最初の過ち
外になんて出なければよかった。
君を知ってしまったらこれから僕はどう生きていけばいい?
みんなは「それをとても素晴らしいことだ」という。「おめでとう!」「よかったね!!」など、人によって直接的な表現は違うものの考えているのは、それが人生を豊かにするものであるということである。
一説によると人が一生のうちでなんらかの関わりを持つ人は3万人だと言われている。
そのうち、学校や職場などで出会う近しい存在は3千人、親しく会話をするのは3百人、友達と呼べるのが30人、親友が3人だという。
「自分が生きている中で出会う3万人は、きっとみんながただの3万人なんだろうな。そもそも僕は3万人なんかと出会うことすらないか。」そんなことを考えながら聖はクリスマスムードの街を1人で歩いていた。なにも1人でこんな恋人だらけの街を歩きたいわけではない。極端に外出を嫌う僕は、基本的に家から出ないでいいように普段はネット通販などを軸に生活をしているが、二日前に降った大雪のせいで配達が遅れ、荷物がいつ届くかわからなくなったため、約四ヶ月ぶりに外に出ていた。久しぶりに出た外の世界は、35°を超す暑さなど忘れたように寒く、引きこもりの僕とっては辛い環境であった。
しかしそんな寒さの中でも通り過ぎていく街の人たちは5日後に迫るクリスマスを前にみんな浮かれ気分でなんだか僕だけが取り残されている様だった。