6 Waltz
今回は、ストーリー的にも意味の分からない話ですので。
スーッと流していただいて、次の話しに行って貰えばと幸いです。
「おーい、姉貴ー」
「朝ですよー」
その次の日も、ボケボケの姉を容赦なく起床させ、兄妹は共に学校へと向かっていった。
廊下を歩く2人。
そして突然。
坂下君と名乗る少年と梓君が言い合いになった。
そしてその弟君の方に、その強固な拳は振るわれたのである。
彩ちゃんは夕日映える河原を全力疾走していた。
星科先生とやらは今日は会議があるので放課後は無理ということで、そんなことで涙に暮れる茉莉花ちゃんを慰めようと、商店街をぶらついていたところ、急に、穏やかな好青年に見える虎太郎に呼びかけられた。
その、顔は笑っていても、少々焦りのある声で俺は彼女にこう伝えたのだ。
―妹ちゃんがー……学校の3階から落ちたらしいよー……。
しかもー、突き落とされたってー……。
なぜか、彩ちゃんは元から分かっていたかのように、病院ではなく、朝凪高校へと向かっていた。
―……梓……てめぇ……!
そういって坂下君は殴りかかってきた。
梓君は殴られていた。
特に避ける気配も見せず、声も上げず、ただそこに立っているだけだった。
別にガタイが良いわけでもなく、綺麗な顔と称される彼の顔には次々と新たな傷が加えられていく。
そして、その騒動に、兄を助けたいがために、暁ちゃんが巻き込まれ、拍子をついて窓から彼女は、落とされたのだ。
そして幸いなことに、その下を体育で使うマットを運用しているトラックが通りかかったものだから、暁は奇跡的に助かった。
「言い合いといってもー、単に年上だからむかつくとかよーくモテるとかなんやかんやーでどうでも良いことばかり」
「思春期ってやだなぁー」
「まぁー、奴らは何も知らなーい餓鬼だからなぁー」
「愛ってものがなんだかーわかっていないよ」
「……この場合関係ないなぁー」
「それにしてもー暁ちゃんは凄いよねー」
「梓君を助けるためにー窓から飛び降りるなんて」
「これこそ愛、愛、愛だよー! 好きな人には、身体を張るってねー」
「え、落とされたんじゃーないよー」
「そう見えるでしょー?」
「それぐらいのー演技力というかー、愛だったんだよー」
「素晴らしい素晴らしいー」
「Braーvoー!」
「ところでー俺はー誰とー喋っているんだろうねー」
「1人でー」
「まぁーこんなこと、彩ちゃんくらいしか聞いてくれそーうにないけどねー」
「とりあえず、帰ろかー」
「僕は知ってたよ、そんなこと」
梓は家のリビングで、ソファーに横たわっていた。
顔には包帯や絆創膏などその他諸々。
「僕を心配してくれたんだね。ありがとう、暁」
「良いの良いの、お兄ちゃん、ありがとう」
暁はニコニコ顔で返事を返す。
「……いくら梓が心配だからって、いきなり窓から飛び降りないで、暁。もしトラックが来ていなかったら……」
「大丈夫、そこまで計算したよ、お姉ちゃん」
姉の言葉を遮り、暁は儚げな笑顔で答える。
「梓もやられそうになったらやり返せよ」
「姉貴恐ー。それもそうだね」
「…………」
「まぁでも、僕は父さんから姉貴と妹を守るよう託されたんだ」
静かに梓が語り出す。
「あの事件で母さんはどっかいっちまって蒸発しちまうし、ショックで父さんは死んじゃうし、だからこそ男の僕が2人を守るんだ」
だんだん、顔に笑みが加わる。
「だから暁にも姉貴にも危害を加える奴に容赦はないし」
歪んでいく。
「ただ純粋に守りたいだけ出しそれにまぁ僕たち以外の人が消えればいいと思ったしね」
歪んでいく。
「僕たちに害するものはみんなみんな、殺されればいいと思う」
歪んでいく。
「むごたらしく残虐に毒でも何でも殴って絞めて押して刺して撃ち殺されて焙られて呪われて急死で頓死で即死で轢死で溺死で変死で病死で餓死で存在しなくなればいいしていうか存在ごと消えればいい誰も彼も忘れてしまって崩れて崩れて……終わればいいと思う」
「いやだめだろ」
歪みは、彩によって止められる。
「そうだね、あはは」
「お兄ちゃんは物知りだね」
「それに、私たち以外の人がいなくなったら困ることがいっぱいあるんだからね」
「そうだね。父さんはもういねぇけど、母さんはまだ生きてるかもしれねぇからなぁ」
「物騒だ」
「それにしても、お母さんは今、どこにいるのかな?」
「「さぁね」」
姉弟の声が重なった。
「ねぇお姉ちゃん、お腹すいたよ」
「僕も」
「あぁーはいはい、わかったよ」
この時間だ。さすがにそうだろう。
「じゃ、今日の夕飯、何がいい?」
それぞれ違う意見を言いながら、中家の夜は過ぎていく。
ということです。
皆で歪みます。
もう春なハズなのに寒いですね。