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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

レインボーボンズ外伝

将軍王事変~将軍王の娘大号泣!

作者: TAK

レインボーボンズ第一作目『将軍王のココロザシ』の外伝作品第三弾にて第一部本編開始前の出来事です。

大河ドラマ『麒麟がくる』で足利義輝が暗殺された事を受けて書き下ろしました。

アスティア王城…、アスティア現王『ヨシトル=フォン=アスティア』の居城だ。アスティア王国はブルー地方の小国の一つに過ぎなかったが、ヨシトル王の代で極めて有能な宰相(さいしょう)『スパイデル』を家臣に迎えた事を機に空前の発展を遂げていった。しかし、それに伴い賊の跋扈(ばっこ)も絶えなかった。勇猛で若かりし頃より武勇の(ほま)れ高きヨシトル王は賊から民を護る為に自ら軍を率いて賊を捕らえても首を()ねず、兵として取り立てたり、負傷した賊を治療して解放したりと戦いの中でも思いやりの心を忘れない為、人々から『将軍王』と慕われていった。しかし、その異名が悲劇の引き金となる事をヨシトル王とその娘『ヨシーナ=フォン=アスティア』は未だ知らずにいた。


アスティア王城の謁見室での事だった。玉座に座っているヨシトル王は(あご)には立派な髭を生やし、猛将に恥じない大柄な体躯(たいく)を誇っていた。そんな彼にスパイデル宰相は何かを申し出た。スパイデル宰相は黒衣を纏っている為、一部の家臣から『漆黒宰相』とも呼ばれていた。


猊下(げいか)、『将軍王』の異名を活かすべく、世界の(いただき)にお立ち下さい!皆もそれを望んでおります!」


スパイデル宰相は自分の主であるヨシトル王に世界の頂に立つよう申し立てた。


「またその話か…。『我が()()()()()にそぐわぬ』と何度も申しておる!」


ヨシトル王はスパイデル宰相の申し出を(こば)んだ。


「猊下、このままでは将軍王の名が泣きます!何卒お聞き入れ下さい!」

「くどい!…下がれ、スパイデル!二度とそのような汚らわしい申し立てをするでない!!」


スパイデル宰相の催促に激昂したヨシトル王は彼に退室を命じた。


「これは失礼しました…。(またしても拒まれたか…、もうすぐ姫もオーバーティーン(大人)を迎えるのだ…、こんな事で引き下がる吾輩ではない。)」


スパイデルは表向きには引き下がったが、諦めなかった。



そして、ヨシーナ王女がフレッシュオーバー(20歳)を迎えた日の事だった。ヨシーナ王女が自室から廊下に出ると、スパイデル宰相が声をかけた。


「姫、フレッシュオーバーおめでとうございます。早速ですが、こちらにおいで下さいませ。」


スパイデル宰相はヨシーナ王女を手招きした。


「スパイデル宰相、ありがとうございます。それで…、お祝いですか…?」


ヨシーナ王女はスパイデル宰相に近づいた。スパイデル宰相はニヤリと笑った次の瞬間…、スパイデル宰相は突如ヨシーナ王女を捕らえ、隠し持っていた刃を彼女の首に突き付けた。スパイデル宰相が本性を現した瞬間だった。


「無礼者!!何をするのです!」

「姫、何が何でもご協力頂きたい!」

「わたしに何を協力せよと言うのです!」

「とにかく吾輩と共に来て頂こう!」


スパイデル宰相は拘束したヨシーナ王女を連れてヨシトル王のいる謁見室に向かった。彼の後ろにはスパイデルの配下の兵士が続いていた。兵士達は揃いも揃って無表情だった。



ヨシーナ王女を連れてスパイデル宰相は配下の兵士達と共に謁見室に入っていった。


「お父様!」

「ヨシーナ!スパイデル、一体どういうつもりだ!」


自分の娘であるヨシーナ王女がスパイデル宰相に拘束されている事にヨシトル王は狼狽した。


「猊下、今日こそ聞いて頂きますぞ!拒むなら娘の命は保障出来ませんな!」

「なっ…!」


スパイデル宰相が自分の娘を人質に取っている事にヨシトル王は動揺した。


「猊下、(あらた)めて申しまする!『将軍王』の異名を活かすべく世界の頂にお立ち頂きたい!吾輩は勿論、皆もそれを望んでおりまする!さあ、今すぐご決断下さい!娘の命は猊下次第ですぞ!」


スパイデル宰相はヨシーナ王女を人質に取ってヨシトル王に以前と同じ事を要求してきた。


「…わかった…。貴様がそうまでして望むならば…。」

「おお…、お聞き入れ下さるのですか…!(ふん…、聞き入れようが聞き入れまいが姫を解放する気は毛頭ないがな…。)」


スパイデル宰相は自分の要求を聞き入れてくれると期待してニヤリと笑った。


「いや…、拒ませて貰う…。わしの命を以て…。」


ヨシトル王は帯剣している剣を抜いて自分の首に当てた。


「だから…、娘には手を出すな…!…将軍王の異名を汚す訳にはいかぬ!…ふんっ!!…」


ヨシトル王は自分の命と引き換えに娘に手を出さないよう伝え、自らの首を掻き切った。


「お父様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


次の瞬間、ヨシーナ王女は悲鳴を上げた。


「…娘よ…、…どうか…、…アスティアを…、…心ある者…に…。」


ヨシトル王は娘であるヨシーナ王女にアスティアを心ある者に託すよう伝えて事切れた。


「…お父様…、…お父様…、…お父様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


変わり果てた父の姿にヨシーナ王女は大号泣した。



その後スパイデル宰相はヨシトル王の生前の異名である『将軍王』の箔を目当てにヨシーナ王女と結婚して、新たなアスティア王となった。新たなアスティア王スパイデルは『将軍王の娘婿』を自称して手当たり次第に他国を侵略していった。

本編『将軍王のココロザシ』のターニングポイントの一つです。

スパイデル宰相の申し出を人質に取られる前に聞き入れた場合は『黒き将軍王』ルート、人質に取られて聞き入れた場合は『傀儡将軍王』ルート、そして、自害して拒んだ本編は『将軍王自害』ルートになります。

本編の『将軍王のココロザシ』もご愛顧頂けたら嬉しい限りです。

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― 新着の感想 ―
[一言] おお……! 将軍王としての誇りを守ったのですね……! 因みに自分の作品のスピンオフの場合は、二次創作タグを付ける必要はありませんよ! むしろ二次創作タグを付けると、なろうのトップページやラン…
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