第16話 キングウルフ討伐クエスト
俺はリーリアと3組15名のBランクパーティを率い、馬車3台に分乗して現地に向かった。
キングウルフたちが街道付近で住みかとしている場所は、既に事前調査専門パーティ「ナイトワイズ」が突き止めてある。
探知スキル持ち。
マタギと呼ばれる狩猟のプロ。
魔獣の生態に精通した専門家。
シノビと呼ばれる東方出身の特殊技能者。
多種多様な技能を持つスペシャリストが集まった、ポロムドーサ冒険者ギルドの誇る集団ナイトワイズは、伊達じゃない!
それはそれとして。
俺は先頭の馬車の中でリーリアとゆるゆると会話をしていた。
今から緊張してたら気が持たないからな。
なんでもメリハリは大事なのだ。
「いやー、馬車も向こう持ちで出してくれるとか、ほんと助かるなぁ」
「さすがは商人ギルドですよね。しかも乗り心地がすごくいいですし。イスとか板張りじゃないんですよ? これは高級馬車ですよ」
「ハイエンドではないけど、かなりいい馬車なのは間違いないな。造りもしっかりしてるし。俺たちが普段使う安馬車とはえらい違いだ」
「普通なら、まず乗る機会がない馬車ですよねぇ」
俺とリーリアは馬車の乗り心地にご満悦だった。
「なにせ畜産ギルドと商人ギルドが相乗りした討伐依頼だからな。金に糸目はつけないってことだろうよ」
前金でドン!
成功報酬はさらにドン!
気前よくいい馬車を3台もドン!
なる早で解決して欲しいという切実な思いが、依頼料にも馬車にもにじみ出ていた。
俺が久々のでかい案件に、頭の中を黄金色にしていると。
「たしか、その2つのギルドって仲がいいんですよね?」
ふと思い出したようにリーリアが言った。
「畜産ギルドが家畜や乳を街まで運ぶために、商人ギルドの持つ巨大な輸送網と輸送力はマストで必要だからな。商人ギルドにしても畜産ギルドは毎年、大きな取引がある大口顧客だ。そりゃ結びつきも強くなるってもんさ」
「持ちつ持たれつですねぇ。うちで言えば、武器防具ギルドや薬草ギルドでしょうか」
「ああ、その2つは冒険には特に欠かせないからな」
「武器がないと戦えませんし、怪我や状態異常からの回復は文字通り命にかかわりますもんね。実際、フィブレさんは向こうのギルマスと仲がいいですし」
「ちなみに武器防具ギルドは、さらに金属ギルドや炭ギルドとも深い関係にあるんだ」
「鍛冶には、金属と炭が必要だからですね?」
「そういうこと。必要とするギルド同士、必然的に結びつきが強くなるわけさ」
「各ギルドはもはやそれ単体では成立しえず、複雑に絡み合った関係性を構築しているんですねぇ」
リーリアがいい感じにまとめてうんうんと頷いたところで、
「ギルマス、ご到着をお待ちしておりました」
調査パーティ「ナイトワイズ」の一員であるシノビ(本名は不明、着物と呼ばれる黒装束を着ている)が、いつの間にか馬車と並走しており。
「ごめんつかまつる」
音も立てずに、実に軽やかに馬車に飛び乗ってきた。




