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第五章 その6 王都の守護者

 王都の東区画。かつて商人たちで賑わった広場は、今や避難民であふれかえっていた。


「こっちに毛布を! 怪我人は奥の天幕へ!」


 ティナの声が、混乱の中で響く。額に汗を浮かべながら、彼女は避難所の設営を指揮していた。精霊工学の知識を活かし、効率的な配置を次々と決めていく。


『ティナ嬢、北東の角に魔力の乱れを感知しておる。警戒した方が良いぞい』


 胸元の天球儀型ペンダントから、アルキメデスの老賢者のような声が響いた。


「分かってる。でも今は——」


 ティナが振り返ると、小さな女の子が母親にしがみついて泣いていた。家を失い、恐怖に震える人々。彼らを守ることが、今の最優先事項だった。


「大丈夫よ、ここは安全だから」


 膝をついて、女の子の頭を優しく撫でる。その手が、微かに震えていることに、ティナ自身も気づいていた。


 状況は悪化の一途を辿っている。虚核の魔物が出現し、王国軍の一部は洗脳され、民は恐怖に怯えていた。


「ティナさん! 西の通りから避難民が!」


 若い衛兵が駆け寄ってくる。まだ顔に幼さの残る少年兵だった。


「すぐに受け入れ準備を——」


 言いかけた時、異変が起きた。


 ゴォォォン……

 

 地響きのような音が、地下から響いてくる。石畳が微かに振動し、避難民たちがざわめき始めた。


『ティナ嬢、来るぞい!』


 アルキメデスの警告と同時に、広場の中央が盛り上がった。


 石畳が砕け、黒い触手が地面から噴き出す。それは瞬く間に巨大化し、醜悪な姿を現した。虚核の魔物——地下に潜んでいた個体が、避難所を狙って出現したのだ。


「みんな、下がって!」


 ティナは即座に魔導砲を構えた。精霊工学の粋を集めた武器が、唸りを上げて起動する。


 だが、魔物はすでに動いていた。


 黒い触手が鞭のようにしなり、避難民たちを襲う。悲鳴が上がり、人々が逃げ惑った。


「させない!」


 ティナが腕を振るうと、全身に光が走った。瞬時に外骨格式の戦術鎧が展開される。魔導技術と精霊術が融合した装甲が、彼女の身体を包み込む。


 背中の推進機構が起動し、一瞬で宙に浮き上がる。胸部の天球儀がアルキメデスとリンクし、魔物の動きを解析していく。


 腕部の魔導砲から青白い光線が放たれ、魔物の触手を切り裂いた。だが、切断された部分からすぐに新たな触手が生え、数を増していく。


「再生……厄介ね」


 舌打ちしながら、ティナは推進機構を使って高速移動し、避難民を庇うように立つ。しかし、魔物の攻撃は激しさを増すばかり。触手が四方八方から襲いかかり、防戦一方に追い込まれる。


ドガッ!


 横薙ぎの一撃が、戦術鎧の脇腹部分を打った。装甲が軋み、内部機構に警告音が響く。


「ぐっ……!」


 膝をつき、血の味が口の中に広がる。見れば、魔物はさらに巨大化し、避難民たちに迫っていた。


 あの子が——さっき頭を撫でた女の子が、恐怖で立ちすくんでいる。母親は娘を庇うように抱きしめているが、二人とも動けない。


 黒い触手が、鎌のように振り上げられた。


「だめ……!」


 ティナは立ち上がろうとするが、身体が思うように動かない。このままでは——


『ティナ嬢!』


 アルキメデスの声が、いつになく感情的だった。


『もはや限界じゃ。お主一人では、皆を守れぬ』


「分かってる……分かってるけど……!」


 涙が、頬を伝う。無力感が、胸を締め付ける。


 また守れない。技術があっても、知識があっても、大切な人たちを——


『じゃから、わしに任せてくれんか』


 アルキメデスの声が、優しく響いた。


『ソウルシフトじゃ。わしを、人の形にしてくれい。そうすれば——』


「でも、それは……!」


 ソウルシフト。精霊核を一時的に人間化する強化用魔核。使えるのは一度きり、しかも時間は三十分。その後は二度と使えない。


『わしの全てを賭けてでも、お主らを守る……それがわしの選んだ道じゃ! 心配は要らん、これでよいのじゃ……!』


 天球儀のペンダントが、温かく輝く。


『さあ、ティナ嬢。お主の決断を』


 魔物の触手が、女の子に向かって振り下ろされる——その瞬間。


「アルキメデス!」


 ティナの叫びと共に、眩い光が爆発した。


 風が、嵐のように吹き荒れる。ペンダントから溢れ出した光が、人の形を取り始めた。


 そして同時に、ティナのソウルフォージが一時的に解除される。アルキメデスの人間化には、莫大なエネルギーが必要だったのだ。


 現れたのは、長身の青年だった。


 風をまとった白衣、知的な眼差し、手には、光で出来た杖を握っている。


「えっ……?」


 ティナは目を見開いた。てっきり白髭を蓄えた老賢者の姿を想像していたのに、目の前にいるのは自分と同年代か少し上くらいの美青年。整った顔立ちに、風になびく銀髪が眩しい。


「ア、アルキメデス……? その姿……」


「ほほう、久しいのう人間の身体よ」


 声は確かにアルキメデスなのに、見た目とのギャップにティナは混乱する。老人のような口調から紡がれる言葉と、若々しい外見の落差が激しすぎる。


 アルキメデスは、自分の手を興味深そうに見つめた。それから、鋭い視線を魔物に向ける。


「申し訳ないがの——」


 風が、彼の周囲で渦を巻く。


「——ここから先は、一歩も通さんぞい」


 瞬間、アルキメデスの姿が消えた。


 次の瞬間には、女の子の前に立ち、触手を素手で受け止めている。風の障壁が、衝撃を完全に無効化していた。


「なに……!」


 ティナが息を呑む。人間化したアルキメデスの力は、想像を遥かに超えていた。そして何より、その凛々しい横顔に見とれそうになる自分に気づいて、慌てて首を振る。


「解析完了じゃ。再生能力の源は中核部にありじゃな」


 飄々とした口調で分析しながら、アルキメデスは杖を一振りする。その所作すら、なぜか優雅に見えてしまう。


 真空の刃が、魔物の触手を根元から切断した。今度は再生しない。中核への経路を、正確に断ち切ったのだ。


「ティナ嬢、立てるかの?」


 振り返ったアルキメデスの表情に、かすかな優しさが宿っていた。


「う、うん……」


 よろめきながら立ち上がるティナ。その手を、アルキメデスがそっと支える。人間の体温を持つその手は、不思議と懐かしい感覚だった。同時に、こんなに若い手だったのかと内心で驚く。


「一緒に戦おうぞ。お主とわしなら、必ず勝てるじゃろう」


 老人のような口調で語る美青年。そのギャップに、ティナは複雑な気持ちになりながらも頷いた。


「……うん!」


 ティナは立ち上がり、再びソウルフォージを発動する。今度は外骨格式戦術鎧がより洗練された形で展開された。アルキメデスと並び立つ、二人の戦士。


 魔物が怒り狂ったように咆哮を上げた。残った触手が一斉に襲いかかってくる。その数、実に数十本。


「風よ、我が刃となれい」


 アルキメデスが杖を掲げると、巨大な竜巻が発生した。触手を巻き込み、引き千切っていく。


「今じゃ、ティナ嬢! 中核をやるのじゃ!」


「任せて!」


 ティナは戦術鎧の全エネルギーを右腕の魔導砲に集中させた。胸部の天球儀が高速回転し、魔物の中核位置を正確に特定する。


「これで……終わりよ!」


 青白い光線が、一直線に魔物を貫いた。中核が砕け、魔物全体が痙攣する。


そして——


 ドォォォン!


 爆発と共に、魔物は黒い霧となって消滅した。


 静寂が、広場を包む。


 避難民たちが、恐る恐る顔を上げた。そこには、風に髪をなびかせながら立つティナと、人間の姿をしたアルキメデスがいる。


「すごい……」


 誰かが呟いた。


「魔物を……倒した……」


 歓声が上がる。人々が二人を取り囲み、感謝の言葉を口々に述べた。


 しかし、ティナの表情は晴れない。アルキメデスの身体が、少しずつ透けていくのが見えたから。


「ほう、もう時間かのう」


 アルキメデスは、消えかかる自分の手を見つめた。


「早いものじゃな」


「アルキメデス……」


ティナの目に、涙が滲む。


「ごめん……私のせいで……」


「謝ることはないぞい」


 アルキメデスは、優しく微笑んだ。その表情は、いつもの飄々とした精霊核とは違う、温かみを帯びていた。


「これはわしが選んだことじゃ。そして——」


 消えかかる手で、ティナの頬に触れる。


「——お主となら、どんな形でも共に在りたいのう」


 その言葉に、ティナの中で何かが弾けた。


 今まで、アルキメデスを道具のように思っていた自分。効率と理論だけで動いていた自分。でも、本当は——


「私も……私も、あなたと一緒にいたい!」


 叫びと共に、ティナの全身から風の力が溢れ出した。


 それは今までのソウルフォージとは違う。魂の奥底から湧き上がる、純粋な想い。相棒への信頼と、共に在りたいという願い。


『ティナ嬢……』


 アルキメデスの声が、心に直接響いてきた。人間の姿は消えたが、その存在はより強く、より近くに感じられる。


『ほほう、まさかやつ以外と究極の融合できるとはのぉ』


 風が、ティナを中心に渦を巻く。だが、それは今までとは全く違う現象だった。


 外骨格式戦術鎧が、光の粒子となって分解されていく。いや——再構成されているのだ。


 風と一体化した新たな装甲が形成される。それは最早、単なる鎧ではない。半透明の風の装甲、背中には巨大な風の翼、胸部の天球儀は激しく輝き、アルキメデスとの完全同期を示していた。


 髪が風と一体になり、瞳が空の青に染まる。両腕には風を纏った魔導砲が一体化し、まるで腕そのものが武器となったかのよう。


「これは……」


 ティナは、自分の中にアルキメデスの意識があることを感じる。二つの魂が重なり合い、一つになっていく感覚。戦術鎧を通じて、より深い融合が実現したのだ。


『共に行こうぞ、ティナ嬢』


「うん、一緒に」


 完全なる調和。それは、ソウルフォージの究極の形だった。


「みんな、避難を続けて!」


 ティナは振り返り、避難民たちに指示を出す。その声には、以前とは違う力強さが宿っていた。


「私が、この場所を守るから!」


 人々は、その姿に希望を見出した。風を纏い、凛として立つ少女。彼女こそが、この混乱の中での光明だった。


 突然、新たな地響きが起こる。


 今度は一体ではない。広場の四方から、同時に虚核の魔物が出現した。先ほどよりも大型で、より凶悪な個体たち。


「まだいたのね……」


 ティナは魔導砲を構え直す。疲労は激しいが、退くわけにはいかない。


『ティナ嬢、無理をするでないぞ』


『大丈夫。あなたがいるから』


 四体の魔物が、一斉に襲いかかってくる。触手、牙、爪——あらゆる攻撃が、ティナに集中した。


 だが——


「風陣・四方守護!」


 ティナが地面に着地し、両手を地につける。風の翼が大きく広がり、四つの竜巻が発生した。それぞれが魔物を捕らえ、動きを封じる。アルキメデスとの完全なる調和が、今までにない技を可能にしていた。


 しかし、魔物たちも黙ってはいない。


 ギャオオオオ!


 咆哮と共に、魔物たちが力を解放する。竜巻を引き裂き、再び襲いかかってきた。


「くっ……!」


 ティナは背中の風の翼を羽ばたかせ、瞬時に上空へ。推進機構と風の力が融合し、まるで本物の鳥のような自在な飛行を可能にしていた。


「風弾・連射!」


 両腕の魔導砲から、圧縮された風の弾丸が機関銃のように放たれる。胸部の天球儀が敵の動きを予測し、最適な射撃パターンを算出する。


 だが、四体を同時に相手にするのは困難だった。


ズドン!


 横から飛来した触手が、風の装甲を掠める。衝撃で体勢を崩すが、翼を使って即座に立て直す。


「まだまだ!」


 ティナは空中で回転しながら、全方位に風の刃を放った。


「旋風・大車輪!」


 自身を中心に巨大な風の渦が発生する。近づく魔物を弾き飛ばし、一時的に距離を作る。胸部の天球儀が激しく回転し、次の戦術を導き出す。


『ほっほっほ、見事じゃな。じゃが、このままでは消耗戦じゃ』


『分かってる。だから——』


ティナの瞳が、決意に輝く。


「一気に決める!」


 風の翼を大きく広げ、ティナが前へと飛翔する。四体の魔物が、それを迎え撃つように陣形を組んだ。


 北の魔物が、巨大な口を開けて酸を吐く。


「風壁!」


 瞬時に展開した風の障壁が、酸を逸らす。しかし——


 東西から、同時に触手が襲いかかる。挟み撃ちだ。


「しまった——」


 その時、ティナの中でアルキメデスの意識が強く響いた。


『ティナ嬢、わしを信じるのじゃ』


「もちろん!」


 二人の意識が完全に重なる。その瞬間、ティナの風の装甲が一瞬だけ実体を失った。いや——風そのものになったのだ。


 触手が、何もない空間を通り抜ける。風と化したティナは、瞬時に魔物の背後に実体化した。


「今だ!」


 至近距離から、両腕の魔導砲を同時に発射。収束された風の刃が、魔物を真っ二つに切断した。


 残り三体。


 南の魔物が、地面を這いながら高速で接近してくる。その速さは、目で追うのがやっとだ。


「風翔・三段跳び!」


 ティナは風の翼を使って空中を蹴るように跳躍する。一段、二段、三段。風が足場となり、通常ではありえない軌道で移動する。推進機構のブースト音が、戦場に響く。


 魔物の突進を回避し、上空から急降下。


「風槍・落雷!」


 両腕の魔導砲を一つに合体させ、巨大な風の槍を形成。それが魔物の頭部を貫いた。二体目も沈黙する。


 しかし、残った二体が合体を始めた。


 グチャグチャと不快な音を立てながら、二つの魔物が融合していく。現れたのは、先ほどまでとは比較にならない巨大な異形。


「これは……!」


『ふむ、興味深いのう。虚核同士の融合か』


「感心してる場合じゃないでしょ」


巨大魔物が、無数の触手を同時に放つ。その数、優に百を超える。


避けきれない——!


「なら!」


 ティナは風の翼を最大限に広げ、上空へと舞い上がる。胸部の天球儀が激しく輝き、周囲の魔力を解析・制御し始める。


「嵐よ、我に応えよ!」


 彼女の呼びかけに、空が応えた。暗雲が渦を巻き、雷鳴が轟く。それは自然現象ではない。ティナとアルキメデスの力が、戦術鎧を媒介として天候すら操っているのだ。


「天空・雷風陣!」


 雷を纏った竜巻が、複数発生する。それらが連動し、巨大な結界を形成した。


 触手が次々と雷に撃たれ、炭化していく。しかし魔物は怯まず、さらに力を込めて突破を図る。


「まだよ!」


 ティナは全身全霊を込めて、最大の一撃を放つ。


 風の装甲が眩い光を放ち、両腕の魔導砲が変形を始める。それらが融合し、巨大な砲身を形成する。胸部の天球儀から無数の魔法陣が展開され、エネルギーが集束していく。


「これで——」


 装甲全体に、複雑な紋様が浮かび上がる。それは風の精霊の加護を示す、古代の印。


「——終わりよ! 轟風・天鳴砲!」


 放たれた一撃は、もはや単なる風ではなかった。


 雷を纏い、嵐を従え、天地を揺るがす轟音と共に、巨大魔物を飲み込む。戦術鎧の全機能を使い果たす、究極の一撃。


ドゴオオオオン!


 凄まじい爆発が起こり、衝撃波が周囲の建物を揺らす。しかし不思議なことに、避難民たちには一切の被害が及ばない。ティナの制御が、完璧だったのだ。


 煙が晴れると、そこには何も残っていなかった。


 魔物は完全に消滅し、虚核の気配も感じられない。


「はぁ……はぁ……」


 ティナは地面に降り立ち、膝をつく。風の装甲が徐々に実体を失い、通常の外骨格式戦術鎧へと戻っていく。究極の融合状態での全力戦闘は、装甲の機能限界を超えていた。


『ほっほっほ、よくやったのう、ティナ嬢』


『あなたもね、アルキメデス』


 風が優しく吹き、汗を冷やしてくれる。それはアルキメデスの優しさのようで。戦術鎧も徐々に修復機能が働き始める。


 避難民たちが、恐る恐る近づいてくる。そして——


「すごい……」


「あの魔物を、全部倒した……」


「風の守護者様だ……」


 口々に感嘆の声が上がる。ティナは照れくさそうに立ち上がり、皆に微笑みかけた。


「大丈夫、もう安全よ」


 その言葉に、人々は安堵の表情を浮かべる。


 究極の融合——それは単なる力の増幅ではない。心と心が通じ合い、完全に一つになること。ティナは今、それを実感していた。


『共にいる限り、我々は負けんぞい』


「そうね。一緒なら、どんな困難も越えられる」


 避難民たちが、再び集まってくる。今度は恐怖ではなく、尊敬と感謝の眼差しを向けて。


「ティナ様……」


 先ほどの母親が、娘の手を引いて近づいてきた。


「ありがとうございました。あなたのおかげで、この子が……」


 女の子が、おずおずとティナに近づく。そして、小さな花を差し出した。


「お姉ちゃん、ありがとう」


 その無邪気な笑顔に、ティナは涙が溢れそうになる。


 守れた。今度は、守ることができた。


「ううん、こちらこそ」


 花を受け取り、女の子の頭を撫でる。その手は、もう震えていなかった。


 立ち上がり、ティナは避難所を見渡す。まだやるべきことは山積みだ。偽エドワードは健在で、王都の危機は去っていない。


 でも——


『共にいる限り、我々は負けんぞい』


「そうね。一緒なら、どんな困難も越えられる」


 風が優しく吹き、ティナの髪を撫でた。それは、アルキメデスの励ましのようで。


「さあ、避難所の設営を続けましょう!」


 ティナの号令に、人々が動き始める。絶望に沈んでいた避難所に、希望の灯が宿った。


 遠くで、爆発音が響く。王都のどこかで、仲間たちが戦っているのだろう。


「アキト……みんな……」


 ティナは拳を握りしめる。


「必ず、この王都を取り戻すから」


 風を纏った少女は、決意を新たに歩き始めた。


 その姿を、避難民たちは心に焼き付ける。いつか語り継がれるだろう。風の守護者と呼ばれた、一人の少女の物語を。

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