸となり果てる。
グルゥア!?
刹那の瞬殺劇を目の当たりにしたボス・キングウルフの目が、驚いたように見開かれた。
「俺ほどにもなれば、これくらいの力のコントロールはお手の物なのさ」
俺が無造作に1歩を踏み出すと、
グ、グルル……っ!
ボス・キングウルフは怯えたようにわずかに後ずさりする。
「おっと、どうした? お得意の集団攻撃が通じなくて、ビビっているのか?」
俺がさらに1歩を踏み出すと、ボス・キングウルフはさらに1歩後ろに下がった。
「統率の取れた群れでの行動は確かに驚異だ。だが俺のような圧倒的強者の前では、雑魚がいくらたくさんいようが意味はない」
小さく笑って見下すように威圧しながら、その隙に周囲をチラリと確認すると、
「おらぁ! これで3体目だぜ!」
「ナイスぅ!」
「よし、次に行くぞ! まだまだ気を抜くなよ!」
他のパーティたちも順調にキングウルフを討伐しているのが見える。
「リーリア!」
リーリアの名前を呼ぶと、
「撃破数は17体です!」
俺の意図を察したリーリアから総撃破カウント数が返ってきた。
全部で26体の群れだから、残り9体か。
ここまででボス・キングウルフの戦闘力はだいたいわかった。
まぁまぁ強いが、それ以上でもそれ以下でもない。
ぶっちゃけ仕留めようと思えばすぐにでも仕留められるんだが、もう少し群れの個体数が減るまで、俺は戦いを引き延ばす必要があった。




