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10 Echo




「まっさかーあの馬鹿兄貴に間違えられるとは思ってなかったよー」

 虎太郎はニコニコと笑いながら言った。

「髪の色もー瞳の色も一緒」

 そして彩の隣、だが少し離れた場所に座った。

「でもー、顔は全然似てない」

 猫のように背伸びをすると、

「でもー、後ろ姿は似ているー」

 彼はまた笑顔を作る。

「しょうがないこと、なのかなー?」

「…………ぁ」

 彩は初めて口を開いた。

 ついさっきいなくなった青年がまた戻ってきた。

 それだけだった。

 それでも身体は小刻みに震えている。

 なぜ?

「彩ちゃん、後ろからー僕を刺したでしょー?」

「!」

「だからー、君が殺したのはー俺だって」

「………」

「なんでモノもつかめたし? って話ー? あぁー」

 そういって、彼は彩の方へと手を伸ばす。

 虎太郎の右手は彩の肩に触れようとした。

 が。

 その小さな肩を(・・・・・・・)大きめの手が(・・・・・・)通り抜けた(・・・・・・)

 すり抜けた。手品のように。

 彩にはさらに衝撃が与えられた。

 何も感じない、が。

「え? あ……?」

「人はダメなんだけどー、物はーなんか知らないけどつかめるらしいよ」

 淡々という虎太郎。

「まぁ俺、未だに18なんだけどー、あれでしょー?」

「兄貴が彩ちゃん家のお金持ってって、家族崩壊したんでしょー?」


 それは彩の最も隠しておきたい過去だった。


「別に俺の家貧しくなかったんだけどさー、兄貴金大好きだから」


 そんな


「その恨みで兄貴を殺そうとしたんだねー」


 言うな、言うな


「確かに君は13だったから罪は犯せるけどさー」


 思い出したくない思い出したくない



ちゃんと殺す奴(・・・・・・・)の顔くらい覚えろよ(・・・・・・・・・)



「あぅっ」

 激しい頭痛が、彩を襲った。

 彩は頭を抑える。

 痛烈な一言。

 そして、虎太郎の目はいつものような優しそうな目ではなく、酷く鋭い目つきだった。

 全てを支配するような、邪悪な目。

 呑まれそうだった。だから、彩は虎太郎から目をそらした。

 震えがさらに大きくなり彩はもう少しで声さえ出ないくらいだった。

 すると、虎太郎はいつもの顔に戻り、いつものように優しく話しかける。

「でもねー、俺は前向きで純情な少年なんだー」

 彩はゆっくりと虎太郎に焦点を合わせる。

「だからー、君が俺を殺したのーはね」

 虎太郎は目をうっすらと開けた。





愛なんじゃな(・・・・・・)いかと思うんだ(・・・・・・・)ー」








「………は?」

「だからさ、愛のために、俺を殺したんだよー」

「殺したいほど愛してるってのはー、実在したんだ」

「うん、きっとそうだよー」

「僕はー君の愛を受け入れた」

「だからー今こんなんだー」

「愛されたからにはー愛さないとだよねー」

「だからねー」

「俺も彩ちゃんのこと大好きだからさー」

「愛そうとー思う」

「大丈ー夫」

「愛は世界を救えないけど、少なくとも人間社会は救えるー」

「あの日」

「俺を殺して」

「顔も確認せずに君は近くの川に俺だったモノ(・・・・・・)を投げて」

「安心して家に帰って」

「家族の安否を確認して」

「何事もなかったかのように何年も過ごして」

「俺のこと忘れて」

「川というとても身近な場所に流れてた俺の遺体は」

「なんと1ヶ月も先に見つかって」

「みじかっ」

「ニュースに割と長く伝えられてて」

「彩ちゃんはそれを見るたびに凄い顔を歪めて」

「そして2年7ヶ月後に再会」

「もちろん初めまして」

「その時も君は良く笑っていたね」

「何で今は笑ってないの?」

「俺の愛が足りない?」

「愛すよ?」

「決まってんじゃん」

「愛してる」

「愛してるよ」

「愛してる愛してる愛してる」

 虎太郎はコートのポケットに手を入れた。

「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」

 まさぐり、それ(・・)を探り当て、取り出す。

「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」

 それ(・・)は夕日を反射してきらりと光り、その先は真っ直ぐ伸びる。







「殺したいくらい、愛してる」













 何が起こったのだろう。

 虎太郎さんが私にその鋭物を振り翳した。

 私、殺されるの?

 愛されて?

 これは報いなの?

 この愛を受け入れるの?

 虎太郎さんは好き……だよ?

 でも、なんで?

 愛のために人殺しをして良いの?

 愛しているから殺すの?

 間違っているんじゃない?

 ねぇ?


 もう……ダメなの?














 何も起こらない。

 目を開けてみよう。

 彩が目を開けた時、目が光景を確認すると同時に、懐かしい若い青年の声も響いた。




「……俺の孫(あかり)になにしやがる……!」




 そこには、見た目20代後半くらいのどう見ても自分の祖父には見えない、端麗な青年が、虎太郎の前に立ちふさがっていた。







 前々から意味不な話ですみません。

 それにしても今年アニメにされたあのラノベの話に少々にてますが

 別にあれの影響ではないので!

 あんな神懸かり的な文章書けませんよ!

 長々と失礼致しました。



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