表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/106

第101話 リーリアとエスコルヌ女子爵の顔合わせ

 そして冒険者ギルドの移転――というかもはや街そのものの移転ともいうべき大事業は、サー・ポーロ士爵の妨害がめっきり減ったことで、それはもう順調に進んでいき。


 それと並行して俺は、命を狙われ&リーリアを傷つけられた復讐を着々と進めていたのだが。


 さらにそれと並行して、俺には絶対にやっておかねばならないことがあった。

 それこそ復讐よりも何よりも最優先でだ。


 それが何かというと――エスコルヌ女子爵とリーリアの関係性の構築である。


(ちなみにリーリアは毒からすっかり回復し、後遺症も残らずに元気を取り戻し、仕事に復帰している。

 本当に良かった。

 解毒剤をくれたシノビには感謝してもしきれない)


 俺は2人を同時に部屋に呼んで、単刀直入に言った。


「俺は2人ともが好きだ。心から愛している。だから2人どちらも妻に(めと)りたい」


 ストレートに想いを告げる。

 2人はというと、無言で顔を見合わせた。


 むむ……、反応が芳しくないな……。


「急に言われてもいろいろと思うことがあると思う。2人が直接、顔を合わせるのは今日が初めてだしさ? だけど俺は3人でうまくやっていけると思っているんだ。だから俺の気持ちを受け入れてもらえないかな?」


 さすがに事が事なので――なにせ正々堂々と二股したいと言っているわけで――俺は真剣に心からの気持ちを伝えた。


 後ろめたい提案だが決して視線をそらさず、2人の答えをジッと待つ。


 すると2人はどちらからともなく俺へと向き直り。


「ふふっ、フィブレ様は勘違いをしておられますわ」


 まずはエスコルヌ女子爵がくすくすと小さく笑いながら言うと、


「はい、フィブレさんはとても大きな勘違いをしています」


 リーリアもおなじように小さく笑いながらそれに続いた。


 おや……?

 なんだか思ったよりも2人の距離感が近いような……?


「ええっと、勘違いってのは?」


「わたくし、リーリアさんとは初対面ではありませんわ。もう何度も顔を合わせております。ね、リーリアさん?」


「はい」


「そうだったのか? いったいいつの間に……」


 そんな話、まったく聞いてなかったんだが?


「最初はリーリアさんのお見舞いに行きましたの。そうしたらとっても話が弾みまして」


「そこからはすぐに仲良くなって、毎日のように会っていたんですよ」


 どうやらそういうことのようだった。


「ならそうと言ってくれればよかったのに」


「内緒にした方が面白いと思いまして、リーリアさんにも口止めしていたのですわ。ね、リーリアさん」


「はいクラリス様」


 リーリアが「クラリス様」と呼んだ。


 通常、部外者はエスコルヌ女子爵と呼ぶ。

 そうでないのはいわゆる「内側の人間」だけ。


 屋敷の使用人であったり、親しい友人であったり、そういった内側の人間だけが使う呼び名をリーリアがした。


 それは2人が既に、かなり打ち解けた近しい関係であることを如実に示している。


「面白いって……」


「おかげで真剣に想いを伝えてくれるフィブレ様を見ることができ、わたくしとってもご満悦ですわ♪」


「えへへ、私もです♪」


「ああ、うん……」


 どうやら俺は、してやられたらしい。


「やはり殿方の真剣な表情というのは、心に来るものがありますわよねぇ」


「それが愛しい人の物ならなおさらです」


「あら、リーリアさん、わかってらっしゃいますわね」


「こう見えて恋する乙女ですから」


 キャイキャイとガールズトークで盛り上がるエスコルヌ女子爵とリーリア。


 それを眺める俺は、拍子抜けしたというか、微妙に蚊帳の外というか。

 なんとも言えない気持ちで眺めていた。


 ふと「尻に敷かれる」という慣用句が頭をよぎっていた。


 とまぁ、そういうわけで。


 エスコルヌ女子爵とリーリアの顔合わせは、まったくもって何事もなく終了した。

(そもそも顔合わせですらなかった)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ