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第15話 セカンド・ステップ:キングウルフ討伐の依頼


「さて、これよりキングウルフの群れの討伐クエストに向かう」


 俺はホールに集めた3組のBランクパーティ、総勢15名──事前に選抜しておいた──に向かって厳かに告げた。


 その一言で、今までは少し緩んだ雰囲気で会話を交わしていた冒険者たちの顔色が、一気に引き締まったのがわかる。


 もちろん、俺の隣にはリーリアが――いつもの笑顔は封印して――神妙な顔で控えている。


 俺は普段はにこやかに愛想よく冒険者たちと接しているんだが、今日は違う。


 これは危険なクエストだと念押しするためにも、俺はことさらに真剣な声色を意識して言葉を続けてゆく。


「知っての通り、キングウルフはAランクの魔獣だ。しかも群れを組む。事前に偵察を行った観測班によると、今回の群れは最低でも25体以上いる大きな群れとのことだ」


「に、25体だって!?」

「そんなにいるのかよ!」

「向こうの方が数が多いってことか?」


 ざわめきが広がる中、リーリアが補足説明をする。


「さらに言うと、複数の子連れ個体が確認されています。子連れ個体はかなり狂暴性を増していると考えられるので、細心の注意を払って行動してください」


「な、なぁギルマス。俺らまだBランクだぜ? Aランク魔獣の大きな群れなんて相手にできるのか?」


 とあるパーティのリーダーが、律儀に手を上げてから、不安の声を上げた。


「大丈夫だ、問題ない」


 不安を吹き飛ばすように、俺は力強く言い切る。


「で、でもよぉ……」


「なーに、そう難しいことじゃないんだ。まずは俺が先陣を切って突撃し、そこから大半は俺が相手をする」


「ギルマスが?」


「ああ、任せてくれ。そして各パーティは密集陣形を組んで安全を優先しつつ、散り散りになったキングウルフを1対多数で各個撃破して欲しいんだ。さすがに俺も散開して逃げられると、全部は仕留めきれないだろうからな」


「大半を一人で相手にするって……。別にギルマスの力を疑うわけじゃないんだが、そんなことが可能なのか? なにせ相手はAランク魔獣キングウルフなんだぜ?」


「ははっ、俺を誰だと思っている? 俺は『神童フィブレ』。並みいるSランク冒険者を差し置いて暴れドラゴンを仕留めてみせた、王国最強の冒険者だぜ?」


 俺が自信満々に告げると、冒険者たちの顔から不安が一気に引いていく。


「だよな!」

「あの神童フィブレさんが一緒なんだ。何をビビる必要があるって話だぜ!」

「よし、俺らはギルマスの足を引っ張らないように、最善を尽くすぞ!」

「ああ! 足だけは引っ張れないからな!」


 ふふん、計画通り。


 若気の至りもあって若干の黒歴史ではあるのだが、神童フィブレの二つ名は伊達ではないのだ。


 ちなみに「王国最強」かどうかは知る由もないし、ぶっちゃけ適当に言った。

 嘘も方便。

 ここにいる皆を納得させるためにだ。


 だが俺としては「わりと最強なのでは?」と思ってはいる。


 いや、思ってるだけだぞ?

 別にそんな「俺は最強だ!」なんてイチイチ言わないから。

 俺ももういい大人だからな。


「フィブレさん」


 ──と、沸き立つ冒険者たちの声に紛れるようにして、リーリアが小声で話しかけてきた。


「なんだ?」


「今、『俺ってマジ最強だよな~』って思ってません?」


「……」


「ダメですよ。せっかくみんなが気持ちを高めてくれているのに、当のフィブレさんが調子に乗っちゃ」


「あ、はい」


 俺のことは何でもお見通しのリーリアだった。

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