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怪人28号  作者: 朝活四時
陰謀編
16/20

16.怪人血球

 明美が怪人のいる場所に辿り着くと、ちょうど怪人は木に寄りかかって寝ているように見えた。

「今がチャンスだ。行け、ベータ」

「了解」

 明美はそう言うと怪人にゆっくりと近づき、顔面に向かって思いきり蹴りを放った。

 それは顔に綺麗に当たったが、明美は手ごたえを感じられなかった。直後、木が動き出し、明美を襲う。

 そう、怪人の形をしたものはおとりで、本体は木に擬態していたのだ! 

 怪人の不意打ちを食らった明美は駆除部隊に向かって吹っ飛ばされた。

 怪人は追い打ちをかけるべくその巨体からは想像のつかない速度で一気に距離を詰め、駆除部隊ごと薙ぎ払うように明美に向かって腕を振るった。

 彼女はその攻撃をもろに食らい、背後の木にたたきつけられた。

 痛みに怯む明美に、さらに拳と蹴りで怪人が追撃を加える。

 その一撃はどれも重く、明美はどんどん押されていった。

 大村はその様子をカメラ越しに見て、いてもたってもいられなくなり、本部を飛び出そうとした。

「大村!」

 そこへ杉田が声をかけ、大村が振り返ると、無線イヤホンと一本の注射器を投げ渡された。

 注射器のラベルには『怪人血球』と書かれている。

「……行ってこい!」

 杉田の言葉に背中を押され、大村は本部の仮設テントを出ると、怪人血球を注射で自身に打ち込んだ。

 体が熱くなり、筋肉が膨張していく感覚。

 一瞬にして『変身』を終えた大村は森の中を疾走し、木の怪人を見つけると怪人めがけて飛び蹴りを放った。

 だが、その攻撃はあっさりと避けられてしまう。

 着地と同時に大村は地面を踏みしめ、再度怪人に突進する。

 今度はパンチを次々に浴びせるが、それも全て回避されてしまう。

 その時、大村は打開策をひらめいた。

 大村は一度大きく後ろに飛ぶと、怪人の周囲を高速で走り始めた。

 怪人はそれに反応できず、大村の動きにただ翻弄されるだけだった。

 大村は怪人の足元に迫ると、怪人の足を思い切り蹴飛ばした。

 怪人はバランスを崩して倒れ、大村は怪人の両足を掴むと大きく回し始めた。

 怪人の体は遠心力で浮き上がり、大村が手を離すとその勢いのまま飛んでいき、巨木に叩きつけられ、体が破裂し、死亡した。

 大村は杉田から貰った無線機で連絡を入れる。

『目標、完全に沈黙。死亡したと思われます』

 本部の面々は歓声を上げた。

 大村はふと、空を見上げる。

 そこには、まだ明るい空の上に月が輝いていた。


 明美や駆除隊と共に森から出ると、大村は杉田の元を訪れ、礼を言う。

「薬、ありがとうございました。それにしても怪人血球っていうのは……?」

「詳しいことは私も研究員じゃないから分からないんだが、どうもそれが富士博士の言っていた怪人細胞の正体らしい。

 以前君から採血した血液中から発見されたそうだ。それを培養したものが今回の薬だ」

「そうなんですか……とにかく、また戦線復帰できそうで助かりました。本当に、ありがとうございます」

「礼なんていいよ……それと、報告書はしっかりまた書いてもらうからな!」

 杉田はそう冗談めかして言うと大村の肩を叩いた。

 大村はそれを聞いてわざとらしく肩を落としたのだった。

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