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裏切りの…?

裏切られたご令嬢のその後

作者: ようせゐ



今日は学院の卒業パーティ、そんなめでたい日だというのに…

私は好きな人に、婚約破棄をされたわ。


「オルフェイ・レルフェ公爵令嬢…婚約を破棄します…いいですよね?」


え…?

いったい、どういうことなのかしら…


「私は、何もしていませんわ…」


思わず声を震わせてしまったわ。

ああ、こんなに弱くなんてなかったはずなのに‥


「嘘をつかないでください

 この…子爵令嬢をいじめたんでしょう?

 隠さなくてもいいですよ?」


あれは確か、フェリラー・フレリク令嬢だったかしら?

彼はフレリク令嬢に惚れている、だなんてうわさがあったけれど、まさか‥

いいえ、それよりも‥私が、フレリク令嬢を…?

あまりにも目に余る行動をしたから注意をしたのだけれど、そんなことではないわよね…?


「私は振る舞いがなっていない彼女に注意をしただけですわ」


きっと、それで分かってくれるはずよ。


「言い方がきつかったのではないですか?」


そんな、なぜ…

ああ‥あなたはもう、私の話を聞き入れてはくれないのね?


「…わかりましたわ、そこまで言うのならば、婚約破棄を受け入れますの」


「では…子爵令嬢に謝ってください」


そんなことまでいうのね…


「それはしませんわ…私はフレリク令嬢をいじめていませんのよ」


「そうですか…それでは、さようならですね。」


何も、感じていないような顔…


「っ…私はあなたが好きだった…」


その言葉を絞り出すと、涙が止まらなくなったわ。

まるで、あきらめきれていないみたいに…


「そうですか…」


彼はそれだけ言って、振り返らずに卒業パーティの会場を後にしたわ。

私の涙を流す声を聞いても、振り返らずに…

だって、彼の運命は私じゃないからじゃないから。



◇◇◇



「なぁ…知りたくねぇか?

 お前が…婚約破棄された理由…」


元婚約者の友人の、フリグ・ナウェル


「…理由なんて、あの人があの子に惚れたからよ…」


「いや…違うんだ…あいつは、そんなやつじゃねぇよ」


「あなたは、あの人をかばうの?」


「そんなつもりはない、あいつのしたことはきっと許されることじゃないからな

 だけど…全部…王族の血にある呪いってやつのせいなんだよ!」


◇◇◇


「なぁ…まだ…女を殺したいって思ってるのか?」


「うん、僕が女を嫌いな限りこれは治らないだろうね」


「まぁ…母親がやばいやつだったからしょうがないか…

 もしかして…婚約者の女もか?」


「いや、あの子のことは…好きだよ…」


「よかったじゃないか!

 それなら、殺したいって思わないんじゃ…」


「違うんだ…好きだからこそ…」


「まさか…好きでも、殺したくなるのか?」


「…だから、婚約破棄をすることにしたよ。

 もう、計画は立ててあるんだ。

 それには君の力が必要なんだけど、手伝ってくれる…かな?」


○○○


「なんであんなやつに近づくんだよ!?」


「…あの女は親が横領をしてる…

 それを解決するついでに、彼女と婚約破棄する足がかりにする」


「そうか…でも…それはどうやってだ…?」


「あの女を彼女がいじめていると言って来るはず…そのときに…」


「俺も、手伝う…」


「…ありがとう、これは彼女があの女をいじめていない証拠だ。

 これをどう利用するかは…君が決めてね」


「っ…わかった…絶対にやり遂げる」


◇◇◇ 


「そんなことが…」


「あと、あんたがいじめてない証拠もばらまいた

 世間のほとんどはあんたに好意的だが、これからどうするのかはあんたに任せる

 あと‥あいつを助けられなくて、済まなかった」


「いいえ、いいえ…私が気が付くことができなかったから…

 あの人が、助けを求めていると気づけなかったから…」


「仕方ねぇよ、あいつはいつも、感情を隠すのがうまいんだ…

 そういや、あいつは国外追放になったらしい…ただ、どの国なのかはわかんねぇが、な…」


「そんな‥」


「‥それだけの事をしたんだろ?」


「‥そう、よね」


「なあ、俺にしないか?」


「何の話かしら?」


「前からいいとは思ってたが、あいつの手前口説くことなんてできなかった」


「なら、なんで‥」


「あいつに言われたんだ、あいつ、俺の事もわかってたんだよな

 大切な友人には幸せになってほしいからね、だとよ

 俺なんかに、友達だって言ってくれたあいつを裏切るみたいでいやだったんだが‥

 あいつがあきらめったってんなら、言いたくなった」


「それは‥私が弱ってるときに言うことかしら?」


「つまり俺が言いてぇのはなぁ‥

 …あんたには選択肢があるし、あいつはずっとあんたの幸せを願ってたんだ

 あんたが悲しむのは、あいつの、いや、俺の望みじゃねーってわけだ」


「そう、そうよね}


「さっきのを話したのは、友人のよしみだ、自分から舞台を降りたやつには負けないぜ?

 時間かけてでも口説き落としてやるから覚悟しとけよ?オルフェイ・レルフェ公爵令嬢?」


「ふふ、受けて立つわ、フリグ・ナウェル様?」


「‥様はやめてくれないか?」


「そうするには、もう少し時間が必要ね」




「お前は追放だ、と言うことに表向きはなっている」


「そうですか…わかりました、それで構いません」


「これからもお前の弟の補佐として王宮で働いてもらう…よろしくな…」


「はっ…承りました」


「お前は…好きになったんだなぁ…」


「はい…ご迷惑をおかけしました」


「いや…お前のほうが、よっぽど人間らしいよ」


◇◇◇


「なんで…どうしてなのよっ!」


「子爵令嬢…貴女は死刑です

 罪状は貴女の父親がしていた横領の連帯責任と嘘の申告ですね

 王太子だったこの僕を騙していたんです

 立派な不敬罪ですね」


「だ、騙してなんてないわ!

 だってあの女が私をいじめたのよ!」


「あはははっ!

 何を言っているんですか?

 あなたごときを少しいじめた程度で公爵令嬢を裁けるとでも?

 滑稽ですね!」


「そんな…あ、あなた言ったじゃない…

 私をいじめる人は婚約破棄だって…」


「はぁ?あんなの演技に決まっているでしょう…

 馬鹿なんですか?

 あぁ…馬鹿でしたね…

 僕は最初っから…あなたが大嫌いですよ

 さようなら…

 あぁ…こんなに汚れたら、彼女に…嫌われてしまいますね

 …そうでした…もう、いいんでしたね

 あなたが…ずっと好きでした

 …っ…僕のこの言葉は…なんて未練ったらしいのでしょうか

 あなたみたいに、すっぱり忘れられたら良かったのに…」


こんな、執着のような思いは、捨ててしまえればいいのに‥

ああ、やっぱり好きだなぁ、だから、きっと幸せになってね。


「っほかの男と幸せになるなんて、許せない‥殺したいなぁ」


っ!?

‥僕がこの呪いに完全に飲まれる前に、早くやりきらなきゃ。

幸い弟は呪いの影響を受けなかったらしい。

そうだ、あの子に任せようか、僕が呪いに完全に侵されたらあの子に幽閉してもらえばいい。

彼女を傷つけてしまう前に、閉じ込めてもらえばいいのだから‥

その為にも、あの子を賢王にしなくちゃいけないのだから、まだ生きていかなきゃ。

早く、僕が呪いに飲まれる前に、あの子が僕を‥僕がいないところで、幸せになんて‥

ああ‥やっぱり、まだ僕があきらめられないからかな。

またっ‥殺したい、止めて、殺したい殺したい殺したい、僕はそんなこと‥殺したい。

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

早く、だれか僕を止めて‥

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい。

彼女にだんだんと近づいていく、その時、僕の体が傾いた感覚がした気がした。


(きっと)続く

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